2020.11.13

認知症とは(種類と症状)

認知相は現在のところ根治できない進行性の疾患で、記憶障害、人格の変化、論理的思考の障害を特徴としています。今回は簡単に認知症の症状について説明します。
認知症という言葉は、脳に影響を与え、徐々に悪化していく一群の症状を表します。集中や問題解決、順序だった作業、計画、物事の整理などが困難になり、全般的な意識の混乱が起こります。今まで出来ていたことが急にできなくなるので、不安や自信喪失、うつ病になることもあります。多くは高齢者に見られますが、50代、あるいはさらに若くして発症(若年性認知症)することもあります。
認知症の原因となる疾患は、アルツハイマー病、心血管疾患、レビー小体病、前頭側頭葉変性病などさまざまです。

◆アルツハイマー病
脳細胞の周囲に特異なタンパク質が溜まっていき、脳に構造的な損傷が与えられます。これにより神経細胞間の化学信号のやり取りが阻害され、徐々に細胞が死んでいく病気です。脳の中で影響を受ける部位が増えていくにつれて、症状は進行していきます。
◆血管性認知症
脳卒中などによる脳への血流の低下を原因とし、論理的思考、計画、判断、記憶などに問題が生じます。
◆混合型認知症
アルツハイマー病と血管性認知症が併発したものです。
◆レビー小体型認知症
神経細胞内にレビー小体と呼ばれるタンパク質のかたまりが形成されることで起こり、多くの場合、幻覚や妄想を引き起こします。
◆前頭側頭型認知症
脳の側頭葉と前頭葉に変性が生じる、珍しい認知症です。ピック病とも呼ばれています。人格、行動が変化し、言語の使用に障害が出ます。
人間が一人ひとり違っているように認知症の体験もまた患者によって異なります。あくまでも、診断は病歴や症状が患者の日常生活をこなす力に与えている影響をもとに医師によってくだされます。しかし、身近にいる家族が今まで出来ていたのに出来なくなったり、今まで全くしなかったのにし始めたりといったちょっとした変化に一番気がつきやすい存在です。そのため、認知症の症状について簡単にご紹介したいと思います。
◆運動能力
運動を司る脳領域が損傷を受けると、筋肉をコントロールする力が低下します。
・失禁
・歩行障害
・足腰、手の震え など

◆感情
気持ちのコントロールや表現ができなくなることで、自尊心が下がり、うつ病になることもあります。

例えば、認知症になってから急に怒りっぽくなる人もいます。これを易怒性と言います。怒りっぽくなる理由として、記憶障害や見当識障害のために周りの状況を把握することができず混乱していることが考えられます。また、不眠や便秘などの体調不良が自覚できずに怒りにすり替わっていたり、薬の副作用であったりする場合もあります。

反対に感情の表現が乏しくなる人もいます。喜怒哀楽の表現をしなくなり、視線が合わなかったり動きのない表情をしたりします。そのため他者や外の世界への関心を失ったように見えます。意欲や気力が低下したり、会話が極端に減り話しかけても返事をしなかったりすることもあります。
◆社会的技能
意識を集中して会話の流れを追うことができなくなるために、人と関わり、相手を理解することが難しくなることもあります。またモノの名前が出てこないために、「あれ」や「これ」と言った代名詞が増えたり、言葉と意味を結びつけることができず、関連する他の単語の言葉を並べたりすることがあります。自分から言葉を発したり、相手の言っていることを理解することが難しくなったりするため、コミュニケーションは不自由になります。

◆意思決定
記憶の喪失、集中力の低下、意識の混乱により、意思決定が難しくなったり、まったく出来なくなったりすることがあります。原因によって支援の仕方が異なりますが、言葉が分からなくて伝えられないのか、説明した情報が理解できなかったのか、質問の仕方が良くないのか、そこを査定して本人の意思決定を尊重することが大切です。
◆集中
意識を集中できないために、日常的な行為や自立した生活が非常に難しくなることがあります。私たちは日常的に様々な情報を五感から受け取り脳で処理しています。また、脳で処理したものを発信したり、応用して生活を送ったりしています。集中力が低下すると、脳の処理に時間がかかったり、ミスが生じたりするため、今まで出来ていた日常的な生活に少しずつ変化が見えてくる場合があります。
◆記憶
認知症で初めに影響を受けると言われているのが短期記憶です。短期記憶は情報が入ってきた時にまず初めに保存される記憶のことで、この情報を反復すると長い間記憶に残る長期記憶となります。認知症が進むとこの長期記憶にも衰えが見られるようになります。
・記憶障害
新しいことを記憶できず、ついさっき聞いたことさえ思い出せなくなります。さらに病気が進行すると、依然覚えていたはずの記憶も失われます。

・見当識障害
まず時間や季節感の感覚が薄れ、その後に住所が分からなくなるために迷子になったり、遠くへ歩いて行こうとしたりするようになります。さらに病気が進むと、自分の年齢や家族の生死に関する記憶がなくなります。

◆発話
話したり言葉を上手く操ったりするのが難しくなるため、周囲の人を当惑させるかもしれません。「◆社会的技能」で説明した内容と重なりますが、発話によるコミュニケーションが難しくなることがあります。例えば「シャツ、はく」と言ったりすることがあります。「シャツを着たいの?」と聞きますが、「シャツ、はく」と言って怒り出します。これはモノの名称が出てこず、関連する単語の言葉を結びつけているため、意味が通じないのです。そして、「シャツを着たい」という意味ではなかったので、怒ってしまいました。おそらく「ズボンをはく」と伝えたかったのでしょう。

◆判断
自分をコントロールできなくなった、些細な事なのに計画も立てられなくなったなどと感じ、自分の判断力に自身が持てなくなってしまう人もいます。今まで出来ていたことが徐々にできなくなっていると感じたら、不安や焦りを感じ、自信を失ってしまいますよね。

◆共感

身の周りで起きていることを理解するのにひどく苦労するため、他人のことを考える余裕がほとんどなくなります。
認知症の方にとっても、その家族にとっても認知症という病気はこれまでの生活を変えてしまうほど大きなものだと考えます。認知症の方へのサポートが必要なことはもちろんですが、それを支える家族同士が支え合うこと、そして医師や専門家とよく相談して家族だけで抱え込まないことが大切です。我慢できる!まだ大丈夫!と考えず、困ったことがあったらお気軽に相談してくださいね。

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参考文献)黒木俊秀・小野良平(2019)「ひと目でわかる心の仕組みとはたらき図鑑」創元社


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