2020.12.18

スマホゲーム依存(その2 ゲーム依存になりやすい人)

スマホゲームが登場してから、ゲームは家でやるものではなく、どこでもできるものになり、より手軽に誰もがプレーできるようになりました。電車の中、トイレの中、仕事中、歩きながらと1日のほとんどをゲームに費やす人もいます。しかし、これだけでは「依存」と考えることはできません。例えば、「食事中にスマホをしないで」と頼んで「ごめん、気づかなかった」とスマホを手放すなら、依存とは言えないからです。依存している人にはどのような状態にあるのでしょうか。
スマホゲームを子どもが泣いているのに続けていたり、宿題がたくさんあり支障が出ると分かっているのに辞められなかったりと、周囲から見てスマホゲームを「やり過ぎている状態」が現実にある時、そのことを指摘して「そんなことない!」と強く否定したり、怒りだしたりすることは、依存の患者に見られる特徴です。そのため、依存は「否認の病」とも言われています。
依存の患者さんは「度の過ぎた使用」を指摘すると強く否定する他に、「依存自体を認めたくない」気持ちが非常に強いことも特徴です。スマホゲームを過剰使用していても「自分は依存しているのではないか」と心配になれればいいのですが、依存の患者さんは依存していることを認めたくないので、どんどんエスカレートしていくのです。

インターネットが普及した1990年代初頭にもインターネット依存が問題になりました。1日10時間以上チャットルームでチャットをしていた女性がインターネットの接続料を支払うために、生活費が困窮した状態に陥ったりと、生活自体に支障をきたす人が多く現れたからです。インターネット中毒は次のように定義されています(Young, Kimberly S.,1998)。
ちなみに「嗜癖(しへき)」とは「ある習慣が行き過ぎてしまい、行動をコントロールすることが難しくなった状態」ことです。
スマホゲーム依存の特徴的なリスクは、本人が「やり過ぎ」を自覚してから、「やり過ぎを否認する」までの進行の速さにあります。ゲームははまるように作られているが故に、非常に早く「生活の中心」になっていきます。依存の患者さんの中には「あと一回、あと一回と思ってプレーするうちに、気づいたら生活の中心になっていた」と言われる方もいます。スマホゲームには「過剰使用の状態」と「依存の状態」があるゆえに、本人の意思の強さで使用時間や使用頻度はコントロールできると考えれてしまいやすいですが、「依存の状態」の場合は本人の意思とは無関係で、脳と心が関連する精神的な疾患であることをよく理解しなければなりません。したがって、精神的な疾患である「依存の状態」では専門の医療機関を受診する必要があります。
スマホゲームの問題を考える際、最も重要な問題の一つが「現実逃避」です。これはスマホゲームに限らず、SNS、オンラインゲーム、パチンコ、たばこ、お酒など様々な依存症も現実の辛さや虚無感から逃れるための行為が関連すると考えられています。
したがって、ただその行為をやめさせようとするのではなく、根本的な問題に耳を傾けて考える必要があります。
現在すでに長時間ゲームをする習慣があり、ゲームをするきっかけや原因となる問題が起きている人は、このままの状態が続くか悪化する可能性が考えられます。また、自己コントロールがうまくできない人はゲーム使用のコントロールが難しく、ゲーム依存になりやすい傾向があります。女性よりも男性の方がゲームに依存しやすいという研究があり、ゲームの持つ何らかの特徴が男性に合っているのかもしれません。
現実生活が充実していて自分のアイデンティティが確認しやすい人や、現実生活の中で自分の居場所を感じられている人が、ゲーム依存に陥る可能性は極めて低いと言われています。危険要因の中に「友人がいない(少ない)」という項目がありましたが、この点と関連していると言えるでしょう。またゲーム依存を防ぐために、時間や使い方のコントロールが必要ですが、本人にコントロールする力がない場合は、周囲が本人や環境に介入しコントロールのサポートする必要があるかもしれません。
参考文献)樋口進(2018)「スマホゲーム依存」内外出版社