うつ病の家族を支える方法

家族が病気になったら、誰でも看病します。それではうつ病の場合はどうでしょう。熱があるわけでなく、自分で食事が取れないわけでもなく、元気はありませんが最低限の生活はできています。
。部屋にこもって、声をかけても明確な返事がありません。どうしてあげたら病気が良くなるのか、家族は混乱してしまいます。一体どのように看病してあげたら良いのでしょうか。





ここではうつ病になった時の家族がやるべきことを簡単にまとめました。6つのポイントに分けて紹介します。
1 うつ病を理解する

家族に一番理解して欲しいのは、うつ病は「怠け病」ではないことです。何かのきっかけで脳の神経伝達物資の分泌が少なくなり、脳の一部の機能が低下する病気です。すぐには治らず、治療機関は数か月から年単位にかかることもあります。
最も効果があるのは服薬と休養です。運動が良いとか、日にあたるのが良いとか言われていますが、あくまでも補助的なものです。一日ゴロゴロして何もしていないと、これでいいのかと思ってしまいますが、初期の頃は何もしないことが必要です。何もできないで一番焦っているのは本人ですので、むしろ安心して休めるようにしてあげるのが家族の役割です。主婦のうつ病の場合は、元気な家族が積極的に家事を代わってあげましょう。
良くなってくると好きなことからできるようになります。これは回復のサインです。しかし、肝心なことから逃げて、楽しいことだけやっているように家族の目に映ることがあります。良くなっていることを確信して、暖かく見守ってあげましょう。
2.いっしょに通院する

1回でも良いので、いっしょに通院して主治医と会いましょう。病院と主治医がどんな雰囲気なのかを知ることは大切です。家では相当悪い状態なのに、主治医の前で緊張して何も言えなかったり、薬を増やされたくないために良くなっているフリをしていることもあります。医師はあくまでも患者さんの言葉で状態を判断していますので、本人が本当のことを言っていないと治療が進みません。そんな時に家族からの情報は治療に役立ちます。
3.薬を飲めているかチェックする

うつ病で最も効果があるのは抗うつ薬の治療です。ただし即効性はなく、効果が出てくるのは2週間から1ヶ月してからです。辛い時はきちんと飲めるのですが良くなってくると薬を飲み忘れがちです
飲み忘れをしないように家族が見てあげましょう。良くなっていたのに急に悪くなることがありますが、その一番の原因は、薬を勝手にやめてしまうことです。
 信じられないかも知れませんが、家族が薬を調べて、「その薬は依存性があるから飲まない方が良い」と言ってやめさせてしまうことがあります。
。実はこれは大変多い話です。ネットには根拠のない記事がたくさんありますので注意をしましょう。主治医が精神科専門医であるならば、きちんと勉強をしていますので、害になる薬は処方しません。
4.関心をもってあげる

うつ病で辛いことは、家族から無関心でいられることです。特に更年期の女性のうつ病は孤独になりがちです。それが病気を悪くさせる原因にもなっています。家族が1日1回15分で良いので話を聞いてあげましょう。必ず聞くことに専念して、自分の考えばかり話すことは絶対にやめましょう。説教は禁物です。
5.焦らせない

子供や配偶者がうつ病の場合、「いつ治るの?」「学校どうするの?」「いつ会社に戻るの?」と言ってしまいがちです。一見普通に見えるのに、肝心なことをやらないので、このような言葉が出てしまうのだと思います。
しかし、一番焦っているのは本人自身です。家族は追い詰めるのでなく、むしろ学校や会社をより長くゆっくり休める方法といっしょに考えてあげましょう。うつ病の人にとっての家庭は、安心できる一番の療養の場であるべきです。
6.強要しない

ネットでは、「うつ病は朝の散歩で治る」という記事をよく見かけます。確かにある程度回復した状態ならば効果があるのは事実です。
しかし、そもそもうつ病は何もできなくなる病気ですから、初期の頃は朝起きることも、散歩をすることもできません。治療で一番大切なのは、薬の治療と休養です。できないこを無理強い(むりじい)するのは、追い詰めてしまうだけです。
ネットは情報であふれています。うつ病に効くサプリなど、うまい話がたくさんあります。しかし、確実に効果があるものならば主治医が勧めているはずです。うつ病の回復には時間がかかります。うまい話には振り回されないようにしましょう。
以上、家族の役割について6つ説明しました。うつ病の回復に家族の力はとても大きいものです。また、家族は、安心して過ごせる療養の場であるべきです。主治医と家族でチームを組んで治療に取り組めたら一番良いでしょう。