我慢のし過ぎ

まだまだ頑張れると思っていても、それは限界が来ているサインです。


みなさんは、「感情労働」という言葉をご存じでしょうか?肉体労働や頭脳労働は聞いたことがあると思いますが、感情労働と聞いてもピンと来ないかも知れません。


感情労働とは、お客さんや職場の相手に気持ちを合わせ、常に自分の感情を抑えなくてはならない仕事のことです。例えば、「嫌なお客さんでも笑顔をつくる」、「怖い上司の顔色を伺って働く」といった感じです。


また、いっしょに住んでいる家族に気を遣かって生活をしているために、家庭の中でありながら、まるで感情労働をしているような人もいます。すると我慢の限界が来て心が壊れてしまうでしょう。


このように、毎日のように自分の感情を押し殺して生活をしていると、心は疲れ果てて何もかも嫌になっていきます。そこでやめられたら良いのですが、責任感のつよさから、「まだまだ頑張れる」と思い、気持ちを抑え続けようとする人もいます。


心が壊れてしまう前に、必ず体からSOSのサインが出ます。「もう無理だ」という本音を押し殺している時に出てくるサインです。今回は、我慢の限界が来ているサインを7つ紹介しましょう。





1 歯の痛み

人でも動物でも、最も多い病気は風邪ではなく、歯の病気です。口は飲食物の入口ですので、さまざまな問題が起こるのです。また、口はストレスの影響も大変多く受けます。


ストレスから免疫力が低下したり、唾液の分泌が減ったりすることから、口の中に細菌が増えやすく、虫歯や歯周病になりやすくなります。


さらに、ストレスから食いしばりや寝ている間に歯ぎしりが起こることもあります。歯がすり減り、歯周病の原因になることがあるでしょう。


きちんと歯磨きをしているのに、歯医者通いというのは、ストレスの影響も大きいのです。歯のトラブルには、我慢のし過ぎが関わっている可能性があります。



2 食欲のコントロールがつかない

ストレスでストレスホルモンが増えることにより、「感情食い」(かんじょうぐい)という現象が起こります。十分な栄養をとっているのに、イライラの解消のために大量に食べてしまうのです。


特にジャンクフードなどの味が濃く、カロリーの高い物を食べてしまいがちです。そのためにどんどん体重も増えて行きます。


さらに我慢の生活を続けていると、こんどは徐々に食欲が減り、体重も減るようになります。これはすでに心が壊れてしまい、うつ病になっているサインです。


3 腹痛や下痢

胃腸はストレスに敏感な臓器です。我慢が限界を越えると、慢性的な腹痛や下痢、便秘を起こすようになります。特に大切な集まりや乗り物に乗っている時に起こる腹痛と便意は、「過敏性腸症候群」と呼ばれています。





4 肌荒れ、髪の毛が抜ける

肌や髪の毛もストレスに敏感に反応します。原因不明のかゆみ、肌荒れ、ニキビ、皮膚炎、脱毛など、我慢が限界を越えてくると、肌や髪の毛のトラブルが起こりやすくなります。


急激に髪の毛がうすくなる、白髪が増えるというのは周りの人もすぐ気づくことです。周囲にそのような人がいる場合は心配をしてあげましょう。



5 血圧が上がる

生活習慣病で知られている高血圧もストレスの影響を受けます。特に薬を飲んでも乱高下(らんこうげ)をする高血圧は心理的な要素が関わっている可能性があります。


心臓病や脳梗塞につながり、命に関わる問題に発展することがあるため要注意なサインです。



6 息苦しい

我慢が限界を越えると、原因不明の息苦しさがつづく場合があります。喘息になったと感じるくらいに呼吸がしづらくなるのです。何かの引き金で過呼吸の発作を起こすこともあるでしょう。



7 イライラ、涙が出てくる

我慢が限界を越えると、情緒が不安定になります。心の制御ができなくなるのです。


些細なことで突然怒りを爆発させたり、パニックを起こしたりということが起こるようになります。また、理由も分からないのに、突然涙がこみ上げてくることもあります。



我慢は、生きていく上でとても大切なことです。我慢をしながらやり遂げることで人は成長することができます。ところが、我慢のし過ぎは、心が壊れてしまい慢性的な精神疾患になってしまいます。


体のことに例えれば、筋トレをやり過ぎると、筋肉がつくどころか、筋肉が断裂してしまうことと同じです。そうなっても誰も責任をとってくれません。自分の心は自分で守らなくてはならないのです。


これ以上我慢をしてはいけない時に、必ず体はSOSを出しています。


今回紹介したサインに気づいたら、まだまだ頑張れると思わないで、辛いことから逃げたり、周りの人に助けを求めたりすることを考えましょう。


人生においては、「がんばる」、「耐える」だけでなく、「逃げる」、「助けを求める」ことも心を守るために大切なことなのです。