うつ病の良くない習慣
うつ病は、健康な時の元気がない状態の延長ではありません。健康な時とは明らかに違う状態です。
自分で考えている以上に脳の働きは低下し、心の抵抗力も落ちています。このことを認識できていないと、健康な時にやっていた行動を習慣的に続けてしまい、うつ症状を悪化させてしまうことがあります。
今回は、うつ病の人がやりがちだけれども、良くない習慣を紹介しましょう。普段やっていた習慣が、うつ病になるとマイナスに働くことがあることを知っていただきたいと思います。
自分で考えている以上に脳の働きは低下し、心の抵抗力も落ちています。このことを認識できていないと、健康な時にやっていた行動を習慣的に続けてしまい、うつ症状を悪化させてしまうことがあります。
今回は、うつ病の人がやりがちだけれども、良くない習慣を紹介しましょう。普段やっていた習慣が、うつ病になるとマイナスに働くことがあることを知っていただきたいと思います。
1 他人と比べる
私たちは、自分を向上させるために、他人と比べることをやってきました。学校では成績を比べ、受験の時は偏差値で競争してきました。気がつくと、容姿、収入、地位、持ち物など、何でもかんでも人より上か下かで考える習慣がついています。
元気な時は、自分より上にいる人を見て、「私もそうなりたい」と奮起してきたはずです。ところが、うつ病になると、自分を奮い立たせるためでなく、自分の欠点を責めるために他人と比べてしまいます。これは自己肯定感が低くなったためです。
SNSで輝いている人を見ては「今まで自分は何をやってきたんだ」、同級生が出世した知らせを聞いて「自分はダメ人間だ」と考えるようになります。何でも比べて、「ダメだ」、「情けない」となっているのがうつ病です。
そのうち生きている意味がないという結論を導き出してしまいます。これは症状なのです。
うつ病の時は他人と比べないようにしましょう。といっても比べるのが習慣になっているので仕方がありません。比べる前に、他人の情報が入って来ないように自分を守ることが大切です。
療養中は人のSNSは見ないことです。万が一、他人のうらやましい情報が入って来たら、無視してスルーするようにしましょう。
そもそも他人の成功で自分の幸福が決められるのもおかしな話です。人が成功しようが、幸せになろうが、「私には関係ない」で行きましょう。
2 過去の栄光と比べる
後悔はうつ病の症状の1つです。昔の良かったことを思い出して、「何でこんなダメになったのだろう」と自分を責めてしまうのが特徴です。ここでも比べる習慣が出てきているのです。
例えば、以前パートナーと楽しかった時を思い出して、今一人でいる自分を「情けない」と感じます。そして、「私の人生はどんどん悪くなっている」とネガティブな結論を導き出してしまうのです。
人生は波があるものです。過去の栄光と今を比べることは良くありません。ただし、「昨年の今頃は寝たきりだったのに、今は働けているじゃないか」と言った感じに、症状の改善を確認することは良い事です。
3 元気な頃と比べる
働けないことに「ダメ人間だ」、風呂に入れない自分に「情けない」と自分を責めてしまうのは、病気であることを十分に認識できていないのかも知れません。
普段できていた当たり前のことができなくなるのがうつ病です。
これはうつ病がどのようなものか把握できてなく、元気な頃と比べて自分を責めているのです。できない時は、「病気なんだから仕方ない」と考えましょう。
4 目標に向かって努力する
目標をつくってそれに向かって努力することは大切なことです。
ところが、職場から「いつまでに戻れますか?」と尋ねられることや、休職期間に制限がある場合、「いつまでに治さなくてはならない」と追い詰められることがあります。そして、「来月までに働けるようになろう」と無茶な目標を立てる人もいます。
しかしながら、うつ病は風邪などと違って、いつまでに治ると明確な予定を立てることができません。数カ月で復職できる人もいれば、復職までに数年かかる人もいます。
いつまでに治すと言う目標がプレッシャーになって、ゆっくり療養できなくなる場合もあるでしょう。
うつ病は無理をしないで自然に治って来るものです。焦りが病状を悪くさせることもあるので、「いつまでに治す」と言う目標を立てられません。「来月までに治ったらいいな」という大まかな感じで過ごすのが良いと思います。
職場や主治医とよく相談しながら、治っていないならば休職期間を延長するようにして、無茶な復職はしないようにしましょう。例え職場を辞める結果になっても、何よりも健康を優先するべきであると思います。
5 困難に向かって行く
困難に向かって行くことは、自分を成長させるために必要なことかも知れません。しかし、うつ病は生きるエネルギーが枯れてしまった状態です。困難に立ち向かって、枯れたエネルギーをさらに使い果たすことはするべきではありません。
自分の成長よりも、休養して心の充電をすることを考えるのが優先です。ですから、うつ病の時は「逃げるが勝ち」をモットーにしましょう。余計な責任を負うようなことはせず、心を充電することに時間を使いましょう。
うつ病は普段の自分とは違う状態です。元気な時にやってきた習慣である「比べる」、「目標に向かって努力する」、「困難に立ち向かう」といったことはとりあえずお休みです。もしかすると、これらのことをやり過ぎてうつ病になったのかも知れません。
とりあえず、元気になるまでは、「人は人、自分は自分」、「病気を治すことを優先」、「必要のない責任は負わない」、「逃げるが勝ち」といったことを座右の銘にして過ごしてみてください。
