家族が病んでいるサイン
家族が生活する空間が家庭ですが、何気なくいっしょに生活しているだけではありません。父親、母親、子供が、互いに深くつながりあっているため、どこかのつながりに何か問題が起きると、家族全員がその影響を受けてしまいます。家族は、メンバー一人一人が何らかの役割を持った一つのシステムと見ることができるでしょう。心理学では、これを「家族システム」と呼んでいます。
家庭には、団らん、子供を育(はぐく)む、地域とつながる、という3つの役割があります。ところが、夫婦が争ったり、親子が反発し合うなど、家族のどこかのつながりに問題が起きると、家族システムに歪みが起こり、家庭の本来の役割が機能しなくなります。人に病気があるように、家庭にも病気があるのです。
ここでは、家庭が病んでいるサインを6つ紹介しましょう。
家庭には、団らん、子供を育(はぐく)む、地域とつながる、という3つの役割があります。ところが、夫婦が争ったり、親子が反発し合うなど、家族のどこかのつながりに問題が起きると、家族システムに歪みが起こり、家庭の本来の役割が機能しなくなります。人に病気があるように、家庭にも病気があるのです。
ここでは、家庭が病んでいるサインを6つ紹介しましょう。

1. 家庭に安らぎがない
健康的な家庭は、お互いがよいコミュニケーションをとり、メンバーが安心できる空間です。仕事や学校で辛いことがあっても、家に帰ると安らぎ、気持ちをリセットして次の日もがんばることができます。家庭の安定があってこそ、メンバーは社会で活躍できます。家庭の最も大切な機能は団らんなのです。
ところが、父親と母親の仲が悪くいつも喧嘩をしているならば、家庭に安らぎはありません。他にも、父親が毎日酒を飲んで帰り、少しでも機嫌を損ねると怒り出す家庭、母親が精神病で子供がそのケアをしなくてはならない家庭、なども同じです。
人は安らげる場所がなければ、家庭の外に安らぎを求めます。親の場合は、職場や趣味で付き合う人と家族のような関係を築こうとします。最悪の場合は、不倫という形で安らぎを求めることになるでしょう。子供の場合は、学校へ行かなくなり、不良仲間とつるむようになります。外に安らげる場所があればまだ良い方ですが、逃げ場がなければ、心を病んでいくでしょう。
2. 家庭に会話がない
お父さんは真面目に働き、お母さんは家族のために一生懸命に家事をして、はたから見れば普通の家庭でも、家族同士の会話がない場合があります。会話があったとしてもお互いの要求やスケジュールを伝えるだけの最低限のものです。これでは、お互いが何を考えているのかが分かりません。家族の心の結びつきがないのです。
人はつながりを求めます。つながりを通して、労(ねぎら)いや癒しが必要なのです。家庭につながりがなければ、家庭の外につながりを求めるようになるでしょう。家庭に安らぎがない状況と同じことが起きてしまいます。
3. 「家」の縛りがつよい
封建時代は、家を守り代々存続させることが何よりも優先されました。家族のメンバーよりも家の存続に価値を置いたのです。家を継げない男性、子供を産めない女性は価値がないと扱われました。
このような価値観は、はるか昔のことように感じますが、実はいまでも続いています。歌舞伎などの古典芸能の家庭は典型的なものですが、それだけでなく家が会社、老舗(しにせ)、病院などを経営していると、親は子供にその後を継ぐことを暗黙のうちに強要してしまいます。
子供は家族の一員ですが、独立した個人でもあります。子供の意見が尊重されずに、家を守ることばかりが優先されては、子供の心は病んでしまいます。

4. 人を呼べない
「家が散らかっていて人を呼べない」という程度ならば問題ないのですが、父親が人を迎えると怒る、母親の情緒が不安定である、ひきこもりの子供がいる、など、何かの理由があって部外者を寄せつけない場合があります。メンバーだけで家族の問題を解決できない場合は、外部の人の援助が必要です。
しかし、部外者を排除して孤立しては、永遠に問題を解決することができません。そこで育つ子供も孤立して助けを求められません。
5. 子供の接し方に差がでている
親が未熟であると、子供たちを平等に愛することができません。より優秀な子供、より素直で可愛い子供が愛されやすい傾向があります。また、兄弟同士で血がつながっていないと、血のつながっている子供がより愛されることもあります。
このように、兄弟間で親との関りに差ができてしまうと、より愛されなかった子供の心には大きな傷が残ってしまいます。家の中に差別があるのは、家庭が病んでいるサインでしょう。
6. 子供に問題が起きている
家庭は子供を育む場ですから、子供の心が病んでしまうことは、家庭が病んでいる大きなサインです。親が抱えている心の問題や夫婦仲が悪いことは、子供の心に引き継がれてしまいます。子供に心の病気、引きこもり、暴力などの問題が起きる場合は、親の問題や夫婦関係が原因のことが多いのです。家族はシステムですので、親の問題を解決していくと子供の問題が自然に解決することがあります。
例えば、仲が悪く話し合うことすらしなかった夫婦が、子供の問題から頻繁に話し合うようになり、互いに力を合わせるようになると、子供の問題が自然と解決に向かうこともあります。
「うちの家族はおかしいな」と感じたら、感じた人が何かアクションを起こしましょう。家族はシステムです。例え小さな出来事でも、それが起爆剤となって家族全体が良い方向に変わっていく引き金になるでしょう。
