うつ病になって情けないと感じてしまう

うつ病になって何もできないことを「情けない」と思っていませんか?


うつ病の回復には、月単位、年単位の時間がかかります。長く患っていると、やりたいことができないことを「情けないな」と感じることはないでしょうか。


例えば、「メールの返信ができない」、「服が片づけられず山のように積もっている」、「役所への大切な書類をいつまでも提出できない」、といったように、やりたいのにいつまでもやらない自分を責めてしまうのです。


それが高じると、「何もできないダメ人間」、「生きる価値がない」とどんどん自分を責め続けてしまいます。このように落ち込んでしまう時にはどのようにしたら良いのでしょうか?


そもそも、「情けない」と思ってしまうのは、「今の自分は病気でなく、努力をしないでいるだけ」という誤解があります。そのために、努力できないこと、頑張れないことを悔しく感じていて、「情けない」と自分を責めてしまうのです。


ですから、うつ病とは何なのか、その正体を正確に理解することで、「情けない」を減らすことができます。


そこで今回は、うつ病になって「情けない」と感じる人は、どのようにうつ病を捉え、それと向き合ったら良いのかを説明しましょう。





1 うつ病は努力できなくなる病気

うつ病は脳の働きが低下している病気です。症状は気分の落ち込みだけでなく、物事への興味や関心がなくなり、気力もなくなります。その上、倦怠感などの体の症状も現れます。

その結果起こることは、以前できていたことができなくなるということです。「努力できない」、「頑張れない」はうつ病の症状なのです。そういう病気だから、できなくて当たり前です。「情けない」と感じたら、「病気なんだから仕方ない」と開き直りましょう。 





2 生きることだけで精一杯

何もできなくなる病気ですから、生きているだけで精一杯です。家族も同僚も働いているのに、自分は何もできません。


しかし、そもそも療養中ですから、元気な人と比べることはやめましょう。人は人、私は私です。「私はうつ病と格闘中、生きるだけで精一杯」で良いと思います。怠けているのではありません。



3 うつ病は誰でもなる

最近の研究では、うつ病は誰でもなる病気であることが分かりました。特定の性格の傾向や心が弱いからなったのではありません。うつ病は高血圧などの体の病気と同じで、特別な病気ではありません。


精神科に通うことが恥ずかしいという人がいますが、時代遅れの考え方です。現在、うつ病で通院中の日本人は100万人を超えています。精神科に通うことは特別なことではありません。





4 私のせいで病気になったのではない


自分を責め始めると、「何でこんな病気になったのかな」と考えることもあります。中には、「何か間違ったことをした罰なのかな」という考えに落ち込む人もいるでしょう。


うつ病とは、無理や我慢をし過ぎて心が傷つき、同時に脳の働きが弱ってしまった状態です。そもそも、今の世の中、無理や我慢をしないで生きて行くことはできません。頑張り過ぎ、我慢のし過ぎは仕方なかったことなのかと思います。ですから、自分のせいでうつ病になったのではありません。



5 肩書は気にしない

世の中には、やたらと肩書を自慢する人がいます。「有名大学を出た」、「資格を持っている」、「表彰されたことがある」、「どこそこに所属している」など、聞いていて気持ちの良いことではありません。私たちは、肩書で人の価値が決まるのではないことを知っているからです。


うつ病になって肩書がなくなったと嘆く人がいますが、肩書で人の本質が決まるものではありません。気にしないことが大切です。成績、地位、名誉など、社会への実績が人の価値を決めるのではありません。



5 頑張るのをやめる

「病気だからできない」と開き直ることをお勧めしましたが、このような考え方に抵抗を感じる人もいるようです。そういう人たちは、「自分を甘やかして、病気に逃げている」と言います。


開き直れないのは、頑張る生き方が当たり前に染みついていて、頑張らない生き方がダメな生き方であると勘違いしているからです。


私たちは、親からも学校からも、何事も目標を立てて努力することを教わってきました。これは人生を着実に生きて失敗をしないためです。


ところが、幸せになると信じて働き続け、その結果うつ病になりました。まるで梯子をはずされたような気分です。ですから、頑張ることが一概に正しいとは言えないのです。



頑張らない生き方とは、何事も無理をしないで一生懸命にならない生き方です。人と比べることをせず、できないことはやらない主義です。最低限のことだけやって、「あとは神様に任せた」という感じの生き方です。これは、怠けて生きることと違います。


頑張って生きている人は、何もしない1日が許せません。しかし、頑張らない生き方をしている人は、ボーっとして何もしない1日であっても自分を許すことができます。このような力を入れない生き方は、うつ病の回復にもつながるでしょう。