音楽が聴けなくなるうつ病って?
うつ病に音楽が聴けなくなる、聴きたくなくなるという症状があることを知っていますか?
・「散歩中や通勤中にイヤホンで音楽を聴くことが好きだったのに煩わしくなった。」
・「リラックスしたくて音楽を聴こうとしたが、いつも好きな曲が雑音にしか聞こえず、よけいイライラして途中でやめてしまった。」
・「部屋にいる時はいつもBGMを流していたが、いまは音がない方が落ち着く。」
音楽だけではありません、エンターテイメント全般にこんな症状があります。
・「映画が見られない。ストーリーに頭がついていかない。日本映画なら少しいいが、字幕スーパーが読めない。」
・「辛うじてニュースは見られるが、ドラマやバラエティーはうるさいだけなのでテレビが見られない。」
・「文字が読めない。長い文章は意味を理解するのが難しい。雑誌の写真や絵を見たり、新聞の見出しを読むくらいならできるが、普通の本が読めない。」
これらはうつ病で集中力が低下したり、物事への興味や関心が薄れてしまうことが原因です。刺激に敏感になるために、大きな音や明るい映像に正常な反応ができなくなることも理由の一つです。

これらは軽症から重症まで広くうつ病に見られる症状です。うつ病だけでなく、統合失調症や躁うつ病など、うつ症状の伴う精神疾患にも見られることがあります。
治療を受けてうつ病が治っていくと、これらの症状は必ず改善されます。しかし、比較的遅い段階で改善するので焦らず回復を待つのが良いでしょう。うつ病を治療しながら、久しぶりにイヤホンをつけて音楽を聴いた、映画を1本楽しめた、となるとうつ病が相当回復したサインになります。

うつ病が回復していくと、少しずつできることが増えていきます。簡単で好きなことから始まり、徐々に難しいことができるようになります。
最初は寝たきりで散らかった部屋の片づけからできるようになる人が多いようです。少しずつ動けるようになっても、初めの頃は好きなことしかできません。はたから見ていると、難しいことから逃げて好きなことしかやらないように思われやすい時期です。
自分でも「甘えているのではないか」と錯覚してしまう時期でもあります。この時期は周囲も自分も「甘えている」「怠けている」と思わず、むしろ「やれなかったことができた」と褒めてあげるべきでしょう。

好きなことだけできる時期を経て、ようやく仕事や勉強などのレベルの高いことができるようになります。好きだった音楽を聴きたくなり、楽しめるようになったら大変良いサインなのです。休んでいるのに好きなことしかできないと負債に感じることなく、好きなことから始めていくことが大切です。
音楽が聴けなくなる、聴きたくなくなる、という状態は、うつ病のサインです。いつもの自分と違うと感じたら、早めに専門機関を訪ねてみましょう。
