双極性障害における「うつ状態」の特徴
気分が高揚する躁状態と、気分が落ち込むうつ状態が繰り返し起きる病気を双極性障害と言います。躁とうつという気分の2つの極が見られるために双極性と呼んでいます。躁うつ病とは同じ意味です。以前は躁うつ病とうつ病が同じ病気であると考えられていましたが、20年ほど前に別の病気であることが判明しました。そこで、うつ病ときちんと区別をつける目的で、躁うつ病を双極性障害と呼ぶようになったのです。
双極性障害は、躁状態から始まる人もいればうつ状態から始まる人もいます。躁状態とは、簡単に言うと元気過ぎる状態です。気分が高揚し、寝ないで活動し、よくしゃべり、浪費が多くなります。しかし、苦痛を感じないので自ら受診することはありません。

それに対して、うつ状態は気分が落ち込むなど、苦痛を感じるために病院を受診するきっかけになります。ほとんどの双極性障害の人は、受診した時にうつ状態の訴えだけをして、躁状態があったことを医師に話しません。そのために、医師は双極性障害に気づかずにうつ病と診断してしまいます。光トポグラフィー検査というものがありますが、残念ながら100%信頼がおけるものではありません。このような感じで、双極性障害のうつ状態は、半分以上が最初にうつ病と診断されています。
治療をすすめる中で抗うつ薬が効かなかったり、薬のせいで躁状態になることもあり、ようやく双極性障害に気づかれます。実際に、最初にうつ病と診断された人の20%が、後から双極性障害と診断を変更されています。正しい診断がつくまでに数年~10年かかる人もいます。双極性障害とうつ病では治療方法が異なりますので、できるだけ早い時期に区別されるのが好ましいでしょう。
今回は、双極性障害のうつ状態の特徴を説明します。特にうつ病と区別するために参考となる6つのことを上げてみました。
治療をすすめる中で抗うつ薬が効かなかったり、薬のせいで躁状態になることもあり、ようやく双極性障害に気づかれます。実際に、最初にうつ病と診断された人の20%が、後から双極性障害と診断を変更されています。正しい診断がつくまでに数年~10年かかる人もいます。双極性障害とうつ病では治療方法が異なりますので、できるだけ早い時期に区別されるのが好ましいでしょう。
今回は、双極性障害のうつ状態の特徴を説明します。特にうつ病と区別するために参考となる6つのことを上げてみました。


1 循環気質
循環気質とは、躁うつ気質とも言われ、双極性障害になりやすい性格的な傾向です。具体的な特徴としては、明るく社交的で、笑顔の多い話好きな人です。容姿は、丸顔で比較的ふくよかな人が多いとも言われています。しかし、良いことがあると気分が上がり、悪いことがあると下がるといったように、気分が環境に左右される傾向があります。
2 親族に双極性障害の人がいる
双極性障害は、遺伝の影響がつよいことが知られています。双極性障害の人の半分は、親もそうであるというデータがあります。ただし、病気をおこす単一の遺伝子があるわけではありません。遺伝と環境の問題が複雑に絡みながら発病に至ります。双極性障害の人の子供が必ず発病するわけではありませんので、結婚して子供を産まない方が良いということではありません。
3 子供の頃に何らかの神経的な問題があった
双極性障害や統合失調症は、生まれつきの脳神経の問題があることが知られています。そのために、子供の頃に何らかの発達の遅れがあることや、チック症状などの神経症状が見られることもあります。就学前後から中学生にかけて、何らかの神経的な症状で小児科や精神科を受診した経験がある人は、その後にうつ状態が出た場合、双極性障害や統合失調症の可能性も考えるべきでしょう。

4 25才より前にうつ状態を発症している
双極性障害のほとんどは、10~20代で発症しています。うつ病と違って、40代以降に発症する人はあまりいません。ですから、25才より前に発症したうつ病に関しては、双極性障害の可能性も考えた方が良いでしょう。
5 過食・過眠・体重増加がある
うつ状態では食欲と睡眠に症状が出ます。うつ病の場合は、食欲が低下し、眠れなくなる人が多く、体重が減ってしまいます。まさに憔悴(しょうすい)するという言葉が当てはまる状態です。
ところが、双極性障害のうつ状態では、むしろ食欲は亢進して過食になり、「体が鉛のように重い」と倦怠感を訴えてずっと眠っていることが多くなります。そのために、体重が増える傾向にあります。
6 抗うつ薬が効かない、効きすぎる
抗うつ薬を服用しても全く効果がない人、もしくは急激に良くなる人は双極性障害の疑いがあります。全く効果がない場合は双極性障害の診断が早めにつきやすいのですが、良くなっている場合はなかなか区別がつきません。うつ病の場合は抗うつ薬の力で少しずつ改善していくのが普通ですが、急激に元気になり、短期間でうつ状態が嘘だったように活動的になるようでしたら双極性障害の可能性がつよいでしょう。
