知ってほしいADHDの症状
注意欠如多動症とは、落ち着きがなく、その場の思いつきで行動するために、生活に生きづらさを感じてしまう障害です。子供の頃に発症する発達障害の1つで、略してADHDと呼ばれています。
そもそも、子供は落ち着きがないものですが、小学校に入る頃には、おとなしく座って先生の話を聞くことができるようになります。ところが、学年が上がっても、静かに座っていられず、隣にちょっかいを出したり、足をバタバタさせたり、ジッとしてられない場合はADHDの可能性があります。昔は親のしつけの問題と考えられていましたが、脳の発達の問題があることが分かってきました。
ほとんどの場合、落ち着きのなさは、中学生になると個性の範囲に収まるようになり、社会生活に大きな支障はなくなります。ところが、大人になっても、目の前のことに集中できず、頭の中はとりとめのないことを次から次へと考える、といった症状が残る人もいて、これが大人のADHDと呼ばれるものです。
大人のADHDは、職場で不注意なミスを連発したり、異性関係やお金のトラブルを繰り返したり、社会生活に支障が出るケースもあります。周りの人と同じようにできないことから、自信を失ってしまうこともあるでしょう。「だらしない人」と誤解されることも多く、生きづらさを感じています。
今回は、生きづらさの原因となる症状を中心に、知って欲しい大人のADHDの8つの症状について説明しましょう。
そもそも、子供は落ち着きがないものですが、小学校に入る頃には、おとなしく座って先生の話を聞くことができるようになります。ところが、学年が上がっても、静かに座っていられず、隣にちょっかいを出したり、足をバタバタさせたり、ジッとしてられない場合はADHDの可能性があります。昔は親のしつけの問題と考えられていましたが、脳の発達の問題があることが分かってきました。
ほとんどの場合、落ち着きのなさは、中学生になると個性の範囲に収まるようになり、社会生活に大きな支障はなくなります。ところが、大人になっても、目の前のことに集中できず、頭の中はとりとめのないことを次から次へと考える、といった症状が残る人もいて、これが大人のADHDと呼ばれるものです。
大人のADHDは、職場で不注意なミスを連発したり、異性関係やお金のトラブルを繰り返したり、社会生活に支障が出るケースもあります。周りの人と同じようにできないことから、自信を失ってしまうこともあるでしょう。「だらしない人」と誤解されることも多く、生きづらさを感じています。
今回は、生きづらさの原因となる症状を中心に、知って欲しい大人のADHDの8つの症状について説明しましょう。
1 将来を考えずに行動する
イソップ童話の「アリとキリギリス」はご存知ですか?夏の間、冬に備えてコツコツと働いて食べ物を蓄えるアリと、冬の準備よりも夏を楽しんでいるキリギリスの話です。冬になって、キリギリスは遊び過ぎたことを後悔します。
ADHDの人は、キリギリスのように、将来のことよりも、今の満足を優先して物事を決める傾向があります。結果がどうなるかを考えずに行動するのです。最終的にうまく行くこともありますが、キリギリスのように失敗や挫折を経験することがあります。
最近のニュースでは、儲け話にのって借金をつくったり、その場の勢いで不倫をしたり、取り返しのつかない失敗をする有名人がいます。築き上げてきたキャリアを一瞬で壊してしまうようなことをなぜするのだろうか?と疑問に感じますが、これはADHDの特徴的な行動なのです。
2 分析するのが苦手
注意を絞ることが苦手なため、ちょっとしたことで気が散りやすく、周りの出来事を短絡的に理解します。物事を深く考えて分析することができず、自分の失敗の原因を修正することも苦手です。これが原因で、同じ失敗を何度も繰り返します。
3 同じ失敗を繰り返す
向こう見ずであったり、分析が苦手なため、同じ失敗を何度も繰り返します。学校で先生から叱られても遅刻や忘れ物の常習犯になってしまいますし、職場でも同じミスばかりで、「反省しない人」と周りは呆れてしまいます。
実際は、反省しないのではありません。痛いほど反省しているし、むしろ、できないことで自信を失い、「ダメな人間だ」と自分を責めているのです。子供の頃から、これを繰り返して、ネガティブになっているADHDの人も多くいます。中には自分を責め過ぎてうつ病になる人もいるでしょう。
4 素直に間違いを認められない
よく考える前に、感情や行動が先走ってしまう傾向があります。間違いを指摘されると、自分が間違っていることを理解できても、その場で感情をおさめることができません。つい反抗的な態度をとってしまい、相手に不快な思いをさせてしまいます。「気がつよい」「素直でない」と言われてしまうでしょう。
5 傷つきやすい
子供の頃から、失敗や挫折の体験が多い人は、心が傷つきやすくなっています。また、失敗することに敏感になり、「どうせうまくいかない」と諦めが早くなっていることもあるでしょう。はたから見ていると、「根気がない」と悪い評価をつけられてしまいます。そうではなく、失敗で何度も嫌な思いをするのを恐れているのです。
6 空気が読めない
「空気が読めない」というと、自閉スペクトラム症の代表的な症状と考えられていますが、実は、ADHDにも見られるものです。自閉スペクトラム症の人は、周りに注意を向けられないために空気を読めないのですが、ADHDの人は、必要な情報だけに注意を絞れないために状況を読みとることができません。
場の雰囲気を理解できないために、新しい職場で緊張したり、不安になりやすいという傾向があります。
7 時間の感じ方が独特
ADHDの人には、遅刻が多いことや、物事を先延ばしにしてしまうことが知られています。普通なら時計やカレンダーを意識しながら、自分の行動を合わせますが、「気づいたら時間が経っていた」と言う感じに、意識から時間がなくなっています。時間の感じ方が独特であると考えたら良いでしょう。
8 躁うつ病と診断される場合もある
ストレスで心が不安定になると、落ち着きのなさ、衝動性などの症状がより目立つようになります。職場で仕事が多かったり、家庭で心配事が多いと、症状が激しくなるのです。
中には、ほとんど眠らないで、1日中落ち着きなく行動するようになってしまい、ふだんの仕事や生活ができなくなるケースがあります。この場合は、躁うつ病と診断されます。躁うつ病とは、双極性障害、双極症とも呼ばれ、気分の激しい波を繰り返す病気です。躁うつ病とADHDは似ているところが多く、神経的にも共通点があると考えられています。
大人のADHDの1番の生きづらさは、失敗を繰り返してしまうことと、周りから反省しない人と誤解されることです。失敗を繰り返すのは、神経の特性として仕方がありません。本人も一生懸命なのに、周りからは、「だらしない」「努力が足りない」「親のしつけが悪かった」とネガティブに評価されてしまうのです。
最後に、このような生きづらさへの解決方法を簡単に紹介しましょう。何よりも、家族や同僚にADHDの特性を理解してもらうことが大切です。努力してもできないのであって、怠けているのではないと理解してもらい、細かいスケジュール管理、片付けなど、苦手な部分はサポートしてもらいましょう。
時には、経済面での援助も必要になることもあるでしょう。「いい年して親に生活の面倒をみてもらっている」「いつまでも親にお金の援助をしてもらっている」でも良いのです。
ただし、異性問題とお金のトラブルには注意が必要です。不倫や借金は社会的なダメージがとても大きく、周りからのサポートにも限界があります。ましてやサポートしている家族を裏切るようなことをしては行き場がなくなります。
また、ストレスで心が不安定だと、より症状が出ると説明しましたが、逆に言うと、落ち着いた環境では、症状は目立たなくなります。子供の場合は、親が落ち着いて対応するとADHDの症状も落ち着きます。
大人の場合も、仕事でミスを連発する場合は、仕事のプレッシャーを減らす、仕事量を減らす、職場のコミュニケーションを良くするなど、職場を過ごしやすくして解決することがあります。特性ですから、自分は変わることはできませんが、安心して気持ちよく働ける場所ならば、自分の能力を発揮できるようになります。
また、落ち着きのなさや衝動に対して薬の治療があります。トラブルが多い場合は、薬の治療を利用することも良いでしょう。
