うつ病と完全主義
一昔前、うつ病と性格の問題が論じられた時期がありました。「うつ病になるのは性格の問題ではないか?」という議論です。特に、「メランコリー親和型」と呼ばれる、几帳面で融通がきかない性格の人がうつ病になると考えられていました。
例えば、仕事の環境が変わった時に、自分のやり方を頑固に変えないために、神経をすり減らしてうつ病になるというのです。その後、うつ病が世界中に広がるようになり、単に性格の問題だけで解決できないことが分かりました。現在では、うつ病は誰でもなる病気と考えられています。
しかし、完全主義とか、完璧主義と呼ばれる性格が、うつ病になりやすく、またうつ病をこじらせてしまうということが知られています。完全主義とは、簡単に言うと、何事もいいかげんに済ませられず、気になることをとことん追求してしまうことです。
目的に向かって自分をコントロールするので、高い目標を掲げて、それに向かってあきらめないところは社会的に成功するでしょう。しかし、失敗に過敏すぎることや、他人からの評価を気にしやすいところでは、メンタルヘルスに悪い影響があり、うつ病を発症しやすくなります。
また、うつ病を発症すると、完全主義がつよくなる傾向もあります。病気を素直に受け止めることができずに、病気と葛藤してしまい、回復を遅らせてしまうことも出てくるでしょう。
完全主義の傾向は、「誠実さ」という生まれつきの性格が根っ子にあるので、大きく変えることができません。心配事や不安に対して、本来は受け流すべきところを、完全主義の行動をとってしまうためにこじれてしまうのです。完全主義が悪いというのでなく、方向性を修正すれば良いだけのことです。
今回は、うつ病で療養中の人に向けて、完全主義を修正する5つの方法を紹介しましょう。もちろん、うつ病の発症や再発の予防にもなる内容です。
例えば、仕事の環境が変わった時に、自分のやり方を頑固に変えないために、神経をすり減らしてうつ病になるというのです。その後、うつ病が世界中に広がるようになり、単に性格の問題だけで解決できないことが分かりました。現在では、うつ病は誰でもなる病気と考えられています。
しかし、完全主義とか、完璧主義と呼ばれる性格が、うつ病になりやすく、またうつ病をこじらせてしまうということが知られています。完全主義とは、簡単に言うと、何事もいいかげんに済ませられず、気になることをとことん追求してしまうことです。
目的に向かって自分をコントロールするので、高い目標を掲げて、それに向かってあきらめないところは社会的に成功するでしょう。しかし、失敗に過敏すぎることや、他人からの評価を気にしやすいところでは、メンタルヘルスに悪い影響があり、うつ病を発症しやすくなります。
また、うつ病を発症すると、完全主義がつよくなる傾向もあります。病気を素直に受け止めることができずに、病気と葛藤してしまい、回復を遅らせてしまうことも出てくるでしょう。
完全主義の傾向は、「誠実さ」という生まれつきの性格が根っ子にあるので、大きく変えることができません。心配事や不安に対して、本来は受け流すべきところを、完全主義の行動をとってしまうためにこじれてしまうのです。完全主義が悪いというのでなく、方向性を修正すれば良いだけのことです。
今回は、うつ病で療養中の人に向けて、完全主義を修正する5つの方法を紹介しましょう。もちろん、うつ病の発症や再発の予防にもなる内容です。

1 気持ちや体調に素直になる
完全主義の人は、自分の素直な気持ちや体調よりも、理想や計画を優先しがちです。ところが、うつ病になると、まるで天気のように気分や体調が移り変わるために、理想や計画が思い通りになりません。「明日はどうしても会社へ行く」と予定を立てても、それができなくなることが多いのです。そんな時に、這ってでも会社へ行こうとするのが完全主義です。
これでは病気は治りません。「疲れている時は休む」「やりたくないことはやらない」「できないことは断る」と、自分の気持ちや体調に素直になることが、うつ病の予防や回復に必要です。
病気ほど自分の思い通りにならないことはありません。思い通りにならないことは、完全主義の人にとって最も苦手なことです。病気になってしまったならば、「病気なのだから、できなくて当たり前」と開き直って考えるようにしましょう。闘うよりも、開き直った方がうつ病の回復は早いものです。
2 良いところだけを見て自分を評価する
うつ病で療養していると、日々どれだけ良くなっているのかは、とても気になることです。心の病気の回復は、血液検査などの数字で測ることができないので、生活を観察しながら、自分で評価するしか方法がありません。
ところで、評価の点数をつける方法には、加点方式と減点方式の2通りがあります。加点方式とは、私たちが学校で受けて来たテストのように、できた分だけ点数をつけてもらうものです。減点方式とは、スポーツのパフォーマンスを評価する時のように、最初の持ち点からミスのたびに減点されていくものです。
加点方式は、その人の長所が目立ち、減点方式は短所が目立ちます。うつ病の人は、減点方式で自己評価をしやすく、自分の短所ばかりを拾い上げて落ち込む傾向があります。例えば、「今朝は寝坊した」「風呂に入れなかった」「買い物をしすぎた」など、自分の失敗を減点方式で評価して、自分を責める材料にしてしまいます。これでは、病気をさらに悪くさせてしまうでしょう。減点方式で自分を評価してはいけません。
そうでなく、「散歩ができた」「友人と会っても疲れなかった」「朝まで続けて眠ることができた」という感じに、良かったことを足し算して自分を評価するようにしましょう。良い思い出ほど忘れてしまうので、ノートやスマホに記録をとるのが良いかも知れません。
ただし、毎日こと細かく記録をつけてしまったら、それこそ完全主義です。うつ病の回復は、ゆっくり月単位くらいのペースですから、毎日では大きな変化はありません。良かったことがあった時だけ記録するとか、通院の日の前くらいに1ヶ月間を振り返って記録するという感じで良いと思います。
3 困ったら「まあ、いいか」と唱える
何かうまくできないことがあったら、そこで考え込むのでなく、とりあえず「まあ、いいか」と唱えてみましょう。「それができないから困っているんだ」と反発する声が聞こえてきそうですが、実は、うつ病の治療で最も多く使われているSSRIという薬は、ネガティブな考えの連鎖を止める効果があります。脳のセロトニンという物質が増えることで、自然に「まあ、いいか」となっていくのです。
ですから、困った時に「まあ、いいか」となれることは、うつ病を治すための本質とも考えられています。自分からも、「まあ、いいか」の癖をつけるようにして、治療の効果を高めましょう。

4 60%主義
世の中では、「一生懸命」「全力投入」が良いことのように言われますが、これも完全主義の一つです。うつ病を経験しているならば、何事も60%主義で取り組みましょう。これは、怠けではありません。頑張っているけれども、余裕もあるという感じです。今日やらなくて良いことは、別の日にやるように、毎日余力を残して生活するのです。その分、心を落ち着かせる時間を持ちましょう。
5 人と比べない
完全主義の人は、他人と比べる傾向があります。自分なりに頑張っていれば満足できるのではなく、他の人が自分より良い結果を出しているならば、「自分は頑張っていない」「努力不足」と判断します。比べて劣っていることを通して、自分を「ダメな人間だ」と責めてしまうのです。
人と比べないように、相手がどんなにキラキラ輝いていても、無視するようにしましょう。視界に入ってくると必ず意識してしまうので、輝いている人が視界に入って来ないように努力するべきです。
スマホを通して、SNSの情報が簡単に目に入ってきます。自分の成功をアピールしたい人ほど情報を発信しますので、うつ病で自信喪失している人には悪い刺激になります。SNSも関わらない方が良いのです。
うつ病によくない完全主義を修正する方法を説明しましたが、そこで「完全主義を克服する!」と、思うこと自体が完全主義になってしまいます。まずは、完全主義がうつ病に悪い影響を与えていることを意識することから始めましょう。
また、何かをやり過ぎていないか、こだわり過ぎていないか、周りの人の意見にも耳を傾けることが必要です。
