治療が必要な大人のADHD 4つのサイン
メディアなどを通して、大人の発達障害の知識が広がり、特に注意欠如多動症・ADHDのことは、よく知られるようになりました。メディアに登場する実業家や芸能人にも症状が見られるため、「あの人はADHDだ」と、素人判断する声をよく耳にします。最近では、毒舌ツイートで非難を浴びた女性タレントがそうでした。
「遅刻や物忘れの常習犯」、「思ったことはすぐに口に出し、先輩にもタメ口」、「本番中も落ち着きなくスマホをいじっている」、といったところで判断されたのでしょう。
ADHDとは、不注意、多動、衝動といった、生まれつきの性格や行動の偏りです。成長に伴い、多動と衝動はほぼ改善されるため、大人の場合は、遅刻や忘れ物などの不注意の症状が特徴になります。仕事や日常生活に大きな支障がない場合は、個性として考え、特に治療は必要ありません。むしろ、人付き合いの良さからうまく世渡りできている人もたくさんいます。
最近、「ADHDかも知れない」ということで、パートナーや職場の上司に連れられて、精神科を受診する人も増えています。「人の話を聞いていない」、「遅刻や物忘れが多く、仕事のミスが多い」、「不注意で車の事故が多い」など、不注意によるトラブルが多いようです。それだけでなく、躁状態、うつ状態、依存症などによる深刻な問題で受診するケースもあります。
ADHDには治療薬があり、注意を維持する時間を延ばしたり、衝動を減らしたり、気分を改善させる力があります。生活に支障が出る場合は、薬の治療を受けた方が良いでしょう。それでは、どのような症状があると治療を受けた方が良いのでしょうか?今回は、治療が必要な大人のADHDのサインを4つ紹介しましょう。
「遅刻や物忘れの常習犯」、「思ったことはすぐに口に出し、先輩にもタメ口」、「本番中も落ち着きなくスマホをいじっている」、といったところで判断されたのでしょう。
ADHDとは、不注意、多動、衝動といった、生まれつきの性格や行動の偏りです。成長に伴い、多動と衝動はほぼ改善されるため、大人の場合は、遅刻や忘れ物などの不注意の症状が特徴になります。仕事や日常生活に大きな支障がない場合は、個性として考え、特に治療は必要ありません。むしろ、人付き合いの良さからうまく世渡りできている人もたくさんいます。
最近、「ADHDかも知れない」ということで、パートナーや職場の上司に連れられて、精神科を受診する人も増えています。「人の話を聞いていない」、「遅刻や物忘れが多く、仕事のミスが多い」、「不注意で車の事故が多い」など、不注意によるトラブルが多いようです。それだけでなく、躁状態、うつ状態、依存症などによる深刻な問題で受診するケースもあります。
ADHDには治療薬があり、注意を維持する時間を延ばしたり、衝動を減らしたり、気分を改善させる力があります。生活に支障が出る場合は、薬の治療を受けた方が良いでしょう。それでは、どのような症状があると治療を受けた方が良いのでしょうか?今回は、治療が必要な大人のADHDのサインを4つ紹介しましょう。

1 躁状態
「一人でしゃべり続けて、会議の進行を止めてしまった」、「自分の正当性を訴えて怒り、周りに食ってかかる」、といったトラブルで受診する人もいますが、これはADHDというよりも、躁状態の可能性があります。
躁状態とは双極症で見られるもので、気分が高揚して自尊心が高くなり、頭もフル回転して、話題が次から次へと変わります。「自分は何でもできるすごい人間だ」という誇大妄想もあるのが特徴です。同時に、不注意、落ち着きのなさ、衝動性があるので、専門家でもADHDとの区別は難しくなります。そもそも、ADHDと双極症が合併するケースは多く、遺伝的な共通点も見つかっています
躁状態がずっと続くということはありませんが、周りとのトラブルが増えるので、早めに薬の治療を受ける必要があります。
2 うつ病や不安症
職場でのADHDの人は、「作業やスケジュールの整理ができない」、「作業に集中できない」、「結果を考えず、その場の気分で大事な決断をする」、といったことが起こります。それで仕事の失敗が続き、一つの職場に長居できません。これが重なると自尊心を失い、ついにはうつ病や不安症になる人もいます。大人のADHDの人は、健常な人の2~3倍もうつ病や不安症になりやすいのです。
こうなると、仕事や日常生活ができなくなるため、精神科の受診が必要です。うつ病や不安症で受診して、それがきっかけでADHDが見つかる人もたくさんいます。
一番心配なのは、自殺に至る人が多いことです。「気分が沈む」、「不安がつよい」という場合は、早めに精神科を受診しましょう。

3 事故や事件が多い
ADHDの人は、よく交通事故に巻き込まれます。車をこすったり、前の車にぶつけたりと、不注意で周りをよく見ていなかったことが原因です。慌てたことで操作を間違えることもあります。大事故につながらないように、車や自転車の事故が続くような場合は、精神科を受診するべきでしょう。
また、衝動のつよさが残る人は、暴力などの事件を起こすリスクがあります。「職場や家庭で認めてもらえない」、「うまく行かないことがある」、といったストレスの積み重ねが引き金になって、暴力や物を壊すなどの行動につながってしまうのです。
4 アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存
アルコールなどの精神を刺激する物質が、脳のドーパミンという物質を増やすことにより、ADHDの症状を抑えてくれることがあります。そのために、アルコールなどを手放せなくなる人もいます。
また、ADHDは脳の報酬系という部分に問題があると考えられており、報酬系は依存症とも関係の深い部分です。「それをやると人生が終わってしまう」という結果を考えられず、よりつよい刺激を求めて、依存の沼にハマりやすい傾向があります。
依存症になる人は、ADHDをもっていることが大変多いのです。

30年くらい前までは、ADHDは子供の病気で、成長とともに自然に治ると考えられていました。1990年代後半に、サリ・ソルデンの「片付けられない女たち」という本の出版がきっかけとなり、大人になってもADHDの症状が残ることが、広く世の中に知られるようになりました。
ところが、学校でも職場でも、遅刻や物忘れ、片付けができないというのは、「だらしない人」、「ダメな人」というレッテルを貼られます。ADHDが原因であるのに、人格の問題として扱われてしまうのです。そのために、安定した仕事に就けないことも起きるでしょう。
現在では、いくつかの治療薬も開発されていますので、ADHDの症状を軽くさせることができます。ずっと飲み続ける必要がありますが、生活は改善されます。今回紹介したような症状に気づいた場合は、精神科に相談してみましょう。ただし、一部のADHDの薬の処方には資格制度があるので、処方できる精神科かどうかを確認してください。
