迷惑をかけたくないのに迷惑をかけてしまう人
世の中には、悪意でわざと迷惑をかける人がいますが、「人に迷惑をかけないで生きて行きたい」と思うのが普通の人です。
ところが、何か事件が起きてみんなが大変な時に、自分だけ感情のコントロールがつかなくなり、人と違う行動をとってしまったり、パニックを起こしたりする人がいます。周りの人は自分のやるべきことで精一杯なのに、それを邪魔する存在になってしまうのです。
こうした人は、好きでそうなっているのではないのに、「迷惑をかけるな!」と誤解されてしまうことがあるでしょう。世の中には、こうした誤解のために自信を失っている人がたくさんいるのです。
このような人は、なぜ周りに迷惑をかけてしまうように見られるのでしょうか?今回は、「迷惑をかけたくないのに迷惑をかけてしまう人」について詳しく説明しましょう。
ところが、何か事件が起きてみんなが大変な時に、自分だけ感情のコントロールがつかなくなり、人と違う行動をとってしまったり、パニックを起こしたりする人がいます。周りの人は自分のやるべきことで精一杯なのに、それを邪魔する存在になってしまうのです。
こうした人は、好きでそうなっているのではないのに、「迷惑をかけるな!」と誤解されてしまうことがあるでしょう。世の中には、こうした誤解のために自信を失っている人がたくさんいるのです。
このような人は、なぜ周りに迷惑をかけてしまうように見られるのでしょうか?今回は、「迷惑をかけたくないのに迷惑をかけてしまう人」について詳しく説明しましょう。

1 繊細な人
心が繊細な人は、人一倍物事の大変なことを理解できてしまうために、感情のコントロールがつかなくなることがあります。自分の大変さを言葉で伝えることが苦手であると、人と違う行動をしたり、パニックになったりすることがあります。それで周りに迷惑をかけてしまうのですが、これは、その状況の大変さを一番つよく感じていることが理由です。
実際にあった話を紹介しましょう。Aさんは知的な障害があり、とても繊細な人です。Aさんの家庭ではおばあさんが認知症になってしまい、介護が大変になりましたが、Aさんは障害のためにほとんど手伝えません。ある日、Aさんは捨て猫を拾ってきました。おばあさんが猫好きだったので、喜ぶのではないかと考えたからです。
「家族が介護で大変なことが分からないのか!迷惑だよ!」と、お父さんはAさんのことを叱りました。Aさんは泣いてしまいましたが、猫を見たおばあさんはニコニコ笑顔です。何年も笑ったことのなかったおばあさんの姿を見て両親は驚いて、それ以上Aさんを叱れません。結局その猫を飼うことになり、おばあさんは猫と遊ぶようになりました。
そして、認知症にも改善が見られるようになったのです。実は、おばあさんの孤独な気持ちを一番理解していたのが、両親でなくAさんだったのです。
2 能力が足りない人
チームでの競技や仕事をしていると、能力が足りないがためにチームの足並みを乱してしまう人がいます。特に結果のみを最優先するような職場では、能力の劣る人に批判が向きやすくなります。一生懸命やっているのに、周りの冷ややかな視線を感じた人は、「自分はみんなの足を引っ張る迷惑な存在なのかな」と悩むようになります。
しかし、チームとは本来、互いに援助しあい、知識を共有しながら、成果を上げていくところに意味があります。能力の優れた人が、能力の足りない人を「迷惑な存在だ」と言っている限りは、よい結果は生まれません。
それどころか、いじめやパワハラにつながります。むしろ、「迷惑だ」と言っている人の方が、チームにとって迷惑な存在なのです。

3 依存的な人
頼り過ぎてしまうことから、人に迷惑をかけてしまうことがあります。「頼ってもいいよ」と言われても、相手の事情を考えずに、24時間いつでも連絡を取り続けていたら、さすがに迷惑に思われることがあるでしょう。これは一人の人にだけ頼り過ぎてしまうことから起こる現象です。相手を束縛するくらい頼ってしまえば、「依存」と呼ばれても仕方がありません。
こうした人は、「依存してばかりいないで、自立しなさい」と怒られてしまうことがあります。では、そう怒る人は、誰にも頼らないで生きて来たのでしょうか?そんなことはなく、親や先輩など、たくさんの人を頼って生きて来たはずです。人を全く頼らないで生きている人など世の中にいません。
自立とは、たくさん頼るところを持っていて、一つのところばかりを頼らないことなのです。たくさんの人に広く浅く頼っているから一人で立っているように見えるだけです。不器用なために、一人の人にしか頼れないから依存的に見られてしまいます。

私たちは、子供の頃から「人に迷惑をかけない人になりなさい」と言われて来ました。実は、この「迷惑」という言葉は、仏教から来ています。
仏教では、すべての人は必ず誰かに迷惑をかけて生きて来たのだから、迷惑をかけてくる人のことを許すことが大切であると説いています。決して、人に迷惑をかけてはいけないとは説いていません。ましてや、「お前は迷惑な存在だ」と人を批判するために使う言葉ではありません。
ですから、自分のことを「迷惑をかけている存在だ」と悩む必要はないのです。むしろ、他人のことを「迷惑だ」と言ってくる人こそ、何事も自分だけでやっていると勘違いしている本当に迷惑な人なのです。
