ADHDの話し方の特徴

「夫は自慢話しかしない」、「お母さんは話題がコロコロ変わるので話についていけない」といった感じで、話し方に良くない特徴があるために、うまくコミュニケーションがとれない人がいます。会話はコミュニケーションの基本ですから、会話の仕方が理由で人から嫌がられてしまうこともあるのです。


うまくコミュニケーションができないことは、生まれつきの脳神経の発達の問題がある可能性があります。神経発達の問題は、障害とまでは言えない軽症の人も多く、この場合は個性として捉えるのが良いと思います。


特に注意欠如多動症・ADHDの傾向がある人は、頭の中で連想ゲームのように次から次と考えが浮かんで来たり、同時に感情をコントロールすることも苦手であったりするため、会話の仕方が特徴的です。早口で話題がコロコロ変わることから、相手に誤解をされて生きづらさを感じている人もいます。


理解していただきたいのは、ADHDの傾向のある人は、好きでこのような話し方をしているのではありません。しかし、発達の問題とは言え、自分の会話の特徴を知れば、コミュニケーションがうまくいかない理由が分かり、改善の方法も見つかるかも知れません。


今回は、ADHDの傾向がある人の話し方の特徴を5つ紹介しましょう。



1 思ったことがすぐに口に出る

ADHDの傾向のある人は、ある日突然、仲の良かった人から無視される経験があると言います。後から理由をよく考えたら、その人が傷ついてしまうことを平気で言っていたのです。これは、相手のことを考えず、頭に浮かんだことがすぐに口から出てしまうことが原因です。


頭皮が薄い男性に向かって、「ハゲてない?」と言ってしまい、後から「失敗した」と反省します。こうしたことを繰り返していると、「あの人は平気で嫌なことを言う」と人から嫌われるようになってしまいます。


こうしたことに思い当たる節(ふし)のある人は、会話の時は必ず「これを言ったら相手はどう感じるか」を想像するようにしましょう。焦って話しても何の得もありません。人に何かを言う場合は、必ず一呼吸置く習慣をつけましょう。



2 自分の話題ばかり話す

ADHDの傾向のある人は、自分の関心のある話題しか話しません。自分が関わったことのある話題、自分の知っていることの話題ばかりですので、聞いている人にとっては、決して気持ちの良いことではなく、まるで自慢話をされているような気分になります。もちろん本人には自慢する気持ちはありません。


例えば、久しぶりに友人に会っても、昔話などの共通の話題でなく、つい先日自分が海外旅行に行ってきたことばかりを話します。「楽しかった」「珍しかった」と現地での話をされても、聞く人は海外旅行の自慢を聞かされたとしか感じません。本人はただ自分の関心のあることを話しているだけなのですが、自慢ばかりの嫌味な人と勘違いされてしまいます。


自慢好きの人と勘違いされないように、会話の最中は自分だけが話していないか気を配りましょう。できるだけ共通の話題を探して、相手にも発言してもらえるように努力することが大切です。



3 相手の話を聞いていない 

会話は言葉のキャッチボールですから、相手のことを気遣うことが必要です。ところがADHDの傾向のある人は、自分の関心のある話題になると相手の話を遮ってまで話してしまい、聞くことが得意ではありません。また、自分が興味のないことには黙ってしまい、そこでまた会話が中断する原因にもなります。


昔から「沈黙は金、雄弁は銀」ということわざがあります。たくさん話す人よりも、黙って聞くことの上手な人の方が人から信頼されます。「沈黙は金」を忘れないようにしましょう。




4 話題がコロコロ変わる

色々な話題を次から次へと話すので、相手が会話について行けません。自分は気持ちよく話していても、聞いている方は何を言っているのか理解できないどころか、不愉快になることもあります。


このような場合、話題と話題の間には、必ず「話が変わるけれども」と一言付け加えるようにしましょう。これを意識するだけで、会話の内容はずいぶんと変わり、相手に伝わりやすくなるでしょう。



5 早口で大声

慌てて話すので、早口で大声になる場合があります。伝えたい気持ちから焦ってしまうのが原因ですが、慌てて話しても余計に伝わらないだけです。これも人から嫌われてしまう大きなきっかけになります。


常に「慌てて話しても伝わらない」ということを頭に入れておきましょう。そして、普段からゆっくり話す練習をするのも手です。



以上ADHDの人の話し方の特徴を説明しました。


会話は自分の気持ちを正しく伝え、相手の気持ちを正しく理解するためのツールです。どうしたら自分の気持ちがうまく伝わるか、どうしたら相手の気持ちを理解できるかを意識することが最も大切なことです。そして、自分のコミュニケーションの特徴を知れば、どうして伝わらないか、どうして誤解されるのかを理解することができます。


ADHDの傾向がある人は、今回紹介したように、「一呼吸おいてから話し出す」、「相手にも話をさせてあげる」、「沈黙は金」、「話題を変えるときは『話が変わるけれど』と言う」、「ゆっくり話す」、を心がけてみてください。


最初に紹介した「自慢話しかしない夫」、「話題がコロコロ変わる母親」など、自分で気づけないまま人生で大きな損をしている人もいます。身近にADHDの傾向があり、このような話し方をしている人がいるならば、優しく教えてあげても良いかも知れません。