人間関係に気を遣い過ぎて疲れてしまう6つのタイプ


毎日の職場で、同僚や上司の顔色ばかり気になってしまう人がいます。仕事終わりには、仕事の内容よりも人間関係で疲れてしまいます。疲れすぎて体調を崩してしまい、翌日の仕事に支障が出ることもあります。

もっとリラックスして働きたいのが本音なのに、自然と人に気を遣い過ぎてしまうのです。



家に帰ってからも、自分が言ったこと、相手から言われたことをグルグル考えてしまい、「あれはどういう意味だったのだろう」、「私をどう思っているのだろう」と眠れなくなることもあります。

もともと人の好き嫌いがある方で、苦手と感じると、拒絶反応が出てしまいます。無理して会うと胃が痛くなったり、蕁麻疹が出たりします。
特に感情的で怒りっぽい人、無口で何を考えているか分からない人、裏表がある人、などが苦手です。

自分ではやめたくても、人間関係に気を遣い過ぎてしまう人には、いくつかのタイプがあります。今回は6つのタイプを紹介しましょう。




1 HSP


気疲れしやすい人の代表といえばHSPです。HSPとは、ハイリー・センシティブ・パーソンの略で、生まれつき感覚が敏感な人の性格を指す心理学の用語です。「繊細さん」とも呼ばれることがあります。


音や光などの物理的な刺激に敏感で、それだけでなく相手の表情、態度、雰囲気、なども敏感に察知してしまいます。相手の気持ちに反応し過ぎたり、共感し過ぎて疲れてしまいます。



2 アスペルガー症候群などの自閉症スペクトラム障害・ASD


自閉症スペクトラム障害・ASDとは、相手の気持ちを理解する能力に劣る生まれつきの障害です。

やはり、音や光などの物理的な刺激に敏感ですが、人の表情や態度から気持ちを察することが苦手で、人の気持ちを間違って理解してしまうことがあります。
相手の気持ちを理解できないまま、自分の意見も主張できず、不快な気分を我慢し過ぎて疲れてしまいます。時に我慢しきれずに感情が爆発してパニックを起こすことがあります。



3 大人の愛着障害、複雑性PTSD


子供の頃に親がいなくなる、虐待を受ける、学校でいじめなどを受けるなど、大切な人を失う体験や拒絶される体験をすると心にトラウマが残ります。トラウマがあると、物事を歪んで感じ取ってしまうことがあります。

「大切な人はいなくなる」「自分は嫌われれている」といった思い込みのフィルター越しに人を見るようになってしまうのです。
特に仲が良くなるとこのフィルターが働くようになり、嫌われないように相手の気持ちに敏感になり、気を遣い過ぎてしまいます。





4 失感情症


ストレスが、気持ちでなく体に出やすい人の性格を失感情症と言います。ストレスで不快な感情が湧いても、それが何かを言葉で自覚できません。対人関係の疲れを自覚できないまま過ごし、倦怠感、頭痛、胃腸障害などの体の症状で出てしまいます。

間脳と前頭葉をつなぐ神経系に生まれつきの障害があるとも考えられています。自閉症スペクトラム障害・ASDの人の性格にも多く認められます。



5 社交不安症
 

「自分は変に思われていないか」と不安に思う病気です。発表や会食などの集団の場面で、相手の目を気にし過ぎて疲れてしまいます。

病状が悪くなると、1対1の場面でも、相手の思いが気になるようになります。こんなに辛い思いをするなら人と会わない生活がいい、と引きこもりになるケースもあります。

薬の治療に効果がありますので、精神科を受診しましょう。



6 スピリチュアルな人


心理学や精神医学のカテゴリーではありませんが、霊的な世界を信じ、勘がするどく、直観で生きている人です。

物事を理性的に考えることが得意ではありません。にわかには信じ難いがたいですが、話していないのに相手の考えていることが分かることがあります。

極端な例では、腹が痛い人に合うと、同じく腹が痛くなるという現象もあります。相手の思いがストレートに心に飛び込んできて、それを制御できないので疲れてしまいます。幽霊や妖精を見たり、その声を聞くこともあります。

HSPの中でもさらに感受性がつよい人と言えるかも知れません。過敏すぎて生活に支障が出る場合、精神科では解離性障害と診断されることがあります。






人に気を遣い過ぎてしまう人のタイプを6つ紹介しました。社交不安症のように治療で改善するものもありますが、性格の傾向の場合は大きく変えることができません。

そもそも、「気を遣う」とは、相手に気持ちよく過ごしてもらうために、相手の立場にたって配慮することです。結果的に、相手の気分が良くなれば良いわけです。

ところが相手の気持ちを読み取れない場合や、相手の要求が伝わり過ぎてしまう場合は疲れてしまうのです。相手に気持ち良く過ごしてもらおうと思いながら、自分が不愉快な気持ちになってしまっては何の意味がありません。

このような場合は、その人と少し距離を置いてみることが必要でしょう。その人によって心が乱されるならば、むしろできるだけ関わらないようにするのが賢明な方法です。


「君子危うきに近寄らず(くんしあやうきにちかよらず)」ということわざがあります。君子とは、古代中国の学識をもった地位の高い人の意味です。

「賢い人は自ら危ないところには近寄らない」という意味ですが、「自分の身を守るのは、自分の行動である」という意味合いもあります。相手のことを思いやり、気を遣うことは礼儀として大切なことです。

ただし、気を遣い過ぎて自分が壊れてしまうことないように、自分の気持ちを大切にしましょう。