子供の頃のトラウマがまだ完全に癒えていない6つのサイン

子供の頃に、親からひどい仕打ちを受けたり、学校でいじめを受けると、心に傷跡が残ります。これをトラウマと呼びます。軽い場合は、時間と共に自然に癒されますが、重症な場合はすぐには消えません。親やクラスメートからの、深刻な暴力、否定、無視が長い期間にわたって続いた場合、大人になってもトラウマが残ることがあります。


子供の頃に大きなケガを負うと、大人になっても何かのきっかけで痛みが走るように、トラウマも生活の様々な場面で生きづらさとして現れることがあります。自分では、もう辛いことはお別れできたと思っていても、トラウマが治りきっていないことがあるのです。


そこで今回は、子供の頃のトラウマがまだ完全に癒えていないサインを6つ紹介します。





1 自己評価が低い

「自分は生まれて来なければ良かった」と感じており、生きていることに罪悪感を持っています。人の好意にも心を開けません。人前で自分を出すことができず、目立つことを避けてしまいます。「どうせダメだから」と新しいことにチャレンジできません。



2 孤独

人への恐怖、不安、怒りが残っており、基本的に人を信頼できません。人と接しているとイライラや怒りを感じることが多く、人づき合いが苦手です。人との関りを避けてしまい、いつも孤独を感じています。



3 現実感がない

現実がぼんやりして、目が覚めていても夢の中にいるようです。自分と現実に壁があると表現する人もいます。また、心と体が離れてしまい、自分を外から見ていることもあります。これを離人感と呼び、時間がすすむのを遅く感じる人もいます。



4 集中できない

親の機嫌を気にして子供時代を過ごしていると、脳が周囲の状況にすぐに反応できるように、常に警戒している覚醒状態となります。すると、眠りは浅くなり、ちょっとした物音で目が覚めてしまいます。日中は頭にモヤがかかったようになり、集中できません。これを脳に霧がかかっているという意味で「ブレイン・フォグ」と呼びます。



5 自己破壊行為

ベトナム戦争を描いたアカデミー賞作品の「ディア・ハンター」では、戦争でトラウマを受け、ロシアンルーレットというデス・ゲームに参加し続ける男性の姿が描かれます。トラウマがあると、アルコールや薬物の乱用、ギャンブル、自傷行為、危険な性関係などの自己破壊的な行為で自分の気持ちを紛らわそうとする場合があります。なぜこのような危険に自分から飛び込むのか、自分でも説明できません。いつのまにか依存的になり、常習となることがあります。



6 うつ病やパニック症になりやすい

学生時代のいじめの被害で、うつ病やパニック症になるリスクが1.5倍に増えるというデータがあります。トラウマが残っていると社会と歯車が合いません。それがストレスとなり精神疾患を発症しやすいのです。精神科に通院するようになり、そこでトラウマがあることを指摘され、初めて自覚できるケースもあります。


トラウマは、安心できる場所で安心できる人に、トラウマを受けた状況を話すことで少しずつ癒されて行きます。相手は治療者に限らず、家族でも良いし、恋人や親しい友人でもかまいません。相手に共感してもらうことで、トラウマは解消されて行きます。ただし、無理は禁物です。安心した状況で再体験できることがポイントです。


また、不安感・不眠がつよい場合、うつ病やパニック症を合併した場合は、精神科で薬の治療を受けましょう。薬の力で体調や気分が良くなることで、トラウマが解消されやすくなります。また、医療機関での安心できる人間関係が、トラウマを解消するために役立ってくれます。