叱られることに敏感に反応してしまう人の特徴
人から叱られて、泣きたくもないのに涙が出たことはありませんか?例えば、入ったばかりの職場で、「仕事ができない!」と叱られて、何も言い返すことができず、涙がこみ上げてくるのです。仕事をきちんと教えてもらっていないのが原因なのに、まるで人格をすべて否定されているように感じ、二度と上司の顔を見たくありません。場合によっては、叱られたことがきっかけで職場に行かれなくなり、辞めてしまう人もいます。
残念ながら、ハラスメントの問題が騒がれて久しいにも関わらず、「叱られて当たり前」「叱られて仕事を覚える」といった考えがまかり通っている職場はたくさんあります。
不思議なことに、叱られても何も感じない人から敏感に感じる人まで、感じ方には個人差があります。叱られて敏感に感じてしまう人は、何か心に問題があるのでしょうか?
心理学では、心は傷つかないように、バリアで守られていると考えています。ウルトラマンが、怪獣の攻撃を防ぐために使う透明なバリアをイメージしてください。心のバリアは、専門的に「個人の境界線」「自他境界」「バウンダリー」などとも呼ばれ、他人の思いが心の中に侵入してくるのを防いでくれる存在です。
叱られても、バリアがしっかり張られていれば、それほど気になりません。むしろ、間違いを正してくれたとポジティブに捉えることもできます。叱られて心が傷つきやすい人は、心のバリアが弱くなっているのです。
今回は、叱られることに敏感に反応してしまう人の特徴について説明します。特に心のバリア、個人の境界線についても触れていきたいと思います。
残念ながら、ハラスメントの問題が騒がれて久しいにも関わらず、「叱られて当たり前」「叱られて仕事を覚える」といった考えがまかり通っている職場はたくさんあります。
不思議なことに、叱られても何も感じない人から敏感に感じる人まで、感じ方には個人差があります。叱られて敏感に感じてしまう人は、何か心に問題があるのでしょうか?
心理学では、心は傷つかないように、バリアで守られていると考えています。ウルトラマンが、怪獣の攻撃を防ぐために使う透明なバリアをイメージしてください。心のバリアは、専門的に「個人の境界線」「自他境界」「バウンダリー」などとも呼ばれ、他人の思いが心の中に侵入してくるのを防いでくれる存在です。
叱られても、バリアがしっかり張られていれば、それほど気になりません。むしろ、間違いを正してくれたとポジティブに捉えることもできます。叱られて心が傷つきやすい人は、心のバリアが弱くなっているのです。
今回は、叱られることに敏感に反応してしまう人の特徴について説明します。特に心のバリア、個人の境界線についても触れていきたいと思います。

1 「叱る」と「怒る」は違う
「職場で叱られた」というのは、「怒られた」と表現する方が正確かも知れません。まずは「叱る」と「怒る」の違いについて説明しましょう。叱るとは、相手を良い方向に導くために間違いを正すことです。感情的に言うのでなく、道筋をたてて論理的に説明するものです。
これに対して、怒るとは、思い通りにならなかったり、気に入らないことがあると、腹を立てて、感情を相手にぶつけることです。相手の人格を否定したり、人前で注意して恥をかかせたり、大声で注意をするのは、叱るではなく、怒るが正しいでしょう。ただし、明確に区別していない人の方が多いかも知れません。
私たちの心が傷つくのは、大概怒られている場合です。相手からネガティブな感情をぶつけられるために傷ついてしまうのです。
2 怒られると攻撃を受けていると感じる
お互いに信頼関係がない場合に、相手から怒られることは、感情的に攻撃を受けるのと同じです。突然、ズカズカと心の中に入ってきて、ネガティブな感情をぶつけられていると考えられます。そうなると、例え、正しい内容を指摘されていても、素直には受け入れられません。人によっては、人格を否定されているように受け止めてしまう場合もあるでしょう。こうした理不尽な攻撃から心を守ってくれるのが、心のバリアの存在です。
3 心のバリアが弱い
心のバリアとは、自分と他人を区別する境界線のことです。この境界線がはっきりしていると、「自分は自分、人は人」という自分の意識が明確になります。自分のことは自分で決められるようになり、自分は何に責任を持つべきかがハッキリします。生きて行く上でとても大切なことです。
子供は、親との距離が近いために、自分と親の境界線が曖昧です。成長するに従い、境界線が明確になって行き、自分と親が別の存在であると認識できるようになります。ところが、自分の境界線が曖昧なまま大人になると、相手の影響を受けやすかったり、自分のことに責任を持てなかったりと、メンタルヘルスにマイナスになるでしょう。
心のバリアが弱いと、怒られた場合には、相手の感情が心に飛び込んできて、激しく動揺します。反撃することもできず、涙が出てくるようになるのです。他人が怒られているのを聞いているだけで、まるで自分が怒られているようで緊張してくることもあります。共感する力があると言えば、聞こえがいいのですが、つねに相手の感情に左右されてしまうのです。

4 心のバリアが弱くなる原因
それでは、心のバリアはなぜ弱くなるのでしょうか?次に、心のバリアが弱くなる3つの理由を説明しましょう。
1つ目は、生まれつき音や光などの刺激に敏感なために、周りとの境界線を引きにくい人です。感覚過敏と言われるもので、自閉スペクトラム症などの発達障害の人に見られます。また、心理学用語のHSPという言葉が流行していますが、これも感覚過敏の一つです。
2つ目に、先ほども説明したように、親子関係の影響もあります。虐待やネグレクトなど、親が子供の人格を認めず、自分の付属品のようにして接していると、親子の境界線が曖昧なまま成長することになります。また、いつも親の機嫌を気にして生きていると、親の言動が自分の責任であるように感じ、自分と親の境界線がなくなってしまいます。そうなると、他の人との境界線も明確にできなくなり、心のバリアが弱い状態が続きます。
ここまでは、生まれつきの問題や養育の問題が原因の場合ですが、3つ目に、心が不安定になると、一時的に心のバリアが弱くなることもあります。仕事が忙しい、心配事がある、いじめがある、などの状況では、人との境界線が曖昧になり、相手の影響を受けやすくなってしまうのです。うつ病でも、同じ理屈で涙が出やすくなります。
5 心のバリアをつよくする方法
まずは、ふだんから、心のバリアが弱くなっていることを意識しましょう。心のバリアを簡単に言うと、やりたくないこと、嫌いなことを「イヤだ」と拒否する力のことです。毎日の生活で我慢をし過ぎて、自分でも気づかないうちにバリアが弱くなっていることはないでしょうか?
我慢のし過ぎは、自分からバリアを弱め、外からの侵入を許してしまっている状態です。家に鍵をかけないで、毎日を過ごしているのに似ています。これでは悪い人が土足で入ってきてしまいます。
そして、親の考え方、職場のやり方、グループのルール、周りの評判といったものを優先するのでなく、何よりも自分の素直な気持ちを優先しましょう。自分が心地よく感じることをやり、不愉快に感じることは避けるようにするのです。
次に、怒ってばかりいる人、危害を加える人とは、できるだけ距離を置きましょう。当たり前のことのように聞こえますが、逃げることは物理的に人との境界線を引くことでもあります。
最後に、毎日の生活からできるだけストレスを取り除きましょう。ストレスは、心のバリアを弱くしてしまいます。生活に安心感があれば、人との境界線を自然にひけるようになります。心のバリアが回復して行くのです。
