うつ病の人が持つ考え方の特徴とは
うつ病は、気分障害とも呼ばれるように、気分の落ち込みの病気です。気分が落ち込めば、物の考え方もネガティブになります。考え方がネガティブになれば、今度は気分も下がってきます。気分と考え方は互いにつながっているからです。気分が下がり、考え方がネガティブになり、気分が下がり、考え方がネガティブになり、という悪いループが延々と続き、うつ病がどんどん悪くなる場合があります。自分の力で気分を変えることは、うつ病の人には難しいため、薬の力に頼るしかありません。考え方に関しては、自分の努力で変えることができる部分があります。
アメリカの精神科医アーロン・ベックは、うつ病の人に特徴的な考え方があることを発見しました。次の3つの思い込みが、心の根っ子にあるというのです。
1つめは、「自分は必要のない人間である」という自分自身のネガティブな評価、2つめは、「世の中は、自分に味方してくれない」という環境へのネガティブな見解、3つめは、「何をやってもどうせうまく行かない」という未来へのネガティブな予測です。この3つを「うつ病因性スキーマ」と呼びます。
うつ病の人は、何かある度に、この3つの思い込みが発動します。例えば、職場の上司に挨拶しても、返事が返って来なかった時にどうなるでしょうか?ふつうならば、「上司は機嫌が悪いのかな?」、「挨拶に気づかなかったのかな?」と考えて、次に会った時に確かめて見ようと思います。
ところが、うつ病の人は、「自分は必要のない人間である」といううつ病因性スキーマが発動するので、「上司は、私のことが嫌いなんだ」と信じ込みます。そして、上司と顔を合わせる度に気分が落ち込むようになり、話をすることも嫌になってしまいます。
うつ病因性スキーマがなくなってくれたら一番良いのですが、子供の頃からの経験によって、心に染みついてしまっている場合も多くあり、消し去ることは大変難しいことです。しかし、これが発動しないようにすることならできるかも知れません。実は、いくつかの考え方の癖が原因で、発動することが分かっています。スイッチになる考え方の癖に気が付くことができれば、うつ病因性スキーマに振り回されないようになるでしょう。
今回は、うつ病の人の考え方の特徴を5つ紹介しましょう。これらによって、うつ病因性スキーマが発動してしまい、気分が落ち込んでしまうという仕組みを知ることは、うつ病を治す上でもとても大切なことです。
アメリカの精神科医アーロン・ベックは、うつ病の人に特徴的な考え方があることを発見しました。次の3つの思い込みが、心の根っ子にあるというのです。
1つめは、「自分は必要のない人間である」という自分自身のネガティブな評価、2つめは、「世の中は、自分に味方してくれない」という環境へのネガティブな見解、3つめは、「何をやってもどうせうまく行かない」という未来へのネガティブな予測です。この3つを「うつ病因性スキーマ」と呼びます。
うつ病の人は、何かある度に、この3つの思い込みが発動します。例えば、職場の上司に挨拶しても、返事が返って来なかった時にどうなるでしょうか?ふつうならば、「上司は機嫌が悪いのかな?」、「挨拶に気づかなかったのかな?」と考えて、次に会った時に確かめて見ようと思います。
ところが、うつ病の人は、「自分は必要のない人間である」といううつ病因性スキーマが発動するので、「上司は、私のことが嫌いなんだ」と信じ込みます。そして、上司と顔を合わせる度に気分が落ち込むようになり、話をすることも嫌になってしまいます。
うつ病因性スキーマがなくなってくれたら一番良いのですが、子供の頃からの経験によって、心に染みついてしまっている場合も多くあり、消し去ることは大変難しいことです。しかし、これが発動しないようにすることならできるかも知れません。実は、いくつかの考え方の癖が原因で、発動することが分かっています。スイッチになる考え方の癖に気が付くことができれば、うつ病因性スキーマに振り回されないようになるでしょう。
今回は、うつ病の人の考え方の特徴を5つ紹介しましょう。これらによって、うつ病因性スキーマが発動してしまい、気分が落ち込んでしまうという仕組みを知ることは、うつ病を治す上でもとても大切なことです。

1 恣意的(しいてき)推論:証拠がないのに決めつける
例えば、家を出る時に、近所の人がジロジロ見ていたとします。そんな時、「人のことをジロジロ見るなんて嫌な人だ」と思うのが普通ではないでしょうか?ところが、うつ病の傾向のある人は、「私のことを変に思っている」と考え、さらに、「近所の人から嫌われている」と結論付けます。
会話をしていないのだから、相手の考えは分からないのに、ジロジロ見ていたという事実だけで、「自分は必要のない人間だ」という思い込みに直結してしまうのです。
2 選択的抽出:全体を見ないで、部分だけに注目する
友人に料理をふるまったら、美味しく食べてもらえたのか、誰でも気になります。味見をした時に、「味付けが薄かったかな」と不安でしたが、友人は「美味しい」と言ってくれました。友人に褒めてもらったので、もう料理の話題は終わるのが普通ですが、いつまでも味付けのことが気になって仕方がないのがうつ病の人です。
「本当は美味しくなかったのに、無理をして美味しいと言ったに違いない」と勘繰ります。結局、「友人にまずい物を食べさせてしまった」と結論付け、「自分はダメな人間だ」のネガティブに陥るのです。
基本的に、人生においては、失敗したこと、うまくいかないことが重要であり、それで自分が評価されると考えています。ですから、うまく行った事実はスルーして、失敗だけを選んで意識しています。はたから見ていると、まるで自分で自分のあらさがしをしているようです。
3 極端な一般化:少ない経験でレッテルを貼る
例えば、職場の上司が良くない人であるとします。他の社員とは、接したことはないのに、「この会社の人はみんな意地悪だ」とレッテルを貼ります。1つの経験でそうならば、似たような出来事に関しては、すべて同じことが言えると考えるのです。
「1回仕事に失敗したのだから、次の仕事も必ず失敗する」というのも同じです。根っ子に「社会は敵であり」、「未来は不幸である」という思い込みがあるのです。

4 自己関連付け:悪いことは、自分と関連付ける
「家族が病気になった」、「会社がうまく行っていない」といったように、周りで良くないことが起きると、とっさに自分が不幸を招いていると感じます。何の根拠もないのに、周りで起きる悪いことは、自分が原因だと考えるのです。結局、「私がみんなを不幸にしているので、いない方が良い」と結論付けます。
5 全か無か思考:「中くらい」という考え方がない
うつ病になると、1日寝ていることが多く、家事も満足にできません。そのために、「今日も何もできなかった」と後悔する人が大変多くいます。しかし、実際は簡単な掃除くらいはできていることがあります。
元気な頃のように、早起きをして、掃除をして、洗濯をして、料理をして、というパーフェクトな生活をしないと、「何かをした」と評価しないのです。中くらいがないために、小さいことはゼロになって、カウントされません。これを全か無か思考と呼びます。
全か無か思考では、小さな良いことを見過ごしてしまい、自己評価を上げることができません。根っ子にある「自分は必要のない人間だ」という思い込みは、永遠に修正されません。
うつ病の人の考え方を紹介しましたが、共通点があることに気づかれた人もいると思います。それは、物事を証拠がないのに決めつけてしまうことです。客観的な証拠がないのに、「自分は必要のない人間である」、「世の中は、自分に味方してくれない」、「何をやってもどうせうまく行かない」という3つのネガティブな思い込みが発動してしまうのです。
警察から、「お前が犯人だ!」と言われても、証拠がなければ無罪です。それでも捕まってしまうのならば、冤罪になります。同じように、証拠がないのに、ネガティブな考えに振り回されて落ち込むのは、冤罪のようなものです。ですから、ネガティブな考えが浮かんで落ち込む時は、まず、「これは思い込みではないだろうか?」、「本当に落ち込まなくてはいけないのか?」と疑うようにしましょう。そして、落ち込む必要性があるのか、具体的な証拠集めをするべきなのです。
このように、自分の考えが本当に正しいのか、証拠集めをして検証することを認知療法と呼びます。思い込みがつよすぎる場合は、自分の努力で修正できないので、心理士に手伝ってもらうことも可能です。
