劣等感に悩む人の4つの特徴

私たちは、子供の時に成績の順位をつけられ、大人になってからも、学歴、地位名誉、さらには収入、容姿などでも比較されます。人より上なら安心しますが、劣っている場合は、不安や焦りに襲われることもあるでしょう。これを劣等感と呼びます。


職場や学校で周りの人が輝いて見えて、自分が情けなく感じるのは、劣等感が原因です。「みんなができているのに自分だけできない」ということがあれば、こんな苦しいことはありません。

また、SNSで輝いている同世代の人を見て、自信を失うだけでなく、憎たらしくもなります。人を憎んでしまう自分が情けなく感じることもあるでしょう。「できれば、比べられることのない世界に行きたい」と、思うことはないでしょうか?


そこで今回は、劣等感で悩む人の特徴を4つ紹介しながら、その対処法についてご説明します。





1 自分の価値に気づくことができていない

ドイツの精神分析医であるエリクソンによると、劣等感のルーツは小学生の頃にあります。この時期は、集団の中でさまざまな知識を学び、能力を獲得するため、互いに能力の差があることに気づくのです。

次の中学生からは、何のために生きるのか、社会のどのようなことに役立つのか、いわゆるアイデンティティというものを確立するための期間です。自分の価値を模索する時期ですので、人からの評価が非常に気になります。人の評価で自分の価値を決めやすいので、劣等感をつよく感じる時期です。

自分の価値や使命を悟るようになれば、劣等感をそれほど感じなくなります。人の評価が気にならなくなるからです。逆に言えば、自分の価値や使命を発見できていない人は、いつまでも他人の評価が気になってしまいます。

劣等感で苦しむ人は、自分の評判を上げることよりも、自分の生きる目的を探し出すようにしましょう。生きる目的といっても、大げさな内容ではありません。「家族を愛するため」「友人を大切にするため」「仕事で人に喜んでもらうため」など、ふだんから自分が大切にしていることが生きる目的です。自分で納得できる生き方をするようになると、周りからの評価は気にならなくなります。



2 「比べること」と「自分を責めること」がいっしょになっている

人には向上心があるので、劣等感が引き金になって、「負けないぞ!」と努力をします。劣等感とは、人がより快適な生活を手に入れるために必要な感情です。人よりも劣っていると感じるのは、心が健全である証拠なのです。

オーストリアの精神科医アドラーは、「劣等感とは、理想と現実のギャップである」と言いました。そして、「負けないぞ!」となれないのは、このギャップを乗り越えられないことから、自分の無力さを責めたり、うまく行っている人を憎んでしまうからだと説明しました。

アドラーによれば、劣等感は健全な感情であるけれど、それをネタに、自分や人を責めてしまうことが良くないと言うのです。比べることと自分を責めることは別にして考えるべきなのです。

自分よりも優れた人を見たら、「良く頑張っているな」、「才能があるのだな」と客観的に観察するだけにして、「できない自分はダメだ」、「あの人はずるい」につながらないようにしましょう。





3 負けず嫌いな性格

何事でも勝ち負けへのこだわりがつよく、ゲームでも勝つまでやらないと気が済まないような人は、劣等感を敗北感として感じます。いつまでも素直に負けを認められず、悔しさから自分を責めてしまうことがあるのです。

SNSには自慢がたくさん載っています。負けず嫌いの人は、輝いている同年代の人のSNSを見て、悔しい思いをしているかも知れません。「家族の幸せ自慢」「出世や名誉の自慢」「金儲けの自慢」「買い物自慢」「美しさの自慢」など、こんな自慢話で勝負をしても何の価値もありません。

そもそも、内容を盛っている可能性もありますから、その情報を信じる必要もないのです。自慢話のSNSは見ないようにしましょう。



4 職場や友人関係が合っていない

「有名な会社に就職できた」、「難関校に合格した」と、レベルの高いところに就職や入学できて喜んでいる人がいます。入ったのは良いものの、みんな優秀なために、どんなに努力をしても最低の評価しかもらえません。

背伸びをして良い職場や学校に入っても、周りのレベルが高すぎて嫌な思いをすることもあります。毎日を気持ちよく過ごすためには、職場や学校のレベルを下げた方が良いのです。

友達関係も同じです。背伸びをしなくては付き合えないような人間関係は必要ありません。いっしょにいて居心地の良い思いをする人間関係を優先するべきです。


劣等感は、より快適な生活を手に入れるために必要な感情です。ただし、理想に到達できない時に、自分や人を責めてしまうことは良くありません。できない自分を責めるのならば、比べない方が良いのです。「人は人、私は私」と割り切って考えましょう。

みなさんは、イソップ寓話の「ウサギとカメ」をご存じだと思います。ウサギとカメが徒競走をした話です。ウサギは、カメがあまりにも遅いので、手を抜いていいかげんに走りました。カメは、ウサギが何をしようと関係なく、自分のやることだけを考えて真面目に歩きました。最後に勝ったのはカメです。

これは単なる子供のおとぎ話ではありません。人生を象徴する話だからこそ、2500年以上も昔から伝えられて来ました。最後にうまく行くのは、カメのように周りと比べることなく、自分のやるべきことをコツコツやる人なのです。