愛着障害がある人の6つの特徴

皆さんご存じの人気マンガ「鬼滅の刃」。今から100年前の大正時代を舞台にした剣士たちの物語です。その中に、親が子供を売るというショッキングなシーンが何度か出てきます。「身売り」と呼ばれるこのような行為は、80年前の昭和初期まで続いていました。今では子供の人権が認められていますが、つい最近まで「子供は親の所有物」という考えがあったのです。

遊郭や工場などに売られた子供たちは、雇い主のいいなりに生きるしかありませんでした。自分を主張すればとんでもないことが起きるので、自分を消して、自分がない生き方をしました。大人になっても、言われたことに黙って従う人のままです。身売りは過去の話になりましたが、このような自分を主張しない生き方をしている人は、現在でもたくさんいます。


なぜ、自分を主張しない生き方をするのでしょうか?大きな原因は親子関係にあります。幼い頃、親子の情的な絆がつくれないままでいると、親に守られているという信頼が育ちません。すると、親から見捨てられる不安感がいつまでも抜けなくなります。

自分を主張することは、見捨てられることにつながるので、つよいものに従って生きるしかありません。それで、主張しない生き方をするようになるのです。親子の情的な絆を愛着と言いますが、親子関係が悪かったために起きてしまう、このような性格の偏りを愛着障害と呼びます。


愛着障害は、虐待やネグレクトだけで起きるのではありません。衣食住は満たされても、良好な愛着関係が築けない場合、例えば、母親自身に愛着の問題があったり、何らかの精神疾患がある場合などでも起きます。



それでは、親子関係を築けず、愛着の問題がある人は、大人になってから具体的にどのようになるのでしょうか?今回は、愛着障害がある人の6つの特徴を紹介しましょう。





1 見捨てられ不安

赤ちゃんは、親に守られて生活をする中で安心感をおぼえます。「親は裏切らない、必ず守ってくれる」という安心感は、生涯にわたって心の中心になる大切なものです。ところが、親子の情的な絆がつくれないと、安心感が身につきません。そうなると、何をしていても見捨てられるような不安につきまとわれるようになります。これを「見捨てられ不安」と呼びます。人によって漠然とした不安として感じていたり、孤独やさびしさ、人に嫌われているという被害妄想として感じることもあるでしょう。
中には、不安を解消するために、常に人から好かれるように頑張ってしまう人もいます。人に喜ばれるように行動しているのですが、実際は相手を思っているというよりも、見捨てられ不安に追い立てられているのです。



2 自分の考えをはっきりと持てない

子供は、親から安心感をもらいますが、それができた土台で親離れが始まります。自分という意識ができてくると、自然に一人で行動するようになります。ところが、安心感がなければ、見捨てられ不安に邪魔をされて、親から離れることはできません。安心して自立ができないのです。いつまでも自分を主張することができず、反抗期もないまま、大人になってしまいます。愛着障害のある人は、自分の考えをはっきりと持てません。



3 他人の目を気にする

「ありのままの自分は認めてもらえない」という思いがあるので、人前では良い人を装っています。ですから、他人からどう見られているかを常に気にしています。SNSでは、自分へのコメントをいつもチェックして、人から何か悪いことを指摘されると、そのことが頭から離れません。何事も「人は人、私は私」と開き直ることができないのです。





4 嫌と言えない

つよく言われると断れず、渋々受け入れてしまいます。結局損をすることは分かっていても、「NO」と言えません。自分を主張できないのです。
後から悪い結果が出たら、「無理やりやらされた」と、押し付けた人のせいにします。自分がやったことに責任を持とうとしません。



5 自分で決められない

物を買う時、仕事を選ぶ時など、何かを選択する場面では、優柔不断なために自分で決められません。「失敗したらどうしよう」と、選んだことに責任を持ちたくないので、人に決めてもらおうとします。そもそも、自分の好きなことをハッキリ言いません。



6 自分で切り開こうとしない

困った時、自分で自分の道を切り開けません。自分の力で解決しようとせずに、必ず誰かに頼ろうとします。中には、いろいろな人に助けをもらい過ぎて、頭の中がよけい混乱する人もいるでしょう。周りからは、無責任で、辛いことから逃げ回っていると思われます。


愛着障害は、一生背負わなくてはならないのでしょうか?そんなことはありません。原因は、心の中に十分な信頼と安心がないことです。本来ならば、子供の頃に身につくべきものが、まだ身についていません。大人になってからでも、信頼できる人との交流を通して、心の中に信頼と安心を築くことができれば良いのです。もう親は必要ありません。いくつになっても、信頼できる人との交流を積み重ねて行けば、少しずつ愛着障害は改善して行きます。


地位や立場があるから信頼できるのではありません。緊張せずに、心から何でも話せる人が本当に信頼できる人です。人に限らず、犬や猫であっても、あなたのことを大切に思い、肯定してくれる存在であるならば、そこに良い愛着関係をつくることができます。


愛着障害の人は、不安があるために、いつも緊張感を抱えて生活をしています。そのために、体がガチガチで硬く、リラックスができていません。こうした緊張がとれるように時間やお金を使いましょう。心から楽しめる遊びや趣味をもつこと、マッサージやヨガで体の緊張をとることがお薦めです。


音楽や映画など、エンタメを通しての感動体験も大切にしましょう。疑似的な体験であったとしても、愛着を育てる栄養となります。

将来のために貯金をすることも大切かも知れませんが、それ以上に、心の癒しのためにお金を使うことは、何よりも価値のあることです。