心がつらい時に陥りやすい考え方 6つの特徴
いつまでも解決できない問題を抱えたり、つらいことが重なると、元気でいられる人はいません。いつも気分は落ち込み、何かをしようとする気力もなくなってしまいます。こんな時は、物事の考え方もネガティブになります。いつも悪いことばかりを考え、考えれば考えるほど、おかしな方向に結論を出してしまうのです。
気分が落ち込んだ時の考え方は、人によって違うのでなく、いくつかの共通の特徴があります。これが、よけいに問題をこじらせてしまう原因です。あらかじめこの考え方の特徴を知っていれば、誤った判断をしないための予防になるかも知れません。
今回は、心がつらい時に陥りやすい考え方の特徴を6つ紹介しましょう。
気分が落ち込んだ時の考え方は、人によって違うのでなく、いくつかの共通の特徴があります。これが、よけいに問題をこじらせてしまう原因です。あらかじめこの考え方の特徴を知っていれば、誤った判断をしないための予防になるかも知れません。
今回は、心がつらい時に陥りやすい考え方の特徴を6つ紹介しましょう。

1 思い込み
心がつらいと、情緒が不安定になり、思い込みで判断しやすくなります。また、暗示にかかりやすい状態です。
「地面師たち」というドラマをご存知ですか?実話をもとにした、土地がらみの詐欺の話です。詐欺師に騙される人は、仕事に失敗して精神的に追い詰められた立場でした。思い込みがつよい状態であったため、冷静に考えれば、詐欺師の嘘を見抜けたはずなのに、まんまと罠にハマってしまったのです。
また、世の中には、2度も3度も続けて詐欺にあってしまう人がいます。「何でそんなに騙されてしまうのだろう?」と不思議に思うかも知れませんが、1度目の詐欺の被害で気持ちが不安定になり、思い込みがつよくなっているタイミングで、次の詐欺にあってしまうのです。
2 全体の意味を読み取れない
視野が狭くなり、全体を見ることができません。例えば、つらいのでお酒を飲んでいると、「飲み過ぎは体によくないよ」と、家族から言われたとします。家族は、心配の気持ちで言ったのですが、「こんなにつらいのに酒をやめさせるのか!」と怒ってしまいました。心配の気持ちは理解できず、「酒をやめた方がいい」という言葉しか頭に入らなかったのです。
このように、会話の内容も一部分しか頭に入らないので、相手の気持ちを誤解することが起きます。
3 全か無か思考
物事を、「あるか」、「ないか」で判断し、中間がなくなります。これを「全か無か思考」と呼びます。
例えば、これまで生きてきて、良かったことも、悪かったことも両方あったはずですが、つらい気分の時は、「良かったことは一つもなくて、すべてが悪いことだけだった」という極端な考え方になります。まるで記憶が書き換えられたような状態です。よけいに悲観的になって、自己肯定感を失います。

4 自分と関連付ける
特に因果関係がなくても、悪いことは自分のせいであると考えます。自己肯定感が下がるために、周りで起きる出来事を、「自分はダメな人間だ」という考えに結び付けてしまうのです。
例えば、「家族が病気になったのは自分のせいだ」、「会社のプロジェクトが失敗したのは自分のせいだ」と、自分を責めるようになります。
5 グルグル思考
過去の失敗が浮かんできて、頭の中をグルグルと回っています。心理学では、「反芻(はんすう)思考」と呼びます。「反芻」とは、牛などの草食動物が、胃で消化した草を再び口に戻して咀嚼し、これを何度も繰り返すことです。食べ物が、口と胃を行ったり来たりするように、ひとつの考えがいつまでも頭の中を行ったり来たりして、結論が出ません。
反芻する内容の代表は、後悔です。「こうしておけば良かった」、「なんでああしなかったのだろう」と、後悔が止まりません。特に、風呂に入っている時、眠る前など、周りが静かでゆっくりしている時に限って浮かんできます。
「将来うまく行かない」という考えも反芻されます。新しい出来事は、過去の失敗と重なり、失敗の可能性ばかりを考えてしまうのです。
6 生きる意味を考える
生きる意味や目的を考え始めるのも、反芻思考の一つです。いくら考えても答えは出ません。そこで修行をしたり、深い思考にふけり、新たな生き方を見出せるのは、歴史に名を残すような宗教家や哲学者だけです。ふつうの人には答えは出ません。それどころか、「自分には生きる価値がない」という悪い結論を出してしまいます。

今回紹介したように、心がつらい時は、ネガティブな考え方になります。誤った判断につながり、自分を窮地に追い詰めてしまいます。思い込みで人を誤解するだけでなく、暗示や誘惑に引きずられるため、良くない人と交流をもったり、大きな買い物で失敗したり、仕事で間違った判断をすることがあるのです。先ほども紹介しましたが、詐欺師に騙されることもあるでしょう。
心がつらい時は、大きな決断をしてはいけません。生きる意味や目的も、考えない方が良いのです。何よりも、心と体を休めることを優先しましょう。脳を休めることで、ネガティブな考え方を止めることができます。特に睡眠と食事をきちんと確保することに意識を向けましょう。
今回紹介した考え方の特徴は、うつ病の人にも大変多く見られるものです。このような考え方に陥っているだけでなく、眠れない、食べられないが続いて、脳を休めることができないならば、自分の力で悪いループから抜け出せません。これは、うつ病の可能性もあります。放置しないで、精神科を受診するのが良いでしょう。
