双極症の8つの特徴
双極症は、うつ状態と躁状態を繰り返す病気ですが、ほとんどがうつ病から始まります。どういうことかと言うと、ほとんどの双極症の人は、うつ状態が数カ月から数年続いた後に突然躁状態になり、改めて双極症と診断されます。
逆に躁状態から始まる双極症はわずか30%です。ですから、うつ病と診断されて、5年、10年たって初めて躁状態になり、実は双極症だったという人も珍しくありません。
このように説明すると、双極症とは、うつ病に躁状態がくっついただけの病気と勘違いされやすいのですが、実は双極症とうつ病は最初から別の病気です。そもそも、うつ病の「うつ状態」と双極症の「うつ状態」には違いがあります。
このようなことを踏まえながら、今回は双極症の8つの特徴を紹介しましょう。
逆に躁状態から始まる双極症はわずか30%です。ですから、うつ病と診断されて、5年、10年たって初めて躁状態になり、実は双極症だったという人も珍しくありません。
このように説明すると、双極症とは、うつ病に躁状態がくっついただけの病気と勘違いされやすいのですが、実は双極症とうつ病は最初から別の病気です。そもそも、うつ病の「うつ状態」と双極症の「うつ状態」には違いがあります。
このようなことを踏まえながら、今回は双極症の8つの特徴を紹介しましょう。

1 過眠・過食
普通、うつ病というと「眠れない」、「食べられない」ことが特徴ですが、双極症のうつ状態は、過眠と過食をするのが特徴です。「1日10時間以上寝ても寝たりない」、「いくら食べてもお腹がすいて仕方ない」といった感じのことが起こります。
また、双極症は季節の影響を受けやすく、秋から冬にかけてうつ状態が起こりやすいという傾向もあります。ですから、寒くなると熊が食いだめをして冬眠するのと同じように、双極症の人も寒くなると、やたらと食欲が亢進し、睡魔に襲われるようになります。
2 体が鉛のように重くなる
双極症の人は、うつ状態になると寝込んでしまうことが多く、「体が鉛のように重い」と表現します。これを鉛様麻痺(なまりようまひ)と呼び、双極症のうつ状態に大変よく見られる症状です。まるで手足に鉛を入れられたような感覚になり、体を動かすことが億劫になります。
ずっと立っていることも辛くなり、すぐに横になりたくなるのです。その上、過眠・過食が加わりますから、「1日中ゴロゴロして、起きている時は何か食べているだけ」という怠惰な生活です。
注意していただきたいのは、過眠・過食・鉛様麻痺は双極症だけでなく、「非定型うつ病」というタイプのうつ病にも見られます。このために双極症とうつ病は鑑別が難しいのです。
3 突然元気になる
「三年寝太郎」という日本昔話をご存じの人は多いと思います。寝太郎は3年間ただずっとゴロゴロ寝て過ごし、ある日むっくり起き上がります。そして、外に出ると大きな岩を一人で動かし、川の水が流れるようにして村の飢饉を救ったという話です。双極症の人も似たような感じで、何カ月も何年もずっと寝て過ごし、ある日突然活動を始めます。
うつ病ならば、数カ月かけて徐々に回復していくのが普通ですが、双極症の場合は回復が急激です。ある日を境に、掃除、おしゃれ、買い物、SNS発信など、それまで何もできなかったことを取り戻すような感じで動き回ります。
そのまま普通に生活ができれば良いのですが、段々言動がエスカレートして元気すぎるようになることもあり、これが躁状態です。
4 大きな買い物をする
躁状態になると気持が大きくなり、「いくらでもお金が湧いて来る」という感覚になります。ブランド物、高級時計、高級車、マンションなど次から次へと欲しいものが止まらなくなり、無茶なローンを組んでしまいます。100円ショップに立ち寄ったところ、支払いが1万円だったという話もあります。

5 すぐに結果を出そうとする
躁状態では大きなことを考えるようになり、同時に、寝込んでいた期間を取り戻そうと焦ります。元々コツコツ積み上げて何かをすることが苦手なので、すぐに結果が出るような仕事に手をつけます。深く考えずにうまい儲け話にのってしまい、騙されてしまうこともあるでしょう。宝くじやギャンブルで一攫千金を狙う人もいます。
6 何ごとも待てない
待つことができないので、すぐに実行です。失敗した時のことは考えられません。すでに買い物のことを紹介しましたが、就職、退職、起業、投資、結婚、離婚など、人生の大事なことも深く考えずに決めてしまうことがあります。
もちろん身近なところでも「待てない」が出て来ます。レストランで注文したものが遅いと怒る、レジの行列もイライラして文句を言う、といったことでトラブルになることがあります。
7 ドタキャン
寝ないで動き回っていたら、人のエネルギーはいつまでも続きません。数週間から数カ月過ぎると、ある日突然、電池が切れたように動けなくなります。体が重くなり、睡眠時間が長くなり、うつ状態に逆戻りです。人と会う約束、面接の予定、大事な会議など、すべてドタキャンすることになります。
双極症のうつ状態は突然やってきます。仕事などがうまく回り始めた時に突然うつになってしまうことが多いので要注意です。
8 手を広げ過ぎて後悔
躁状態の時に色々なことに手を広げ過ぎてしまうので、うつ状態になると収拾がつかなくなります。「新しい会社に勤めたのに通えない」、「会社を起業したのに寝てばかり」、「買ったマンションのローンが払えない」、「高級ゴルフセットを買い揃えたけれども、ゴルフをしたくない」といったように、後悔や借金が残ってしまい、周りの人に助けてもらいながら、辛い期間を過ごすことになるのです。

双極症の治療を受けないでいると、「躁状態で手を広げて、うつ状態になって後悔」という失敗のパターンを何度も繰り返します。周りの人からは、「何で一度の失敗で学ばず、同じ失敗を何度も繰り返すのだろう」と不思議に思われますが、これは脳の活動が病的な変化をするために起こる現象です。
特に躁状態では気分が良くなるので、「治療は必要ない」と思ったり、「もう2度とうつにはならない」という根拠のない自信を持ったりするために、治療を受けない人もいます。
双極症は治療に長くかかる病気ですが、薬の治療で気分の変動を最小限に抑えることができます。治療には炭酸リチウム、バルプロ酸、ラモトリギンなどの気分安定薬が中心に使われています。薬で気分をうまくコントロールしながら、社会で活躍し、成功している人もたくさんいます。
また、双極症と発達障害のADHDは似ているので間違えられやすい病気です。今回紹介した症状がある場合は双極症ですので、精神科に相談してみましょう。
