ADHDの人の生活

ADHDの症状は大きく分けて、【衝動性】【不注意】【多動性】3つがあります。人によって、どの症状が強いか分かれます。今回は、ADHDの人の生活について解説していきます。





1. 時間の感覚が独特

ADHDの人は、「時間の見積もりが苦手」「今この瞬間しか見えていない」ような感覚を持つことがあります。



たとえば、朝出かける準備をしているとき、「あと10分あるから大丈夫」と思ってスマホを開いたら、気づけばバスが出発した後だった…ということがよくあります。
また、「締切は来週」と思って安心していたら、急に焦り出して夜中に一気にやろうとしてしまうことも。これらはADHDの人にとって日常茶飯事です。



2.スケジュール通りに動くのが苦手

タイムマネジメントが苦手であったり、計画的に動くのが苦手であったりするため、スケジュールを詰めこみすぎるとパニックを起こします。何分にこの電車に乗って、乗り換えは何分でと細かいスケジュールで決めるのがとても怖く、遅刻しないために30分前に着くようにしたりと工夫する人が多くいます。



3. 忘れ物が多い

ADHDの人は、短期的な記憶や段取りの記憶を扱う「ワーキングメモリ」が弱い傾向があります。そのため、



• 財布や鍵を家に忘れてしまう
• 薬を飲むのを忘れて、二回分飲んでしまう
• 「あの人に返信しなきゃ」と思っていたのに、気づけば数日経っている


などの「うっかり」が日常に溶け込んでいます。自転車を駅にとめていたのに、うっかり歩いて帰ってきてしまったという話もあります。



4. やっていることがコロコロ変わる

ADHDの不注意傾向が強い人は、やっていることがコロコロ変わります。事務作業をやっている時に途中で営業の外回りに飛び出しにいったり、片づけをしていたのに、漫画を読み始めたりと、集中がすぐに切れてしまうのです。



5. 感情のコントロールが難しい:「小さなことにすぐ反応しちゃう」

ADHDの人は感情の起伏が激しくなることがあります。ちょっとしたことでイライラしたり、逆に嬉しすぎて落ち着かなくなったり。



• 誰かのちょっとした言葉に強く反応してしまう
• 思い通りにいかないとパニックになってしまう
• 気持ちが切り替えられず、ずっと落ち込んでしまう


ということが、周囲の人には「情緒不安定」に見えるかもしれません。ですが、本人にとっては刺激に対する反応が強く出やすいだけであり、意図的にやっているわけではないのです。





6 .整理整頓が苦手

部屋やカバン、デスク周りなどがすぐに散らかってしまうのもADHDの人に多い特徴です。大体の人は取り出したものを元の場所に戻したり、飲み終わったペットボトルを捨てたりしますが、ADHDの人は、取り出しもの用事が済んだら次のことに考えが移ってしますので、片付けることができず、ごちゃごちゃになってしまうのです。


こうした混乱は、単に「だらしない」のではなく、情報の整理や優先順位づけが苦手な脳の働きによるものです。



7. 思ったことをすぐに口にしてしまう

ADHDの人は、会話の中で「思ったことをすぐ口にしてしまう」「相手の話にかぶってしまう」ことが多くあります。また、他人の表情や空気を読むのが苦手な人もいます。



• 「また話脱線しちゃった」とあとで落ち込む
• 冗談のつもりが相手を傷つけてしまった
• 相手との距離感がうまくつかめない


といった経験をして、自信をなくしてしまう人も少なくありません。
それでも、ADHDの人の中にはとてもユニークで優しい発想を持つ人も多く、「自分らしさ」を大切にできる関係性を見つけることで安心して過ごせるようになります。



8. 頭の中に色々なアイディアが浮かんでくる

ADHDの人は色々なアイディアがポンポンと出て来ることがあると言います。夜にアイディアがさえわたって色々なことが浮かんできて、眠れないということも多くあります。


あの瞬間に戻ったとしても、やはり同じように悩み、同じように決断したでしょう。それは、結果論でしかないのです。だから、あのときの自分を責める必要なんて、どこにもありません。



9.目先のことが優先で長期的なことが考えられない

ADHDの人は、「今」の感情が圧倒的に強い傾向があります。たとえば、「ダイエットしなきゃ」と思ってても、目の前のケーキが美味しそうだったら「今幸せになること」が優先されてしまう。


長期的結果よりも短期的結果を求めてしまいがちです。将来のリスクよりも、目先の快楽や回避が勝ってしまいやすいのです。


ADHDの人は「時間を直線的に捉える力」が弱いとも言われていて、未来のことが自分ごととして感じづらいということも考えられるでしょう。



以上、ADHDの人の生活について解説しました。


ADHDの特徴は「障害」というよりも、「社会との相性のズレ」として考えた方が理解しやすいかもしれません。周囲の理解と、本人の工夫があれば、日常は少しずつラクになっていきます。