失感情症の特徴的な行動
「家に帰って考え込んでいると、職場で嫌なことを言われたことに気づいて、気分が悪くなった」という経験はありませんか?
その場では「この人は何を言っているのだろう?」とよく理解できなくて、時間が経ってから意味が分かって怒りが湧いて来たのです。このように出来事と感情がずれてしまうのは、失感情症かも知れません。
失感情症は、アレキシサイミアとも呼ばれ、自分の感情を認識したり、言葉で表現したりすることが苦手な心の傾向のことです。
「失感情」と呼びますが、決して感情を失っている訳ではありません。その場の状況と感情がうまくリンクしない現象のことです。日本人の10~20%くらいにみられるとも言われるくらい、特別なことではありません。
今回は、失感情症の特徴的な行動と、最後には対応の仕方について解説していきます。
その場では「この人は何を言っているのだろう?」とよく理解できなくて、時間が経ってから意味が分かって怒りが湧いて来たのです。このように出来事と感情がずれてしまうのは、失感情症かも知れません。
失感情症は、アレキシサイミアとも呼ばれ、自分の感情を認識したり、言葉で表現したりすることが苦手な心の傾向のことです。
「失感情」と呼びますが、決して感情を失っている訳ではありません。その場の状況と感情がうまくリンクしない現象のことです。日本人の10~20%くらいにみられるとも言われるくらい、特別なことではありません。
今回は、失感情症の特徴的な行動と、最後には対応の仕方について解説していきます。

1 人に誤解される
失感情症の人は、自分の感情を言葉で表現することが苦手です。例えば、友人とテーマパークに遊びに行って、それなりに快適に過ごしているのに、その場で楽しさを表現できません。
友人には、「楽しくないのかな?」と勘違いされてしまい、楽しさを共有できない友人は、「せっかく誘ってあげたのに…」と良い気持がしません。こうしたことが重なると人間関係がギクシャクすることもあるでしょう。
2 表情が少ない
表情の変化が少ないのも特徴です。みんなが笑っている場面でも一人だけ真顔でいます。悲しいことでみんな泣いているのに自分だけ涙が出ません。クールな人、不愛想な人と思われがちです。
例えば、隣の席の同僚が、帰省した時のおみやげをくれました。とっさのことなので一言「ありがとう」と言うだけで、無表情のままです。後から感謝の気持ちは出てくるのですが、受け取った時には反応がないので、同僚も不愉快な気持ちになります。同僚を軽んじている気持ちは一切ないのに、「失礼な人」と誤解されてしまいます。
3 場にそぐわない言葉を言う
言葉に感情が伴わないので、相手に共感することも苦手なことの一つです。例えば、先輩が一生懸命に激励の言葉をかけてくれているのに、先輩の応援の気持ちを感じることができません。
それどころか、先輩の言葉の多さに、「私は怒られているのかな?」と勘違いしてしまいます。状況を把握できないまま、「申し訳ありません」と謝ってしまい、「変わった人だな」と思われてしまいます。
こんな感じですから、深い人間関係を築くのが苦手です。相手が心を開いてくれても、どう対応したら良いのか分からないため、自分から人との深いつながりを避けてしまうこともあります。

4 心を病むまで休まない
失感情症の人は疲れを感じにくいのも特徴です。ふつうの人が疲れてくると感じる「めんどくさいな」という感じが言葉にならないので、休むタイミングが分かりません。そのために倒れてしまう限界まで仕事をやってしまいます。
その上、困ったことがあっても誰にも相談できず、ストレスを溜め込みやすい傾向もあります。心のモヤモヤをどう対処して良いか分からず、過食をしたり、アルコールやたばこなどの嗜好品で誤魔化したりすることがあります。体を自分で傷つける自〇行為や、うつ病に発展することもあるでしょう。
5 突然の体調不良
失感情症の人は、ストレスを言葉で表現できない分、体で感じやすい傾向もあります。例えば、嫌な上司のことを「あの上司は酷い人だよ」と、同僚や家族と言葉で共有するだけでストレスは発散されますが、それができないので、ストレスが自律神経系を通じて、頭痛、腹痛、倦怠感などのさまざまな体の症状をつくってしまいます。ですから、上司と話をする前になると必ず体調不良が起こるのです。こうした症状は病院で検査をしても異常が見つかりません。

以上、失感情症の人の特徴的な行動について解説しました。
失感情症は、ストレスから一時的に起こることもありますが、基本的に生まれつきの性格傾向なので、決定的な治療方法はありません。むしろ、自分の特徴と理解して、無理に直そうとせずに、うまく付き合っていくことが大切でしょう。自分には「失感情症がある」と意識するだけで、他人に気を遣い過ぎることが減り、生活しやすくなる人もいます。
ただし、自分の努力で少しずつ改善させることも不可能ではありません。それは、出来事と感情をつなげる練習を重ねていくのです。最後に失感情症を改善させるための具体的な方法を2つ紹介しましょう。
1つめは、マンガや本の物語を読むことです。ただ読めば良いということでなく、自分が気に入った登場人物になったつもりで、自分だったらどう考え、どう感じるかをイメージしながら読んでみましょう。
場人物の感じ方と自分の感じ方を比べながら、「こんな場面で怒るんだ」、「こんな感じに笑うんだ」とよく観察してみましょう。もちろん映画やドラマでも良いのですが、画面がすぐに次に移ってしまうので、自分のペースで話を追えるマンガや本の方がお薦めです。
2つめは、「感じたこと日記」を書くことです。失感情症の人は昔から感想文が苦手だったと思います。例えば、卒業の思い出を書いても「修学旅行に行った」、「運動会で優勝した」といった感じで、出来事の羅列だけで終わってしまい、感情を書いてこなかったはずです。
今度は、自分が感じたことだけを毎日日記に書いてみましょう。「今日は雨だった」、「公園を歩いた」と事実を書くだけで終わらせるのでなく、「雨で服が濡れて、不愉快だった」、「公園を歩いたら、日差しが暖かくて気持ちが良かった」という感じです。別に人に見せるものではないので、文章にこだわる必要はありません。自分がどう感じたかを文字にする練習をするのです。
このような出来事と感情をつなげる練習はすぐに結果が出ませんが、やって損をすることではないと思います。気長にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
