何もしない事に罪悪感を感じるあなたへ
「何もしていないと、罪悪感がある」「休んでいても、どこか焦ってしまう」「もっと頑張らなきゃって、自分を責めてしまう」そんなふうに感じてしまうこと、ありませんか?
今回は、「何もしないこと」に罪悪感を覚えてしまうあなたへ、心に留めておいてほしい大切なことを、6つの項目に分けてお伝えしていきます。
今回は、「何もしないこと」に罪悪感を覚えてしまうあなたへ、心に留めておいてほしい大切なことを、6つの項目に分けてお伝えしていきます。

1.「何もしないこと」がつらい理由
私たちは、子どもの頃から、「がんばること」「努力すること」「動いていること」が良いことだと教えられてきました。それ自体が悪いわけではありません。でも、その価値観が強くなりすぎると、「何もしない自分」=「ダメな自分」という思い込みが、知らないうちに心に根を張ってしまいます。
実際、うつ病や心が疲れている状態のときは、
何かを「しよう」と思っても、体も心も動きません。本当は、「休むこと」が一番必要なはずなのに、「こんなに寝てばかりでいいのかな?_」「働いていない私は、価値がないんじゃないかな?」と自分を責め続けてしまいます。
2.心と体の「充電」には時間がかかる
たとえば、大きな木をイメージしてみてください。秋に葉を落とし、冬のあいだは静かに力を蓄えます。外から見ると、「何も起きていないように」見えますが、木の中では、春に向けて、じわじわと準備が進んでいるのです。
心も同じで、一度限界まで疲れ切ってしまったとき、いきなり「元どおり」に戻ることはできません。とくに、心が疲れているときは脳の働きそのものが「エネルギー節約モード」になっていて、思考力、意欲、集中力などが一時的に低下しています。
これは「甘え」でも「気合いが足りない」わけでもありません。医学的にも、ごく自然な防衛反応です。つまり、「動けない」という状態は、あなたの心と体が自分を守ろうとしてくれているサインです。だからこそ、「こんな自分はダメ」と責めるのではなく、「今は、回復のための時間なんだ」と受けとめてあげることが、何より大切です。
3.なぜ「何もしないこと」に罪悪感を感じてしまうのか
それでも私たちは、「何かをしなきゃ」と思ってしまいます。なぜでしょうか?それは、私たちの社会が「成果主義」に偏っているからです。仕事、家事、育児、人間関係――いつも「結果」や「役割」を求められる世界で生きていると、ただ「存在しているだけ」の自分に価値を感じにくくなってしまいます。
でも、本当は、あなたがそこに「いる」こと。それだけで、十分に意味があるのです。赤ちゃんは、何かをしていなくても、そこにいるだけで周りの人を癒し、幸せにしています。大人になった私たちも、本当は同じです。
「何かをしているから価値がある」のではなく、「あなたという存在」そのものに、すでに価値があります。

4.「休むこと」は“何もしない”ではなく“回復のための行動”
「何もしていない」と感じていても、あなたの心と体は、ちゃんと回復という仕事をしてくれています。寝ること、ぼーっとすること、涙を流すこと、ため息をつくこと。それはすべて、「がんばる」ためじゃなく、「生きのびる」ために必要なプロセスです。
たとえば、ケガをしたとき、無理に動かせば傷は悪化してしまいます。しばらくのあいだは、じっと安静にしておくことが、一番の治療になります。それと同じで、心が疲れたときは、**何もしないことこそが“正しい行動”**です。
あなたが今過ごしている静かな時間も、ちゃんと意味があります。それは、次に動き出すための必要な準備期間なのです。
5.もし「何かしたい」と思ったら、してもいい
もちろん、少し元気が出てきたときに「何かやってみたい」と思えたなら、それは素敵なサインです。そのときは、ほんの小さなことで構いません。
・美味しいものを食べに行く・猫カフェに行ってみる・友達と遊びに行ってみる・動画を観て、ちょっと笑う、など元気を取り戻してきたときは、まず好きなことからできるようになっていきます。「好きなことだけやっている」と罪悪感を感じる必要はありません。
6.「今は休むときなんだ」と言える自分に
うつ病や、心の不調は、「何もできない自分」を突きつけてくるものです。でもその中で、少しずつ「自分を許す練習」ができると、回復はとても穏やかで、あたたかいものになります。
「今日は、休むことがいちばんの仕事」「今は、動けないのが自然なんだ」「何もしないことが回復への一歩」そう言えるようになったとき、あなたは確実に前に進んでいます。

「何もしないことに罪悪感を感じるあなたへ」今日のお話が、少しでも心の支えになれたら嬉しいです。
今、あなたが休んでいること。それは「止まっている」のではなく、ちゃんと「回復という名の旅」をしているということです。どうか、自分を責めず、その旅を大切にしてください。
