ADHDの人の食事、食べ方

こんな食べ方をしている人は、ADHDの傾向があります。


食事の取り方や好き嫌いには、習慣だけでなく、脳の構造が関係していると考えられています。したがって、脳の発達の問題がある場合は、特徴的な食事の仕方が見られます。今回は、その中でも注意欠如多動症・ADHDの人の食べ方の特徴についてお話ししましょう。


ADHDは、注意力や衝動性に特徴がある発達障害ですが、実は食べ方にも特徴が現れます。これは「ただの好み」ではなく、脳の働きと深く関係しているのです。逆に考えると、今回紹介するような食べ方に思い当たりのある方は、それはADHD特有の行動パターンと言えるのかも知れません。


今回はADHDの人の特徴的な食べ方を6つに分けて解説していきます。

 



1 ながら食い

1つ目の特徴は、「ながら食い」です。「ながら食い」とは純粋に食事を楽しむのでなく、食べながらスマホを触る、テレビを見るなど、別のことをしながら食事をすることです。


ADHDの人は、注意が分散しやすい特徴があるために、食べることだけに意識を向けることができず、他のことに意識が向きやすいのです。「食べているのにテレビに意識が向いてしまい、気づいたら弁当の半分も残っていなかった」ということも珍しくありません。


ながら食いは満腹感を感じにくく、知らず知らずのうちに食べ過ぎてしまう原因になります。食事に集中できないことで、消化にも影響が出やすく、胃もたれや体重増加のリスクにもつながります。



2. 衝動食い・早食い

ADHDの人は、衝動性が強いため、食べる量やタイミングをコントロールすることが苦手です。そこで見られるのが「衝動食い」です。


たとえば、空腹でなくても目の前にお菓子や食べ物があると、つい手が伸びてしまう。ダイエット中なのに、気づいたら一度に大量に食べてしまった…ということが起こります。


また、先ほども紹介したように注意が分散しやすく、食事中でも別のことを考えたり、スマホを触ったりして、十分に咀嚼せずに飲み込んでしまいます。食事を味わうことをせず、ついつい早食いになってしまいます。


こうした衝動食いや早食いも、食べ過ぎを起こします。やはり胃に負担がかかることや、体重増加の原因にもなるでしょう。



3 アルコールがやめられない

ADHDであるために、ストレスや自己評価の低さを感じている人は、アルコールで気を紛らわせる傾向があります。そのうち量が増えて来て、依存症になる人も多くみられます。


「酒をやめなくては」と思っていても、ADHDの衝動性のために、つい目先の「飲みたい」という欲求を抑えられません。また禁酒という努力を持続することも苦手であるために、アルコール依存症から抜け出せない人もたくさんいます。





4 ダイエットができない

アルコールに限らず、甘い物もストレス解消に役立つため、ADHDの人には甘い物がやめられない場合があります。体重が増え、糖尿病になるケースも多く、医師からダイエットを勧められまずが、継続ができません。食べてはいけないと頭では分かっていながら、ついついお菓子やアイスクリームに手が出てしまいます。


糖尿病になってインシュリン注射をするまでになる人もいますが、命に関わる状態に陥っているにも関わらず、それでも甘い物を食べ続けてしまう人もいます。



5. 食事の時間が不規則になりやすい

ADHDの人は、時間管理や計画を立てることが苦手です。そのために、食事の時間も不規則になりやすい特徴があります。集中力にムラがあるため、仕事や趣味に夢中になっていると、つい食事を忘れてしまうこともあるでしょう。


朝食を抜いてしまったり、昼食の時間が遅くなったり、夜にまとめて食べたりする人もいます。このように食事の時間がバラバラになると、血糖値が乱れやすくなり、疲れやすさやイライラにつながることもあります。



6. 食べ方が汚い・こぼしやすい

ADHDの人は、ながら食いや早食いが多いと紹介しましたが、その結果で食べ方が汚い、こぼしやすいということも起こります。


たとえば、食べながらスマホを触ったり、テレビを見たりすると、食べる動作に集中できません。その結果、口に入れるタイミングがずれて、食べこぼしてしまうことがあります。


こうした行動を周りの人から指摘されても、本人は意図していないことが多く、これは脳の特性や集中力の偏りによるものだからです。



人によって食べ方は自由ですが、ADHDの人の「早食い」、「ながら食い」は、食べ過ぎにつながり、健康を壊す原因となります。その上、甘い物やアルコールへの依存が起こることも多く、命に関わる場合もあるでしょう。


ADHDの食べ方は生まれつきの要素が大きいと言っても、子供の頃からの習慣の部分もあります。大人になってからでも、自分の「早食い」や「ながら食い」の習慣を意識して、少しずつ変えるようにすれば、改善される可能性もあります。


一番良い方法は、家族や友人といっしょに、会話をしながら食事をすることです。会話の度に一旦箸が止まるので、「早食い」や「ながら食い」を防ぐことにつながります。


ところが、世の中は一人で食べる孤食が増えています。現在の仕事のスタイルや家族の形によるので仕方がないことかも知れません。したがって、一人で食べている時は、スマホに触れない、テレビは消す、そして味に集中するように努力しましょう。


食事中に食べることに集中するコツは、一人グルメレポーターになってみることです。食べ物を口にする度に、「この食材はなんだろう」、「この味付けはなかなか作れないな」と、味の感想を言葉にしてみるのです。


うつ病の矛盾した気持ち

「孤独が嫌なのに一人でいたい」という矛盾した気持ちはありませんか?


うつ病になると、「~したいのに~しない」もしくは「~したくないのに~してしまう」といった矛盾した心の状態を経験します。心と行動が逆の方向に向かってしまうのです。


これは、うつ病で病んでいる自分と、それを認められない自分の2つが心の中にあるためです。辻褄が合わない2つの自分がいるために、矛盾した気持ちが湧いてくるのです。


このような矛盾した気持ちを放置していると、思い通りにならない自分自身を責め始めるようになり、ついには「情けない」「ダメ人間」と卑下するようになります。


これでは、うつ病で自信を失っているところに、さらに追い打ちをかけることになるでしょう。うつ病の治りづらさにもつながるため、矛盾した気持ちを抱いても、自分を責めないことが必要です。


今回は、うつ病の矛盾した気持ちを8つ紹介したいと思います。病気を受け入れきれていない自分に気づき、自分の心を大切にするようにしましょう。





1 孤独が嫌なのに一人でいたい

うつ病で最も苦しいことの一つが孤独感です。世の中から一人だけ取り残されたような辛さが常について回ります。


それでいて、人と関わろうとする意欲や集中力はなく、むしろ一人で過ごしたい気分です。「孤独は嫌なのに一人でいたい」というのは矛盾した状態ですが、これがうつ病です。



2 大丈夫でないのに、大丈夫なふりをする

辛くても人に助けを求めず、我慢強い人は、うつ病になりやすい傾向があります。大丈夫でないのに、大丈夫なふりをしてしまうのです。


辛くても弱音を吐かないことは立派なことですが、度が過ぎれば、心を病んでしまいます。もしかすると、これがあなたのうつ病の原因かも知れません。



3 やりたいのにやれない

「やらなくては」という強い義務感がありながら、体が鉛のように重く、すぐに行動に移れないのがうつ病です。


大事な用事も先延ばしになってしまいます。やり残したことが山のように積もり、どこから手を付けたら良いのか分からなくなり、逃げ出したい気持ちになります。



4 頑張りたいのに頑張れない

同じように「頑張りたいのに頑張れない」のがうつ病です。怠けているのではなく、誰よりも努力したいのにできないのです。


「働きたいのにできない」、「人の役に立ちたいのに迷惑をかける」、この矛盾した気持ちに振り回されていると、いつのまにか「私はダメ人間だ」という結論に陥ってしまいます。





5 考えたくないのに考え続ける

嫌な過去、嫌な人の顔、将来の不安など、考えたくないことが無意識に浮かんでくるのもうつ病の特徴です。そして、いつまでも頭の中をグルグル回り続けます。


考えないようにするとよけいに考えてしまい、辛くて「ワー」と声を出して叫んでしまうこともあるでしょう。これは脳疲労が原因の「グルグル思考」と呼ばれるものです。




6 怒りたくないのに、怒ってしまう


うつ病にはイライラや怒りが伴います。感情のコントロールがつかず、ちょっとしたことで人を叱りつけたり、大きな声を出したりするようになります。後から、「何であんなことで怒ったのだろう」と自己嫌悪に陥ってしまうことは、よく聞く話です。



7 買いたくないのに買ってしまう

いつも虚しさが伴うため、コンビニやネットで余計なものを買ってしまいます。買い物には気分解消の力があるからです。


同じ物や無駄な物を買ってしまい、いつも後悔するのですが、それでもやめられません。日常に満足感がないから、同じことを繰り返してしまうのです。



8 死にたいけれども痛いのが嫌

「死にたい」、「消えていなくなりたい」という希死念慮を感じるのもうつ病です。


かといって、「痛い死に方は嫌」、「自殺して地獄へ落ちるのも嫌」と考え、「できれば事故や癌で早く死にたい」と口にする人がいます。「楽して死にたい」というのも変ですが、これは現実が辛過ぎるために、そこから逃げ出したいという気持ちの反映です。



以上、うつ病の矛盾した8つの気持ちを紹介しました。


人はAIではありませんから、矛盾した気持ちを抱いてしまうことは誰にでもあることです。うつ病の人が矛盾した気持ちを抱えるのは、病気の自分とそれを認められない自分の2つが反発しあっているのが原因です。


病気であることを素直に受け入れて、「できないことはできなくて仕方ない」と自分に優しくしてあげてください。そうすれば、この複雑な気持ちは少しずつ解消されていくでしょう。


もしあなたの身近な人が病気になったならば、「怠けてないで頑張れ」、「だらしないからきちんとしろ」とは決して言わないはずです。必ず、「無理をしないで」、「ゆっくり休みなよ」と労い、慰めてあげることでしょう。


同じように自分に対しても、できない自分、やれない自分を優しく慰めてあげてください。


子供の頃から消えていなくなりたい

「子供の頃から消えていなくなりたかった」と言う人がいます。


日本の自殺者数は減少傾向にありますが、若者の自殺者数は横ばいで減っていません。現在、40才未満の死因の1位は自殺です。


自殺と言うと、直前に何か心が傷つくことがあったと考えやすいのですが、若者の自殺には原因が見つからないことがほとんどです。亡くなった後に「あの人がなぜ?」となるケースが多いのです。


学校や職場へ行けて、傍(はた)から見ると普通に生活を送っているようでも、理由なく死にたい気持ちを抱えて生きている人がたくさんいます。こうした人は日常生活を普通に送っており、食事も睡眠もとれているので、典型的なうつ病とまでは診断できません。


ところが、子供の頃から本心からの喜びを感じられず、いつも「消えていなくなりたい」と頭の片隅で考えています。これはうつ病の一つで、気分変調症と呼ばれる病気です。


気分変調症は慢性化したうつ状態と言えます。正式には、2013年から「持続性抑うつ症」という病名で呼ばれるようになりました。昔は「抑うつ人格」とも呼ばれていたように、性格の問題と考えがちですが、治療で良くなる可能性もありますから、専門家を頼って見ることが必要です。


今回は、子供の頃から希死念慮を抱えている人、気分変調症がどのような状態であるのか、詳しく解説しましょう。





1 子供の頃から「消えていなくなりたい」

幼い頃から自分の存在に価値を感じられず、「自分は必要のない存在」と考えています。これを無価値感と呼びますが、無価値感が心の根っ子にあるのです。


生きる意味は分からなくても、それなりに自分には価値があると考えるのが普通の人です。ところが物心ついた頃から、自分に価値を見出せないどころか、いない方が良いという歪んだ考えが身についています。


そして、人から否定されたように感じたことがスイッチとなり、無価値感は意識に上がってきて、「消えていなくなりたい」という気持ちになります。


消えていなくなりたい気持ちの正体は、心に染みついた無価値感なのです。



2 喜びがない

朝目覚めても「今日はこれをやろう」という喜びや意欲がありません。朝早くに起きるのも苦手です。いつも心配事を抱え、必ず何かをくよくよ気にしています。希望はなく、食べて寝て、言われたことをやり、ただ淡々と毎日を送っているだけの生活です。



3 ちょっとしたことで傷つきやすい

人のちょっとした言葉や態度に敏感です。人のいつもと違う言葉や態度に触れると、「嫌われている」と否定された感じになります。相手に悪い気持がなくても、被害妄想のように拒絶されたと勘違いしてしまうこともあります。


心の根っ子に「自分は必要のない人間だ」があるので、何かのきっかけでこれが顔を出すのです。





4 自分と関連付ける

特に因果関係がなくても、悪いことは自分のせいであると考えます。自己肯定感が下がるために、周りで起きる出来事を、「自分はダメな人間だ」という考えに結び付けてしまうのです。


例えば、「家族が病気になったのは自分のせいだ」、「会社のプロジェクトが失敗したのは自分のせいだ」と、自分を責めるようになります。



5 グルグル思考

過去の失敗が浮かんできて、頭の中をグルグルと回っています。心理学では、「反芻(はんすう)思考」と呼びます。「反芻」とは、牛などの草食動物が、胃で消化した草を再び口に戻して咀嚼し、これを何度も繰り返すことです。食べ物が、口と胃を行ったり来たりするように、ひとつの考えがいつまでも頭の中を行ったり来たりして、結論が出ません。


反芻する内容の代表は、後悔です。「こうしておけば良かった」、「なんでああしなかったのだろう」と、後悔が止まりません。特に、風呂に入っている時、眠る前など、周りが静かでゆっくりしている時に限って浮かんできます。


「将来うまく行かない」という考えも反芻されます。新しい出来事は、過去の失敗と重なり、失敗の可能性ばかりを考えてしまうのです。



6 生きる意味を考える

生きる意味や目的を考え始めるのも、反芻思考の一つです。いくら考えても答えは出ません。そこで修行をしたり、深い思考にふけり、新たな生き方を見出せるのは、歴史に名を残すような宗教家や哲学者だけです。ふつうの人には答えは出ません。それどころか、「自分には生きる価値がない」という悪い結論を出してしまいます。


今回紹介したように、心がつらい時は、ネガティブな考え方になります。誤った判断につながり、自分を窮地に追い詰めてしまいます。思い込みで人を誤解するだけでなく、暗示や誘惑に引きずられるため、良くない人と交流をもったり、大きな買い物で失敗したり、仕事で間違った判断をすることがあるのです。先ほども紹介しましたが、詐欺師に騙されることもあるでしょう。


心がつらい時は、大きな決断をしてはいけません。生きる意味や目的も、考えない方が良いのです。何よりも、心と体を休めることを優先しましょう。脳を休めることで、ネガティブな考え方を止めることができます。特に睡眠と食事をきちんと確保することに意識を向けましょう。


今回紹介した考え方の特徴は、うつ病の人にも大変多く見られるものです。このような考え方に陥っているだけでなく、眠れない、食べられないが続いて、脳を休めることができないならば、自分の力で悪いループから抜け出せません。これは、うつ病の可能性もあります。放置しないで、精神科を受診するのが良いでしょう。


自他境界が壊れている人

人間関係でいつも疲れてしまう人は、心を守るバリアが弱っているのかも知れません。


私たちの心は見えないバリアで守られており、これが自分と他人の存在を区別しています。これを心理学では「自他境界」・「バウンダリー」と呼びます。


赤ちゃんの頃は、お母さんと心も体も一体化しているので、自分と他人の境界線が曖昧です。成長するに従い、自分と他人は違う存在であるという認識ができます。


こうして自他境界がハッキリしてくると、「私は私、人は人」、「私は何に責任を負うべきか」という考え方を持てるようになり、自分の気持ちや行動を主体的にコントロールできるようになります。


ところが、親子関係に問題があったり、発達障害で心の成長がうまくいかなかったりすると、自他境界が曖昧なまま大人になります。また、うつ病などで心が弱っている人も自他境界が曖昧になりがちです。


すると他人の悪い影響を受けて自分を見失いやすく、人間関係でエネルギーを消耗するようになります。人間関係でいつも疲れてしまう人は、自他境界に問題があり、それに気づけていない人なのです。


今回は、あなたの自他境界がきちんと機能しているか判断するために、自他境界が曖昧な人の8つサインを紹介しましょう。





1. 嫌なのに「ノー」と言えない

断ったら嫌われる」、「相手を怒らせてしまう」といった理由で、人からの要求や期待に「ノー」と言えない人は、自他境界が曖昧になっています。


例えば、自分の仕事が山積みでも、人からの頼み事を断れず、自分のキャパを超えてしまいます。心の底では「なぜ引き受けてしまったのだろう」という後悔や怒りがありますが、この怒りは心の内側に溜め込まれてしまいます。それで常に疲れている状態が続いてしまうのです。


最近では、闇バイトや性犯罪など、加害者に盲目的に従ってしまい犯罪に巻き込まれる人のニュースを耳にすると思いますが、これも自他境界が曖昧であることが原因です。



2  自己中心と思われたくなくて、自分の意見を言えない

自他境界が曖昧な人は、いつも人からの評価を気にして、周りに受け入られることを考えています。そのために「私はこう思う」と自分の主張ができません。


柔軟性があると言えば聞こえが良いのですが、実際には自分の考えを持てないでいるのです。周りの評価が自分の基準になり、自分の判断基準がありません。



3 失礼にならないか先回りして考える

自他境界が曖昧であると、嫌われないことが最優先事項になります。先回りしてでも人に失礼にならないようにいつも警戒をしています。


そもそも、日本人はおもてなしの文化を持っており、人を気持ちよくさせてあげることを優先して考えます。これは優しさが動機となっているのですが、自他境界が曖昧な人は、自分が傷つかないように、いつも予防線を張って生きている感じです。これでは神経をすり減らし、人間関係に疲れてしまいます。



4. 人の話が自分のことのように感じられて疲れる

相手に共感できることはとても大切なことです。しかし、相手の気持ちに巻き込まれ過ぎるのは自他境界が弱っているサインです。


例えば、友人の悩みを聞いているうちに、自分が辛くなってくるといったように、相手の感情をまるで自分のことのように感じ、その重荷まで背負い込んでしまう人です。これを共感疲労と呼びます。





5 人の言葉や態度に傷つきやすい

人から向けられた言葉や態度をサラッと流すことができず、それどころか深読みして、嫌われたような感覚に陥ります。


注意を受けただけで過剰に傷ついてしまうこともあります。人の言動に敏感で、ちょっとしたことで自分自身が否定されたと感じてしまうのです。



6 機嫌が悪い人を見ると自分のせいだと思う

機嫌が悪い人、怒っている人を見ると、その人が気分を害したのは自分の責任だと感じます。また、怒られている人を見ていると自分が怒られているようにも感じます。


これらのことは、自他境界が曖昧なために、他人が果たすべき責任を気づかないうちに自分が背負っている現象です。これも共感疲労を引き起こす大きな原因となります。



7. 責任転嫁 

他人の責任まで背負ってしまいがちですが、背負いきれなくなると責任転嫁することもあります。自分が負うべき責任、他人が負うべき責任の区別がつきません。自分を責めやすい人は、人も責めやすいのです。



8 人と比べて落ち込む

自分の評価が他人の価値観にあるので、いつも人と比べています。そして、自分よりもうまく行っている人を見ると自分はダメだと落ち込むのです。良くないと思いつつも、気になる人の行動をSNSでチェックするのが習慣になっている人もいます。



以上、自他境界が曖昧な人の7つのサインを紹介しました。


自他境界が曖昧であることが、どれだけ人生で損をしているか理解していただけたと思います。しかし、好きでそうなったのでなく、過去の環境や経験から心のバリアをつくることができなかったのです。


もし、自分の心のバリアが弱っていることに気づけたならば、少しずつ自他境界を持つようにしましょう。曖昧な自他境界は少しずつ変えることができます。


うつ病の人が嫌なこと

意外ですが、これはうつ病の人にとって大きな負担になります。


うつ病は、病気になった人でないと理解できない複雑な心の問題があります。いままで当たり前にやってきたこと、やってもらってきたことが病気を悪くしてしまうことも起こります。


糖尿病になったら、当たり前にとっていたアルコールや甘い物を控えるように、うつ病になったら気を付けなくていけないことがあるのです。


今回は、うつ病のつらさが増してしまう意外なことを6つ取り上げて解説していきましょう。これは療養中の方だけでなく、うつ病の人と関わる方にも知っていただきたいことです。

 



1  人と会う

うつ病で休んでいると聞くと、心配した親戚や友人が「会いたい」と連絡をしてくることがあります。そんな時に「ありがたい」と思うのでなく、むしろ「気が重い」と、よけいに落ち込んでしまうのがうつ病です。気心の知れない人と連絡をとることは強いストレスになるからです。


以前ならば、「ちょっと緊張するけれども大丈夫」と受け流せていた出来事が、大きな負担としてのしかかります。心のエネルギーが枯れているため、人に会うことすらも困難を感じます。


「笑顔を作れない」、「会話のテンポが合わせられない」、「気を遣う余裕がない」、「相手の反応を過剰に気にしてしまう」といった心理状態にあり、特に普段会わない人とのコミュニケーションは、全力疾走した後のような疲労感を生みます。


このような状態であるため、無理をして人と会うことは禁物です。職場にうつ病で休んでいる人がいたら、よほどの用事でない限り、連絡をとらないこともルールです。


また、近所の人や古い友人で、病気のことを伝えていない人と会うことも苦痛です。現在何もできず、働いていないことをどう説明したら良いのか分からないからです。「今何しているの?」という質問に対して、説明に困ってしまうという話をよく聞きます。こうした人とも会わないことが何よりですが、何か聞かれたとしても挨拶代わりの言葉だと思って、適当に返事をすれば良いかと思います。



2 励まされる

相手の人が励ましのつもりで言った言葉が棘のように心に刺さってしまうこともあります。例えば、「うつ病は気持ちの問題だよ」という言葉です。これは、「努力すれば治るでしょう?」という風に聞こえてしまいます。


うつ病は脳の働きが低下した状態であるため、気持ちでどうこうできるものではありません。自分でも「怠けているのかな」と後ろめたく思っているのに、こんな風に言われてしまうと大変傷ついてしまいます。


また、「そろそろ働けそうだね」という言葉も同様です。表情が出て来た、会話が増えた、外出するようになった、そんな変化が周りには元気になったように映ります。


しかし、本人にとっては、「元気なフリをしているだけ」、「調子が良く見える時でも本音はしんどい」という場合もあります。そのために「働けそうだね」と言われると、「まだ元気じゃないのに…」、「元気じゃないといけないのかな」、「期待に応えられていない…」という焦りや自分を責めることにつながります。見た目と心の状態にギャップがあることを理解するべきでしょう。



3 不安定な時期の早起き訓練

ネットには、うつ病のセルフケアの情報がたくさん紹介されています。「朝起き」、「生活リズムを整える」という情報も多く、周囲も本人も「とりあえず早起きすればよくなる」と信じがちです。ところが、回復段階を間違えると危険です。


うつ病の急性期ではエネルギーが著しく低下しており、身体はとにかく休息を必要としています。その段階で「無理に早起き」をしようとすると、病状の悪化につながります。


本来、早起きによるリズム改善は、症状が安定した回復期に入ってから行うべきものです。また、回復期であっても、調子の悪い日はふとんでゆっくり休んでいる方が良いでしょう。





4  過去のルーティンをこなそうとする

うつ病の人がもっとも苦しむことの一つが、昔の元気だった頃の自分と、病気である現在を比べてしまうことです。


以前は簡単にできていた「朝起きる」「仕事をこなす」「家事をする」「趣味を楽しむ」といった当たり前の行動が、驚くほど困難になり、できない自分を責めます。「なんでこんなこともできないのだろう」、「もう元に戻れないかもしれない」という絶望感に陥ってしまうのです。


当たり前のことができないのは、脳のエネルギーが著しく低下しているための症状です。本人もそのことに気づけず、自分を強く責めてしまうことがあります。「病気だから、できないことはやらない」と開き直ることが大切です。



5 予定が入っていること

元気な時は何でもないような予定が、うつ状態では非常に大きな負担になります。


例えば、美容室や病院の予約です。その日が近づいてくるだけで不安になり、前日から眠れなくなることもあります。うつ病は日によって症状の波があるため、「今日行けても、明日は行けない」ということが起こります。そのために予定が大きなプレッシャーになるのです。


状態の悪い時は、無理に予定を入れないようにしましょう。元気になるまでは、できるだけ予約のいらない行動を選ぶことが必要です。



6  心配されないこと

「大丈夫」と言ってしまい、人を避けてしまうのがうつ病です。といっても、心配されないで、放置されてしまうこともつらさの原因になります。自分から人を避けてしまうのに、「誰も気にしてくれないのかな」、「迷惑と思われて距離を置かれているのかも」、「生きる価値がない」ということも考えているのです。


うつ病の人にとって辛いことは、みんなから忘れ去られてしまうことです。「心配しているよ」、「いつまでも待っているよ」といった暖かい言葉が何よりも救いになります。





 うつ病の人から、「職場の人から連絡が入って調子を崩した」、「家族から励まされたはずなのに、傷ついてしまった」、「朝起き訓練が逆効果だった」といったことをよく耳にします。思わぬところから病状が悪くなることがあるのです。


うつ病は怠けや努力不足といった気持ちの問題ではありません。脳の機能が低下しているために起きている病気です。自宅でゆっくり休むこと、できないことはやらずに無理をしないこと、薬を飲むこと、こうしたことが回復につながります。


遠回りに見えても、マイペースにのんびり過ごしていることが一番なのです。周りの人も、うつ病の正体を良く理解してあげて、言動を選ぶようにしましょう。


心の安全基地

心の安全基地を持っていますか?
あなたの生きづらさは、心の安全基地がないことが原因かも知れません。


つらい時に、「それでも生きていこう」と考えられるのは、心の根っ子に生きることへの安心感があるからです。そうでなく、困難や挫折した時、「私には生きる価値がないのかな」と感じてしまうのは、生きることに安心感を持っていない人です。


生きることへの安心感は、子供の頃の親子関係を通して築かれます。お母さんに育ててもらう過程で、「何があってもお母さんが守ってくれる」、「お母さんは何でも受け入れてくれる」という安心感を身に着けることから、これが大人になってからの心の強さになります。


このような子供の頃のお母さんとの関係を、心理学では「心の安全基地」と呼んでいます。暖かいお母さんが、まるで悪者から守ってくれる安全基地のような存在であることから呼ばれています。心の安全基地は人が自立して生きていくための発射台になるものです。


ところが、子供の頃に親からきちんと養育してもらえなかった場合には、親子の情関係が十分に築かれません。すると、心の安全基地がないまま成長し、大人になっても自信をもてず、対人関係をうまく築けないという課題を背負うことになるでしょう。これが生きづらさとなっている場合、「大人の愛着障害」と呼びます。


では、大人の愛着障害で生きづらさがある人は、一生涯それを抱えなくてはならないのでしょうか?そんなことはありません。大人になっても心の安全基地をつくり、それを通して生きることに安心感を手に入れることが可能です。


今回の記事では、大人になってから心の安全基地をつくる方法を具体的に説明したいと思います。





1 心の温かい友人やパートナー

大人になって心の安全基地をつくるために一番よいのは、心の暖かい友人、パートナーの存在です。あなたの存在を否定せず、いつも暖かく受け入れてくれる存在は、子供の頃に体験できなかった心の安全基地となるでしょう。その関係が長く続くほどに、自己肯定感が育まれ、対人関係にも自信をつけることができるようになるはずです。


ただし、現在付き合っている友人やパートナーでも、あなたの言う言葉をいつも否定し、逆に気を遣わせるような存在は心の安全基地ではありません。付き合うほどに心は疲れていき、あなたの愛着の問題をよけいにこじらせてしまいます。今まで以上に自信を失い、対人関係にも支障をもたらすようになるでしょう。



2 頼りになるカウンセラーや病院のスタッフ

人間関係に恵まれない場合は、心理カウンセリングを訪ねて見るのも良いでしょう。経験のあるカウンセラーならば、心の安全基地の役割をしてくれるはずです。気軽に相談できて、相談した時にはいつも変わりなく安心感を与えてくれるならば、とても大切な存在です。


また、うつ病などの精神疾患で通院している場合、病院のスタッフも心の安全基地の役割をしてくれます。精神疾患を疑って受診を考える場合は、「有名な病院だ」、「名医だ」という評判よりも、自分が通って安心できる場所を選ぶようにしましょう。



3 趣味の仲間

スポーツの仲間、ゲームの仲間、カラオケの仲間、習い事の仲間など、趣味の仲間は、心の安全基地になります。辛い時でも仲間と趣味に没頭することが力になるのです。心の問題には触れなくても、趣味の話題を中心に、あなたを否定せず、いつも歓迎してくれる仲間がいることはとても大切なことです。


ただし、プライベートにまでズカズカと入って来ようとする仲間とは距離を置いた方がよいでしょう。



4 推し活

憧れのスターの存在も心の安全基地になります。アイドルは常にファンを大切にしてくれて、ファンを暖かく受け入れてくれるからです。個人的な交流はできませんが、常に輝いた存在であってくれることが心の安全基地になってくれるのです。





5 安心できる場所

自分の部屋やマイホームが安心できる場所であるならば、安全基地としてとても良いことです。広い立派な家でなく、生活していて居心地が良く、のんびり過ごせることが条件です。


家の居心地が良くないならば、行きつけのカフェ、飲み屋、趣味の店、公園、宿泊施設なども心の安全基地になると思います。行きつけの温泉やスパでのんびりしている時に感じる、「生きていて良かったな」という感覚を大切にしてください。



6 植物を育てることやペット

人ではありませんが、植物やペットは私たちをいつも暖かく受け入れてくれる存在です。特に犬や猫などの動物は情緒的な反応を返してくれます。いっしょにいて癒される、ゆっくりできるという感覚が大切です。


癒されるからといっても、自分が管理できないほどに動物をたくさん飼う人もいますが、それぞれは命ですので、最後まで責任をもてる範囲にしましょう。



7 居心地の良い職場

意外に思うかも知れませんが、職場が心の安全基地になる人もいます。働いて居心地が良く、生きがいを感じるような職場は、心の安定につながるのです。


私たちの心に大きな影響を与えるので、職場を選ぶ時は、収入や名誉でなく、居心地の良さで選ぶことが何よりも大切です。



8 信仰

20世紀の精神医学や心理学は、キリスト教への反発から発展してきたところがあります。宗教は心を抑圧するものであり、マインドコントロールであるというのが一般的でした。


ところが、現在では無神論や唯物論だけでは心の世界を説明できないことが分かってきました。2000年頃から始まったポジティブ心理学やポジティブ精神医学では、宗教を尊重し、宗教による癒しについての研究も行われています。


つらい時に「神様!」「オーマイゴッド!」と叫ぶように、神様や先祖の存在は心の安全基地です。「神様やご先祖様からいつも守ってもらっている」という感覚をもっている人は困難に負けない人です。


ただし、恐怖感を植え付ける、高額なお金を要求する、厳しいルールで生活を束縛するような宗教は良くありません。宗教とは、あなたの心を大切にしてくれて、素直に安心を感じられる場所であることが大切なのです。



心の安全基地は1つに依存せず、たくさん持つようにしましょう。いつも安定していて、あなたを否定せず、変わらず暖かく迎えてくれる存在がたくさんあることが大切です。こうした安全基地を通して、「生きていていいんだ」という感覚を何度も感じることが、あなたの心を修復してくれるはずです。


「自分は生きていて良いのだろうか?」「どうして人とうまく付き合えないのだろうか?」と生きづらさを抱えている人は、自分を変えようと苦しい努力をするのでなく、心の安全基地をつくることが必要なのかも知れません。あなたの安全基地となる存在、場所、時間との良い出会いがあることを心から願っています。


キレる人

ちょっとしたきっかけでキレる人は、治療が必要な精神疾患の可能性があります。


ふだんは問題ないのに、ちょっとしたきっかけでキレて、激しく怒る人がいます。思い通りに行かないことがあるとイライラするのは当然かも知れませんが、例えば、「ラインの返信が遅い」、「その言葉が気に食わない」など、些細なことが爆発のスイッチになります。


怒る原因はその人によって決まっていて、見捨てられるような状況、プライドが傷つけられるような状況などが代表的でしょう。


中には、周りが見えなくなるほどに激怒し、大声で叫び、物を投げて壊し、ついには「死んでやる!」と言って窓から飛び降りようとする人もいます。家族にならまだしも、職場の人や店の店員に向かって「土下座しろ!」とキレる人もいて、これではパワハラやカスハラと言われても仕方ありません。


このような激しい感情の乱れがある人は、一般的に「ヒステリー」と呼ばれることがあります。そもそもヒステリーという言葉は古代ギリシャ時代の「子宮」から来ており、その当時から記録があり、女性が正気を失って暴れ出したり、けいれんを起こしたりする病気として知られていました。その名残からキレる人、特に女性のことを現在でもヒステリーと呼ぶことがあります。


ところが、精神医学ではヒステリーという言葉は半世紀前から使われていません。それまでヒステリーと呼ばれていた状態は1つの病気でないことが分かったためです。


現在ではちょっとしたことで怒ることを易怒性と呼び、特に別人のようにキレてしまう場合は解離症状と呼びます。解離とは、人格が分かれて鬼のように変身してしまうことを意味しています。


激しく怒ることはたくさんの精神疾患に見られる症状です。それでは、キレてばかりいる人はどういった病気なのでしょうか?今回は、代表的な5つのキレる病気について説明しましょう。





1 うつ病

「パートナーとうまく行かない」、「子供が言うことをきかない」、「仕事で失敗した」など、ストレスが溜まると誰でもイライラを感じるようになります。相手の言動がスイッチとなり、カーっとなってしまうことがあるでしょう。ただし、些細な事で怒り、それも尋常でない怒り方の場合は、ストレス反応を越えてうつ病である可能性があります。


うつ病というと元気がなくなり、しょんぼりしているイメージを持たれる方も多いと思いますが、怒りがコントロールできなくなる病気の代表です。仕事や家事などをいつも通りにこなせているうつ病の人もいて、そうなると怒ってばかりいる原因がうつ病であると気づけません。


例えば、「仕事はできるけれども、いつも機嫌が悪く、何かあるとすぐに怒る職場の人」、「生活はきちんとしているのに、いつも家族に当たり散らしているお母さん」、「学校へは通っているけれど、家ではだらしなく、少し注意しただけで激怒する高校生」などです。


怒ることに加えて、気分が沈んでいることが多い、疲れやすい、眠りが浅いなどを感じている場合はうつ病の可能性が大きいので、早めに精神科を受診してみましょう。



2 双極症

怒りっぽい期間が数週間から数カ月に渡って持続し、その期間は、うつ病とは逆に気分が高揚している場合は双極症です。


活動的でよくしゃべり、冗談を言い、浪費をしますが、気にくわないことがあると激しく怒り出します。怒りっぽい期間の前後にはうつ状態が見られることが多いでしょう。


うつ病と双極症は鑑別が難しいことがありますが、ともに薬の治療に効果があります。



3 月経前気分不快障害・PMDD

毎月生理が近づく頃に必ずキレるようになる女性は、月経前気分不快障害・PMDDかも知れません。生理前の不調は月経前症候群・PMSでよく知られていますが、PMDDはそれよりも深刻な状態です。


PMDDは、女性ホルモンの変化で起こるうつ病の一つです。激しく怒るのが決まって生理前であり、生理痛や頭痛なども伴う場合はこの可能性があります。気分を安定させ、怒りを抑えるために、抗うつ薬が効きます。





4 パーソナリティ症

怒りを爆発させる原因が、親しい人から拒絶されて嫌われるような状況や、見捨てられるような状況である場合は、境界性パーソナリティ症の可能性があります。境界性パーソナリティ症の人は解離状態となって別人のように怒ります。


パートナーと楽しく話していたと思ったら、突然「何でそんな言い方するんだ!」と激怒し、周りの目も考えずに怒鳴り散らすといった感じです。怒りのあまり外へ飛び出したり、自殺未遂を試みたりといった激しい行動も見られます。


ふだんから相手を束縛することがあり、相手が嫌がることをわざとして、自分が嫌われていないかを確かめようとする試し行動をすることも特徴です。


「パートナーが仕事で忙しい時間帯にわざと電話をする」、「心配されるように遺書のような内容のラインを打つ」といったことがあるでしょう。別れ話の後にストーカー行為に発展することもあります。


境界性パーソナリティ症は、子供の頃に十分な養育を受けらなかったことが原因と考えられています。虐待やネグレクトなどを通して、親子の情的な関係を築けなかったことから、心の成長に支障が起きてしまったのです。


人から拒否されるような出来事があると、「見捨てられ不安」のスイッチが入り、親に見捨てられた時の恐怖が蘇ります。そして、怒りが爆発してしまうと考えられています。


境界性パーソナリティ症は治りにくい病気と考えられていますが、長く腰を据えて治療を継続することで改善されていきます。10年間くらいの治療の継続で、90%近い人が改善されたという報告もあります。



5 統合失調症

パーソナリティ症に似ていますが、常に機嫌が悪く、ちょっとしたことで爆発する人は統合失調症の可能性もあります。常に悪口の幻聴が聞こえていること、人から狙われているという被害妄想があることが怒りの原因です。


統合失調症は、薬の治療に大変効果がある病気です。ところが、自分が病気であるという意識が薄いことが多く、周りの人から病院へ行った方が良いと勧められても断ってしまうケースがあります。



怒ってばかりいることは本人も辛く、いっしょに生活をする家族や仕事をする仲間にも迷惑をかけてしまいます。激しい怒りの背後には、うつや不安の感情があります。酷い場合は被害妄想や幻聴がある場合もあるでしょう。


性格が悪いから怒っているのではなく、深刻な心の病気の可能性もあるのです。短気な性格と考えないで、治療を受けることが必要です。


また、カウンセリングやアンガーマネジメントでもコントロールがつかない場合は、精神科で薬の治療を受けることも考えてみてください。今回紹介した5つの病気は、薬の治療を通して改善される可能性があります。


毒親が言う7つの言葉

親の言葉には、本来、子どもを育てる力があります。
励まし、安心させ、自己肯定感を育むためのものです。しかし、毒親の言葉は、その逆に、子どもの心を長く苦しめる“毒”になることがあります。



もしあなたが「何をしても自信が持てない」「人の顔色ばかり気になる」「誰かと比べてばかりで疲れる」そんな思いを抱えているなら、この記事はその原因に気づくきっかけになるかもしれません。


今回は「毒親がよく言う7つの言葉」についてお話しします。





1 「他の家の子はちゃんとしてるのに」

毒親は、比較によって子どもに劣等感を植えつけることがあります。兄弟や他人の子と比べて、「あなたはダメ」「もっとしっかりしなさい」と言われる経験は、子どもの心に深く刻まれます。


たとえば、学校の成績やスポーツ、家事の手伝いなど、少しの差でも指摘されることがあります。子どもは「努力しても認めてもらえない」「褒められるのは他の子よりできたときだけ」と学ぶのです。


こうした経験は、大人になっても「他人の評価ばかりを気にする」「自分を十分に認められない」という形で残ります。自分の価値を他人と比較してしまうクセがついてしまうのです。



2 「なんでそんなこともできないの?」

これは、子どもの能力そのものを否定する言葉です。失敗やミスをしたときに投げかけられると、「自分は劣っている」と強く感じてしまいます。さらに「また怒られるかもしれない」と不安になり、挑戦することや自分の意見を言うことを恐れるようになります。


その結果、大人になっても挑戦に臆病になったり、意見を押し殺す性格になることがあります。たとえば、仕事で自分のアイデアを提案するのが怖い、ミスをすると必要以上に落ち込む、そんな傾向です。


毒親のこうした言葉は、子どもの自己効力感を奪い、挑戦心を萎えさせるのです。



3 「兄弟はできてるのに」

兄弟間での比較も、毒親が使う典型的な言葉です。「お兄ちゃんはできてるのに、あなたは…」「妹は勉強できるのに、あなたはダメだ」こうした言葉は、子どもに「自分は家族の中で価値が低い」と感じさせます。


兄弟の存在は愛されているかもしれませんが、自分は認めてもらえないその思いは大人になっても、自己肯定感の低さや罪悪感として残ります。また、兄弟や他人と比べ続ける癖は、社会に出てからも「常に誰かと比べてしまう」という形で現れます。





4 「誰のおかげで飯が食えてると思ってるの?」

この言葉は、感謝を強制し、存在を支配する言葉です。毒親は子どもの生活や教育のすべてを「自分が与えたもの」と考え、恩を押し付けます。


この結果、子どもは「自分は親の許可がなければ何もできない」と思い込み、自己肯定感を育む機会を失います。大人になっても、「他人の期待に応えないと愛されない」と感じる傾向が続き、自己犠牲の習慣がついてしまいます。



5 「育ててやったんだから感謝しなさい」

これは恩を利用して子どもを縛る典型的な言葉です。親が子どもを育てるのは当然の責任ですが、毒親はそれを“貸し”のように扱い、子どもを支配します。子どもは「感謝しなければならない」と刷り込まれ、愛情とコントロールが混ざった状態を経験します。


大人になっても、他人に対して過剰に尽くす傾向が出ることがあります。人のために生きることはとても大切ですが、無理な自己犠牲で自分を壊してしまう人は、幼少期のこうした刷り込みが影響しているのです。



6 「あなたのせいで〇〇になった」

毒親は自分の失敗や不満を子どもに押し付けることがあります。「お金がないのはあんたのせい」「私が苦労したのは全部あんたのせい」などです。


こうした言葉は、子どもに「私は人を不幸にする存在だ」という罪悪感を植え付けます。大人になっても、他人の感情や状況を自分のせいだと思い込み、心が休まらない状態を作ってしまいます。



7 「あんたなんか、産まなきゃよかった」

子供の存在そのものを否定する言葉です。言われた瞬間、子どもは「私は生きていていいのかな」と考えてしまいます。心に深く傷を残し、何年経っても癒えないことがあります。


この言葉を経験した方は、まず「あなたの価値は親の言葉で決まらない」と知ることが大切です。



毒親の言葉は、目に見えない傷を残します。
でも、その言葉があなたの本当の価値を決めるわけではありません。
あなたが苦しんでいるのは、決してあなたのせいではないのです。


大切なのは、まず「そういう経験をした自分がいる」と認識してあげることです。
その気持ちを無理に変えようとせず、ただ自分の中にある思いを静かに受け止めるだけでも十分です。


今日この記事を見ているあなたは、一人ではありません。同じように傷ついた人がいることを知り、共感できること自体が、回復の一歩になります。


リストカット 家族や友人の方に知ってほしいこと

自分の周りにリストカットをされている人はいますか?
リストカットをしている人を救うには周りの人の支えが大変重要です。

支えとなるためにも、是非今回の文章を読んでいただけると幸いでございます。



リストカットのように自分を傷つける行為を自傷行為と呼びます。自傷行為には、髪の毛を抜いてしまう抜毛症(ばつもうしょう)、皮膚をひっかく、皮膚を焼く、頭やこぶしを壁に打ち付ける、などがあります。また間接的に自分を傷つける行為も自傷行為として考える場合もあります。
過食嘔吐、全身のタトゥーやピアスの穴開け、薬物乱用、相手を選ばない性的交渉などがあげられます。リストカットと平行して、これらの間接的に自分を傷つける行為をしていることがあります。
自傷行為を自殺ととらえる方も多いと思いますが、とても死にたい気持ちを伴うものの全く異なるものです。自殺は命を絶つ目的で行いますが、自傷行為は体を傷つけたい衝動にかられて行ってしまうのです。
むしろ、辛い人生を生きていくための気持ちの逃げ場のようなものです。癖のように無意識にやってしまうこともあります。

ただし、自殺と違うと言っても、リストカットで手首の深いところにある動脈を切ってしまう場合は死に至ることもあります。死ぬわけでないからと安心するのは禁物です。
動物にも自傷行為がみられます。閉じ込められたペットや養殖の動物が自分の手足や尻尾を咬んだり、毛をむしったりすることがあります。これは動物たちが命を絶つためにやっていることでなく、不快な空間に閉じ込められ、怒りや絶望などの負の感情のやり場がなく起きてしまう行動なのです。
これには脳の中のセロトニンという物質が関係しているという研究もあります。人間も同じです。自分で処理することのできない負の感情が蓄積していくと、衝動的に自分を傷つけてしまうことがあるのです。
リストカットの心理的な背景には次のようなことがあります。

1.家族や恋人から虐待を受けている。孤立している。
2.学校や職場でストレスが多い。過度の競争の中にいる。いじめやハラスメントを受けている。
3.失恋、家族の死などの喪失体験。
4.受験や就職の失敗などの挫折体験。
5.自傷行為を肯定するような映画やドラマを見ている。アンジェリーナ・ジョリーやレディー・ガガなどのハリウッドセレブが過去の自傷体験を語っており、こうしたメディアの影響を受けている。
リストカットをする人に、なぜそうするのかを質問すると、様々な答えが返ってきます。
「血をみると生きている実感がする」「傷の痛みで辛いことが忘れられる」などがあります。また、よく憶えていないとか、血が流れるのをテレビの画面を見るようにボーっと見ている、という人もいます。リストカットをする半分以上の人が痛みを感じていないという報告もあります。なぜリストカットをしてしまうか、本人にとっては説明がつかないことが多いのです。
リストカットをする人は、気持ちを言葉にすることが苦手です。何が辛くて、自分を傷つけてしまうのか、それを質問しても明確な回答が得られないことが多いのです。また思い込みがつよかったり、感情のコントロールが苦手な人もいて、辛い気持ちをうまく解消することが不得意であったりします。
中高校生のリストカットの場合は、成長することで、苦しい気持ちを客観的に捉えられるようになり、それを言葉で表現したり、他の安全な方法で解消できるようになることでリストカットは減っていきます。
それでは、家族や友人にリストカットをしている人がいる場合にどうしたらよいでしょうか?
まず、リストカットを無意識のSOSと考えるべきでしょう。ここで誤解してもらいたくないことは、リストカットは周囲にアピールするためにわざとやっているわけではないことです。気持ちの逃げ場として仕方なくやってしまうことですから、叱ったり、無理にやめさせようとすることは逆効果です。
また、「何が辛いの!」と感情的になって追及しても明確な答えが出てくるとは限りません。自分を客観的に見る力や自分に気持ちを言葉にする力が不足している場合が多いのです。暖かく見守りながら、苦しい原因を周りが推測して取り除いてあげることが必要です。
リストカットの治療には心理療法が向いているので、カウンセリングを受けるのがよいでしょう。カウンセリングでは家族関係を見直したり、苦しい気持ちを言葉で表現することを手伝ってくれたり、リストカット以外の気持ちの解消法を探すような治療を行ってくれるでしょう。
しかし、本人に治療に消極的なことが多く、家族だけがカウンセリングを受けるケースが多いようです。
死にたい気持ちが非常につよく他の自殺方法も試みるような重症の場合や、背後にうつ病、躁うつ病、統合失調症などの精神疾患があると思われる場合は精神科での薬物治療が必要となります。
また、形成外科ではリストカット痕を消してくれるレーザー治療や植皮手術を受けられます。
リストカットは自殺行為と違います。命を終わらせようとしているのでなく、むしろ生きていくために無意識にやってしまう行為です。何が辛いのか、そこを理解してあげることが大切です。

うつ病になって情けないと感じてしまう

うつ病になって何もできないことを「情けない」と思っていませんか?


うつ病の回復には、月単位、年単位の時間がかかります。長く患っていると、やりたいことができないことを「情けないな」と感じることはないでしょうか。


例えば、「メールの返信ができない」、「服が片づけられず山のように積もっている」、「役所への大切な書類をいつまでも提出できない」、といったように、やりたいのにいつまでもやらない自分を責めてしまうのです。


それが高じると、「何もできないダメ人間」、「生きる価値がない」とどんどん自分を責め続けてしまいます。このように落ち込んでしまう時にはどのようにしたら良いのでしょうか?


そもそも、「情けない」と思ってしまうのは、「今の自分は病気でなく、努力をしないでいるだけ」という誤解があります。そのために、努力できないこと、頑張れないことを悔しく感じていて、「情けない」と自分を責めてしまうのです。


ですから、うつ病とは何なのか、その正体を正確に理解することで、「情けない」を減らすことができます。


そこで今回は、うつ病になって「情けない」と感じる人は、どのようにうつ病を捉え、それと向き合ったら良いのかを説明しましょう。





1 うつ病は努力できなくなる病気

うつ病は脳の働きが低下している病気です。症状は気分の落ち込みだけでなく、物事への興味や関心がなくなり、気力もなくなります。その上、倦怠感などの体の症状も現れます。

その結果起こることは、以前できていたことができなくなるということです。「努力できない」、「頑張れない」はうつ病の症状なのです。そういう病気だから、できなくて当たり前です。「情けない」と感じたら、「病気なんだから仕方ない」と開き直りましょう。 





2 生きることだけで精一杯

何もできなくなる病気ですから、生きているだけで精一杯です。家族も同僚も働いているのに、自分は何もできません。


しかし、そもそも療養中ですから、元気な人と比べることはやめましょう。人は人、私は私です。「私はうつ病と格闘中、生きるだけで精一杯」で良いと思います。怠けているのではありません。



3 うつ病は誰でもなる

最近の研究では、うつ病は誰でもなる病気であることが分かりました。特定の性格の傾向や心が弱いからなったのではありません。うつ病は高血圧などの体の病気と同じで、特別な病気ではありません。


精神科に通うことが恥ずかしいという人がいますが、時代遅れの考え方です。現在、うつ病で通院中の日本人は100万人を超えています。精神科に通うことは特別なことではありません。





4 私のせいで病気になったのではない


自分を責め始めると、「何でこんな病気になったのかな」と考えることもあります。中には、「何か間違ったことをした罰なのかな」という考えに落ち込む人もいるでしょう。


うつ病とは、無理や我慢をし過ぎて心が傷つき、同時に脳の働きが弱ってしまった状態です。そもそも、今の世の中、無理や我慢をしないで生きて行くことはできません。頑張り過ぎ、我慢のし過ぎは仕方なかったことなのかと思います。ですから、自分のせいでうつ病になったのではありません。



5 肩書は気にしない

世の中には、やたらと肩書を自慢する人がいます。「有名大学を出た」、「資格を持っている」、「表彰されたことがある」、「どこそこに所属している」など、聞いていて気持ちの良いことではありません。私たちは、肩書で人の価値が決まるのではないことを知っているからです。


うつ病になって肩書がなくなったと嘆く人がいますが、肩書で人の本質が決まるものではありません。気にしないことが大切です。成績、地位、名誉など、社会への実績が人の価値を決めるのではありません。



5 頑張るのをやめる

「病気だからできない」と開き直ることをお勧めしましたが、このような考え方に抵抗を感じる人もいるようです。そういう人たちは、「自分を甘やかして、病気に逃げている」と言います。


開き直れないのは、頑張る生き方が当たり前に染みついていて、頑張らない生き方がダメな生き方であると勘違いしているからです。


私たちは、親からも学校からも、何事も目標を立てて努力することを教わってきました。これは人生を着実に生きて失敗をしないためです。


ところが、幸せになると信じて働き続け、その結果うつ病になりました。まるで梯子をはずされたような気分です。ですから、頑張ることが一概に正しいとは言えないのです。



頑張らない生き方とは、何事も無理をしないで一生懸命にならない生き方です。人と比べることをせず、できないことはやらない主義です。最低限のことだけやって、「あとは神様に任せた」という感じの生き方です。これは、怠けて生きることと違います。


頑張って生きている人は、何もしない1日が許せません。しかし、頑張らない生き方をしている人は、ボーっとして何もしない1日であっても自分を許すことができます。このような力を入れない生き方は、うつ病の回復にもつながるでしょう。