自他境界が壊れている人

人間関係でいつも疲れてしまう人は、心を守るバリアが弱っているのかも知れません。


私たちの心は見えないバリアで守られており、これが自分と他人の存在を区別しています。これを心理学では「自他境界」・「バウンダリー」と呼びます。


赤ちゃんの頃は、お母さんと心も体も一体化しているので、自分と他人の境界線が曖昧です。成長するに従い、自分と他人は違う存在であるという認識ができます。


こうして自他境界がハッキリしてくると、「私は私、人は人」、「私は何に責任を負うべきか」という考え方を持てるようになり、自分の気持ちや行動を主体的にコントロールできるようになります。


ところが、親子関係に問題があったり、発達障害で心の成長がうまくいかなかったりすると、自他境界が曖昧なまま大人になります。また、うつ病などで心が弱っている人も自他境界が曖昧になりがちです。


すると他人の悪い影響を受けて自分を見失いやすく、人間関係でエネルギーを消耗するようになります。人間関係でいつも疲れてしまう人は、自他境界に問題があり、それに気づけていない人なのです。


今回は、あなたの自他境界がきちんと機能しているか判断するために、自他境界が曖昧な人の8つサインを紹介しましょう。





1. 嫌なのに「ノー」と言えない

断ったら嫌われる」、「相手を怒らせてしまう」といった理由で、人からの要求や期待に「ノー」と言えない人は、自他境界が曖昧になっています。


例えば、自分の仕事が山積みでも、人からの頼み事を断れず、自分のキャパを超えてしまいます。心の底では「なぜ引き受けてしまったのだろう」という後悔や怒りがありますが、この怒りは心の内側に溜め込まれてしまいます。それで常に疲れている状態が続いてしまうのです。


最近では、闇バイトや性犯罪など、加害者に盲目的に従ってしまい犯罪に巻き込まれる人のニュースを耳にすると思いますが、これも自他境界が曖昧であることが原因です。



2  自己中心と思われたくなくて、自分の意見を言えない

自他境界が曖昧な人は、いつも人からの評価を気にして、周りに受け入られることを考えています。そのために「私はこう思う」と自分の主張ができません。


柔軟性があると言えば聞こえが良いのですが、実際には自分の考えを持てないでいるのです。周りの評価が自分の基準になり、自分の判断基準がありません。



3 失礼にならないか先回りして考える

自他境界が曖昧であると、嫌われないことが最優先事項になります。先回りしてでも人に失礼にならないようにいつも警戒をしています。


そもそも、日本人はおもてなしの文化を持っており、人を気持ちよくさせてあげることを優先して考えます。これは優しさが動機となっているのですが、自他境界が曖昧な人は、自分が傷つかないように、いつも予防線を張って生きている感じです。これでは神経をすり減らし、人間関係に疲れてしまいます。



4. 人の話が自分のことのように感じられて疲れる

相手に共感できることはとても大切なことです。しかし、相手の気持ちに巻き込まれ過ぎるのは自他境界が弱っているサインです。


例えば、友人の悩みを聞いているうちに、自分が辛くなってくるといったように、相手の感情をまるで自分のことのように感じ、その重荷まで背負い込んでしまう人です。これを共感疲労と呼びます。





5 人の言葉や態度に傷つきやすい

人から向けられた言葉や態度をサラッと流すことができず、それどころか深読みして、嫌われたような感覚に陥ります。


注意を受けただけで過剰に傷ついてしまうこともあります。人の言動に敏感で、ちょっとしたことで自分自身が否定されたと感じてしまうのです。



6 機嫌が悪い人を見ると自分のせいだと思う

機嫌が悪い人、怒っている人を見ると、その人が気分を害したのは自分の責任だと感じます。また、怒られている人を見ていると自分が怒られているようにも感じます。


これらのことは、自他境界が曖昧なために、他人が果たすべき責任を気づかないうちに自分が背負っている現象です。これも共感疲労を引き起こす大きな原因となります。



7. 責任転嫁 

他人の責任まで背負ってしまいがちですが、背負いきれなくなると責任転嫁することもあります。自分が負うべき責任、他人が負うべき責任の区別がつきません。自分を責めやすい人は、人も責めやすいのです。



8 人と比べて落ち込む

自分の評価が他人の価値観にあるので、いつも人と比べています。そして、自分よりもうまく行っている人を見ると自分はダメだと落ち込むのです。良くないと思いつつも、気になる人の行動をSNSでチェックするのが習慣になっている人もいます。



以上、自他境界が曖昧な人の7つのサインを紹介しました。


自他境界が曖昧であることが、どれだけ人生で損をしているか理解していただけたと思います。しかし、好きでそうなったのでなく、過去の環境や経験から心のバリアをつくることができなかったのです。


もし、自分の心のバリアが弱っていることに気づけたならば、少しずつ自他境界を持つようにしましょう。曖昧な自他境界は少しずつ変えることができます。