生活で気づかれるADHDあるある

発達障害とは、生まれつきの脳の発達の障害のことですが、大人になってから周りと同じことができず、ようやく障害に気づかれるケースがあります。


中でも注意欠如多動症・ADHDは、不注意や落ち着きのなさといった症状であるために、「だらしない人」、「落ち着きがない人」、「常識がない人」と誤解されやすい傾向があります。そのために人から信頼を失い、自分で治そうとしても治らないために、「ダメ人間だ」と自信を失うことが大変多く見られます。


今回は、性格の問題として誤解されてしまうようなADHDの人の困りごとを、具体的な例を挙げながら紹介しましょう。ADHDの人にとっては、「ああ、それ、私だ!」と共感できる「あるある」ですが、周りからは「なぜできないの?」と誤解されてしまう内容です。


それでは、ADHDの日常エピソードを8つ紹介しましょう。これらのことを通して、ADHDとはどのようなものであるかを理解していただけると幸いです。





1. 電車の乗り換えが苦手

ADHDの人にとっての時間は、いつも同じ速さで進みません。集中力にムラがあるため、時間は一定の流れをもたず、ある時は急に進んだり、ある時はゆっくり進んだりという体験をします。このように時間の感覚が独特なために、一番多く起きる問題は遅刻を繰り返すことです。


特に、目的地に電車を乗り換えて行く時は、うまくスケジュール調整ができません。駅に着いた途端、「あと何分?」「どこから乗る?」「あれ、改札どっち?」と、様々な混乱にも襲われます。深く考えずに乗り換えを上手くこなしている人たちを見ると、「凄い」と感じてしまうくらいです。



2. 食べかけ、飲みかけが多い:別の興味に意識が瞬間移動

お菓子を半分残したまま放置したり、ペットボトル飲料を最後の一口だけ残して机の上に置きっぱなしにしたり。これはADHDの人にとっては日常的な光景です。衝動性と不注意が原因で起こることであって、育ちの問題ではありません。


ふつう何かを食べる時は、準備・食べる・後片付けがセットとなっているはずですが、ADHDの人は食べたり飲んだりして満足したら、そこで集中が途切れてしまい、意識は別の興味に移ってしまいます。


後片付けは、「別の新しい面倒なタスク」になってしまい、先延ばしされてしまうのです。そのために、飲みかけのコップや半分開けたままのお菓子が、部屋のあちこちに放置されたままになっています。



3. まとめ買いをすると袋ごとなくして損をする

買い物を終え、重い袋を玄関まで運んだ時点で、買い物への集中は途絶えてしまいます。買ったものを袋から出して、あるべき場所にしまうという、最後のタスクが意識から消えてしまうのです。買った物は、玄関の隅、ソファの裏、車のトランクなど、一時的に置いた場所にそのまま放置されるようになります。


例えば、買ったはずのシャンプーが見当たらないので、使い切ったと思い込み、また買ってしまいます。後から以前に買った袋を棚の奥で発見するといった感じです。結局手元に大量のシャンプーが残ってしまいます。



4. 話がコロコロ変わる:頭の中の連想ゲームが止まらない

人と会話している時に、話が急に脱線したり、前の話題に突然戻ったり、話題があちこちに飛び跳ねてしまうこともADHDの特徴です。


頭の中が一つの話題に集中できず、相手が話した言葉や、自分が言った一言から新しい考えが連想ゲームのように浮かんでくるのが原因です。その上、言いたいことを我慢できないので、相手が話し終わるのを待てずに、つい口を挟んでしまいます。


例えば、友人と旅行の話をしていたのに、「あの時食べた海鮮丼美味しかったな」、「海鮮丼屋の店員の身長が高かったな」という考えが浮かんで来て、突然身長の話を始めるという感じです。


本人にとっては、話題は繋がっているのですが、聞いている人には突然話が飛んだように聞こえてしまいます。





5. スマホの充電がいつもぎりぎり

衝動性や独特な時間の感覚のために、将来起こりうる悪いことを予期して準備することができません。


例えば、スマホを充電器に繋ぐという、わずか数秒の作業をせず、スマホのバッテリー残量が常に1%や5%といった状態にあります。


「明日、バッテリーが切れて困るだろう」という未来の不便さは、ADHDの脳にとっては遠い先の出来事であり、現在の行動を促すほどの刺激になりません。そして、「警告音が鳴った」「今まさに電源が切れる」という状況になって、ようやく行動に移します。



6. 貯金が全くできない

スマホの充電どころか、お金を貯めることも苦手です。「今すぐ欲しいバッグ」「今すぐ食べたい限定スイーツ」といった、目の前にある誘惑が、貯金の安心感より優先されてしまいます。


また、ストレスや不安を感じたとき、気分解消のために、衝動的に高額な買い物をしたり、暴飲暴食にお金を使ったりしてしまいます。給料日に「今月こそ貯金するぞ!」と決意した数時間後、ネットで衝動買いをしてしまい、結局月末にはお金がないというのは、ADHDのあるあるです。



7. やっていることがコロコロ変わる

ADHDの人は、興味の湧いたことには強烈な集中力を発揮しますが、慣れて刺激が少なくなるとすぐに飽きが来ます。何事にも熱しやすく冷めやすいのです。


突然、趣味や勉強に熱中し、高価な道具を一式揃えても、数週間後には見向きもせず、次の新しいことに意識が向いてしまうサイクルを繰り返します。スポーツ用品、英語の教材、油絵の道具、ギター、陶芸セットなど、熱中していた時のものが、部屋の隅でホコリをかぶっています。



8. キレやすい:感情のブレーキがきかない

ちょっとしたことでカッとなったり、我慢していた怒りが爆発したりと、感情の起伏が激しいこともADHDに見られることです。


怒りや不満が湧いたとき、それを「落ち着いて考える」「深呼吸する」といった理性的なブレーキが効きにくく、そのまま衝動的に言葉や行動になって表に出てしまうのです。


例えば、注文した内容が出て来るのが遅い、病院でずっと待たされた時など、とりあえず相手に聞いてみるのではなく、最初から怒って文句を言います。「すぐにキレる人」とレッテルを貼られてしまい、人付き合いに影響がでることもあるでしょう。



ADHDのあるあるを紹介しましたが、好きでやっているのではないのに、失敗続きで「こんな私はダメ人間だ」と自信を失う人がたくさんいます。


しかし、これらのことは脳の特性によって引き起こされていることです。決して、性格や育ちが悪いわけではありません。まずは不注意、衝動といったことがADHDの特性であることを理解してください。


生活に大きな支障を感じているならば、精神科で薬の治療を受けることをお薦めします。