若者の自殺者数が過去最多

若者の自殺者数が過去最多になりました。



最近、「若者の自殺者数、過去最多」というニュースがありました。これを聞いて、胸が絞めつけられるような思いをした方も多いと思います。


政府は、2024年の小中高生の自殺者数が、1980年以降最多の529人であると発表しました。これは30年前の1.5倍の数です。日本全体の自殺者数は減少している一方で、小中高生は最多となってしまったのです。


この原因には、女子の自殺者が急激に増えていることが背景にあります。男子の自殺者数は横ばいであるにも関わらず、女子は年々増加し、2024年の自殺者529人のうち女子は290人、男子は239人でした。はじめて女子の自殺者数が男子を抜くことになったのです。


なぜいま、小中高生女子の自殺が増えているのでしょうか。今回は、その原因について解説したいと思います。





1 ネット社会が作る「自殺が身近な社会」

SNSを開けば、ニュース、投稿、匿名の言葉、そして自殺の情報まで、一瞬で目に入るようになりました。かつてはテレビや新聞を通しての出来事だったものが、いつも片手にあるスマホから、リアルタイムに流れてきます。子どもたちはまだ心の整理の仕方を知らないまま、こうした情報に毎日さらされています。



思春期の子どもたちは、まだ自我の土台が完成していません。それにも関わらず、SNSを通して、常に他人の生活、考え方、姿が目に入ってくるため、自分と他人の境界線が曖昧になって行きます。現実とSNSの世界が融合してしまうのです。


そして、辛いことから逃げられる手段として自殺が表現されていると、自殺を選択肢として考える子供が増えるのは当然のことでしょう。


アメリカでは、AIに自殺願望を助長されて、実際に実行してしまった人がいます。16才の子供を含めて、亡くなったのは4人で、チャットGPTとの会話直後に自殺を試みました。


チャットGPTには人に共感する能力が加えられています。亡くなった方のスマホには、「ここにいるよ、最後までいっしょだ」「よくやった」といったAIからのメッセージが残されていたそうです。


現在、遺族とチャットGPTとの間で訴訟が進行中です。
このように、判断力の乏しい人を間違った方向に誘導してしまうことが、今のネット社会の大きな問題の一つです。



2 SNSとルッキズム

SNSは、写真や動画を通して、自分の整った顔、やせた体型、華やかな生活を自慢する場所になっています。そのどれもが「いいね」の数で評価され、まるで美しい外見だけが人の価値になっているかのようです。


外見や体の特徴で人を評価したり、差別したりすることをルッキズムと呼びます。ルッキングとは、日本語で「見た目」ですから、「見た目重視主義」、「外見重視主義」のことです。SNSは、このルッキズムを加速させているのです。


さきほども説明しましたが、大人であれば、ルッキズムに対して距離を置いて眺めることができます。心の境界線が弱い子どもにはそれができません。


特に女子はルッキズムに取り込まれてしまいます。自分の優しさや誠実さといった内的な価値に気づく前に、「自分の顔が嫌い」、「自分の体型を変えたい」と苦しむことになるのです。外見に恵まれないだけで、存在そのものを否定されているように感じる女子も出てくるでしょう。


このように、女子の自殺の増加を促している原因として、ルッキズムの影響が大きいと考えられています。



3 ネットを介した性的搾取

ネットを介した性犯罪は年々増えており、手段も巧妙になっています。最も犠牲になっているのが小中高生の女子です。そして、性犯罪の被害から自殺に追い込まれる女子も増えています。警察の取り締まりや規制にも限界があるのが現実です。


スマホを通じて、知らないうちに犯罪に巻き込まれてしまうケースも多いようです。女子の自殺が増加した背景には、荒れたネット社会の現状と性犯罪が横たわっていると考えられています。





4 親子関係の問題

遺族の聞き取り調査からは、親子関係が良くなかったケースもあります。「親に一方的に叱られた」、「苦しみを理解してもらえない」といったことが自殺の引き金になることも報告されています。


親の暴力、ネグレクト、過干渉、ヤングケアラーといった問題はいつまでも改善されていません。若者の自殺が増えているということは、こうした家族の問題が増えていることを暗示しているのかも知れません。



5 学校のいじめ

いじめ被害による小中高生の自殺も続いています。ただし、いじめの件数は数字の上では年々増えていますが、学校のいじめを報告するシステムが機能していることを反映しているとも言われています。



6 子供のうつ病

自殺者の多くには、精神疾患があったことが報告されています。これは未成年でも例外ではありません。


例えば、うつ病は3才からなる可能性がある病気です。特に子供のうつ病は女子に多く、これは女性ホルモンの影響によると考えられています。生理が始まる小学校高学年くらいから、うつ病になる女子が増えます。また、統合失調症や双極症の多くは、思春期に発症します。


子供は、自分の感情を言葉で表現することが未熟なため、精神疾患が起きていることを自覚できず、周囲にSOSを伝えることも難しいことです。


ほとんどが、「元気がない」、「機嫌が悪い」、「学校の成績が落ちる」といった変化でしか気づけません。そして、親や先生が、「甘え」、「怠け」、「我慢が足りない」と誤解してしまい、状況がこじれるケースが大変多くあります。


未成年の自殺者の増加の背景には、うつ病などの精神疾患の影響も考えなくてはいけません。大人は子供の様子の変化に敏感であるべきです。そして、子供であっても、大人と同じような精神疾患になることを知ることが大切です。



今回は、若者の自殺数が増えているというテーマでご説明しました。みなさんは若者の自殺の増加についてどう考えますか?


これをきっかけに、みなさんも若者の自殺の現状を理解し、関心を持っていただければと思います。