過剰なストレスがかかるとできなくなること

ストレスが蓄積するとできなくなること


人は急激な変化には警戒心が働きますが、少しずつ侵入するストレスには慣れてしまい、気づいた時には心が壊れてしまっていることがあります。


社会心理学には「ゆでガエル理論」というものがあります。カエルを熱湯に入れると熱さに驚いて飛び出しますが、水に入れてから少しずつ温めれば、カエルは温度の変化に気づかないまま、ついには茹でられてしまうという話です。


実際にはカエルは途中で飛び出してしまうので科学的にはありえない事なのですが、「少しずつ危機がやってくると、それに慣れてしまうことで気づけない」という寓話として使われています。


ストレスに晒(さら)された生活にも「ゆでガエル理論」が当てはまる場合があります。毎日の不愉快なストレスを我慢しているうちに慣れてしまい、気づいた時には心が壊れてしまっているという状況です。


ストレスを我慢し、それが蓄積してくると、脳全般の働きが落ちるようになります。今回は、このようなストレスが蓄積してくると日常でできなくなることを8つ紹介しましょう。心が壊れてしまう前に気づいて、ゆでガエルのような結論にならないことが必要です。





1 人の話が頭に入ってこない

先ほども説明しましたが、ストレスが蓄積すると脳の働きが全般に落ちてしまいます。そこでまず起こることは集中力や記憶力の低下です。「話を聞いているのに何も頭に入ってこない」、「本や書類を読んでも内容を理解できない」となってしまうのです。聞き間違いや読み間違いも起こりやすくなります。


「会議や授業の途中で意識がどこかに飛んでしまい、気がつくとまったく違うことを考えていた」ということもあるでしょう。怠けや気合いの足りなさでなく、脳の働きが弱っていることが原因です。



2 おぼえていられない

ストレスによる集中力や記憶力の低下は、物忘れも起こします。「あれをやろうと隣の部屋に行ったのに、何をするために移動したのか忘れてしまう」ということも良く聞く話です。あわてて忘れ物外来に行く人もいますが、ストレスが原因で認知症のようなことも起こるのです。


忘れ物もよく見られます。財布やスマホなどの大切なものをどこかに置き忘れてしまうことがあるでしょう。



3 仕事を早く終わらせられない

脳の働きが低下すると作業効率が落ちます。同じ仕事を仕上げるのに、勘違い、計算間違い、誤字脱字などの細かいミスも重なり、時間がかかるようになります。


仕事だけでなく、家事でも同様です。特に買い物や炊事は頭を使う作業です。買い忘れをしたり、余計なものを買ってしまったり、調理の手際も悪くなります。以前のように家のことをサッサと済ませることができなくなるのです。



4 決断ができない

ストレスの蓄積から物事を決められなくなることも起こります。「今日の夕食は何にしようか」、「この書類はどのフォルダに入れようか」、「友人の誘いにどう返事をしようか」といった日常のささいな決断ができません。答えを出せずに考えが頭の中をグルグル回ってしまうことがあります。





5 感情をコントロールできない

「すぐにカーとなってしまい、人前でも大声で文句を言ってしまう」、「仕事中なのに、嫌なことを思い出すと涙が止まらなくなる」といったように、ふだんなら素通りできるような小さな出来事に感情的に反応してしまうことはないでしょうか?


ストレスの蓄積は、感情をコントロールする機能も狂わせてしまいます。これはワガママになったのではなく、脳が感情のブレーキを踏めなくなっている状態なのです。




6 楽しめない


ゲーム、音楽、映画、友人との食事など、以前は大好きだったことを楽しむことができません。楽しめないどころか、むしろ面倒に感じてしまうこともあるでしょう。これもストレスの蓄積によって、脳の機能が正常に働かなくなっているサインです。



7 人と会いたくない

例え楽しい時間であっても、人と関わることは脳の大きなエネルギーを消費します。したがって、ストレスで脳の働きが弱っていると、自然に人を避けたくなります。「友人の誘いを断ってしまう」、「電話が鳴っても出たくない」、「玄関の呼び鈴が鳴っても居留守を使う」ということが起こってしまうのです。



8 眠れない

ストレスの蓄積は脳の異常な覚醒状態を引き起こし、睡眠に深刻な影響を与えます。「ベッドに入っても心配事がぐるぐると頭を回り、なかなか寝付けない」、「やっと眠れたと思っても、朝方に目が覚めてしまう」、「何時間眠っても疲れが取れない」といった感じです。


睡眠は脳の大切なメンテナンス時間です。眠っている間に脳は記憶を整理し、老廃物を除去し、翌日のために機能を回復させます。この修復作業が行われないと、脳の機能はどんどん落ち続けるという悪循環が生まれます。


ですから睡眠に問題がある限り、ストレスの影響から抜け出せません。睡眠の乱れは、ストレスの蓄積が悪い影響を及ぼしている最も危険なサインなのです。



以上、ストレスが蓄積するとできなくなることを8つ紹介しました。


持続するストレスで最も怖いことは慣れてしまうことです。ゆでガエルのように熱いお湯に慣れてしまい、気づいた時には茹で上がってしまいます。


人は急激な変化には警戒心が働きます。ところが、やりたくない仕事、毎日の忙しさ、嫌な人との付き合い、こうしたことが毎日のようにジワジワと続いていると、悪い意味で適応をしてしまうのです。


そんな時に現れるのが今回紹介したサインです。できないことが増えたと感じたならば、必ず生活を見直しましょう。長い間心の負担になっていることがあるはずです。


仕事を減らす、睡眠時間を確保する、人に助けを求めるなど、何らかの対応をすることが大切です。時には、その環境から逃げ出すことも必要かもしれません。「何とかなるかな」、「まだ大丈夫」、「もう少ししてから」では手遅れになります。放置していると、うつ病や適応障害などの心の病気を発症する可能性があります。


生活習慣を変えても改善しない場合は、精神科を受診することをお勧めします。「このくらいで病院に行くのは大げさ」と思わないでください。早めに相談することが、回復を早める最善の方法です。