仕事を休むサイン

同じ働くことでも、「仕事」と「労働」の違いをご存知ですか?


同じ働くことでも、「仕事」と「労働」では意味が違います。「仕事」とは、自己実現や社会貢献を目的に、情熱や興味をもって取り組む活動のことです。働くことへのやる気や誇りがあるのが仕事です。


これとは違って、「労働」とは、お金を稼ぐ目的に働くことです。主体的に取り組むのでなく、やらされている感覚が伴います。生きるために仕方なく行なう活動で、やらなくて済むなら普通はやりません。「苦役」という言葉にも近く、もっと酷い言い方をすると「奴隷」というイメージもあります。


仕事と労働には、明確な線が引けないところもありますが、あなたが働いているのは仕事でしょうか?それとも労働でしょうか?労働の要素がつよくなってくると、心を病みやすくなります。お金の目的だけで、やりたくないことをやらされていると日々心がすり減っていくのです。


仕事の内容以上に心が病んでしまう原因は、嫌な人のもとで働くことです。自己中心的、権威的、高圧的、不親切、人を馬鹿にしたような態度、意地悪など、こうした人と毎日接するだけで生気が吸い取られてしまいます。彼らは強制収容所の看守のような人間です。


やりたくない労働を続けていると、心と体に変調を来すようになり、うつ病になってしまいます。状態が悪くなる前に、働くことを一旦やめて、休まなくてはいけません。


今回は、働き方が奴隷のような労働となってしまい、休んだ方が良いサインを7つ紹介しましょう。





1 感情がなくなる

生活費を稼ぐための労働の日々で、やってもやっても心の満足がない生活を続けていると、ついには物事に興味や関心を失い、生きる気力も失っていきます。共産圏の強制労働所の労働者がそうであるように、何事にも心が動かなくなってしまうのです。


心理学では、このような状態を「学習された無力感」と呼んでいます。


感情を失うため、表情もなくなり、まるでロボットのようです。「きれいな自然を見ても何も感じない」、「人と会っても楽しくない」、「周りの人が何をしていても関心がない」、「動画や音楽にふれてもうるさいだけ」、こうなったら働くことを一旦やめなくてはならないサインです。



2 ミスが増える

奴隷のように働いていると集中力が落ちてくるので、小さなミスを連発するようになります。そこで自分がおかしくなっていることに気づいて休めれば良いのですが、ほとんどの場合、大きな失敗をしでかしてしまい、無理していたことを後悔することになるでしょう。


ミスが目立ってくるようになるのは、パフォーマンスが低下している証拠であり、働くことを休んだ方が良いサインです。無理をして良いことはありません。



3 逃げ出したい

毎日の苦役に耐えられなくなると、世の中から逃げ出したくなったり、家にひきこもりたくなったりするのは当然のことです。「朝起きたくない」、「人と会いたくない」という気持ちも同じです。心が助けを求めているのです。


また、「お金がないのに買い物をしてしまう」、「食べるのが止まらない」、「家に帰らず、街をブラブラする」、「アルコールの量が増えた」というのは、逃げたい気持ちが行動に出てしまっているサインです。


「逃げ出したい」、「ひきこもりたい」というのは心の素直な気持ちです。これは怠けとか心が弱いからでなく、今の生活を続けていてはいけないという心の叫びと考えるべきです。放置せず、働き方を見直しましょう。





4 眠れない

「寝つきが悪い」、「途中で何度も目が覚める」といった睡眠障害は働き過ぎのサインです。働いている夢を見る人もいますが、これは眠っていても働いているということです。


また、職場の意地悪な人が怪物やゾンビのような不気味な姿となって襲ってくることもあります。どちらも労働によって心が病み始めているサインです。



5 自律神経失調症

胃腸障害、胸の不快感などの不定愁訴も働き過ぎのサインです。病院に行って異常がないと言われても、これは自律神経が失調しているのです。


病院で何でもないからと言って、体調が悪いのに働き続けることは良くありません。やはり休むべきサインです。



6 好きだった仕事が嫌いになる

仕事に生きがいを持てることは素晴らしいことです。ところが、生きがいをもって仕事をしていても、働く量や時間が自分のキャパを越えるような場合は労働になってしまいます。


本来の自分のペースを保てなくなると、徐々にやる気を失うようになり、いつしか仕事が嫌になってしまうでしょう。


また、好きな仕事であっても、嫌な人といっしょに働くことは心を病む大きな原因です。世の中には意地悪で、人の心を病気にさせてしまうような人もいますが、こうした人といっしょに働かざるをえない場合もあります。


できるだけ関わりがないように過ごすべきですが、接点が多いようならば上司や人事に相談して、配置を変えてもらうようにしましょう。


このように、いくら好きな仕事と言っても、職場によっては労働のようになってしまう場所もあるのです。



7 うつ病

有給休暇などを使って2週間の休みをとっても、心と体の状態が改善しない場合は、単なる疲労ではなく、うつ病や適応障害の可能性があります。早めに精神科を受診することをお勧めします。


うつ病や適応障害の診断がついた時、薬の治療を受けて働きながら治す方法もありますが、できれば2カ月以上の休職をしましょう。


「仕事が残っている」、「職場に迷惑をかけたくない」といった理由で、「休まなくても大丈夫です」と言い張る患者さんもいますが、医師に診断書を書いてもらうようにして、自宅療養をするようにしましょう。



今回紹介した内容に当てはまるならば、有給休暇と休日をうまくつかって、できるだけ連続した休みをとるようにしましょう。2年くらい勤務しているならば2週間程度の休みが取れるはずです。それでも元気にならないならば、上司・職場の産業医に相談してください。


また、直接精神科を受診して担当医に相談してみることも可能です。


私たちは学校を卒業してから働くのが常識と教えられてきましたが、会社の奴隷になるために社会に出たのではありません。自分の可能性を伸ばし、生きがいを感じるために社会に出たはずです。


もし、いまの生活が奴隷のように感じるならば、休むことを考え、働き方について考える時間をもちましょう。生きるために働き過ぎて、心を病んでしまっては元も子もありません。


お金よりも心の満足の方が大切です。それができない職場ならば、別の職場を探すべきです。労働ではなく、仕事をするようにしましょう。


部屋が表す心の感情

あなたの部屋の状態から、あなたの心の状態を知ることができます。


私たちが暮らす部屋は、ただの生活空間にとどまらず、心の状態をそのまま映し出していることがあります。部屋を見れば、その人の感情や内面の傾向がわかるのです。これは古くから心理学や精神医学の世界でも語られている興味深いテーマの1つです。


今回は、部屋の状態と心の関係、そこから見えてくる感情のサイン、そして部屋を整えることを通して心を整える方法について解説していきましょう。





1. 部屋は「心の鏡」

部屋は、住んでいる人が好みの物をレイアウトするので、その人の性格が表れると思われがちです。しかし、実際には「性格」ではなく「心の状態」を表しています。


たとえば、散らかった部屋を見ると「あ、この人はだらしないのかな?」と考えがちです。しかし、実際には、散らかっている背景には性格よりも心の疲れが隠れていることが多いのです。


普段は几帳面な人でも、心が疲れていると部屋が荒れてしまうことは珍しくありません。ですから、部屋の状態は心の鏡とも言えるのです。




2. 散らかった部屋の心

散らかった部屋は、心の疲れを映し出していると言いました。なぜなら、片付けができないのは怠けているからではなく、むしろ、心のエネルギーが尽きかけている可能性があるからです。


人は強いストレスにさらされると、生きるための最低限のことしかできなくなり、掃除や整理にまで手が届かなくなってしまいます。散らかった空間は、心が疲れを訴えているサインとも言えるでしょう。


また、乱れた部屋は不安や焦りを表すことがあります。モノをため込みすぎるのは「失うことへの恐れ」の裏返しです。過去にしがみつく気持ちや、先の見えない未来への不安が、気づかないうちに積み重なった荷物になるのです。


さらに、モノで埋め尽くされた部屋は、外の世界から自分を守る殻のような役割を果たすことがあります。


人は不安を強く感じると、身の回りをモノで囲み、閉じられた空間の中に安心を求めようとします。雑然とした部屋は、心が必死に自分を守ろうとした結果なのかもしれません。



3. 生活感のない部屋の心

常に整理整頓が行き届き、生活感すら感じさせないような部屋はどうでしょうか?そこには完璧であろうとする意識や、強い不安を抑え込もうとする気持ちが潜んでいます。部屋を完璧に整えることで、乱れそうになる心を何とか制御しようとしているのです。


また、人生の中で自分の思い通りにならないことが積み重なると、人は「せめて部屋だけは自分の意志で動かせる場所にしたい」と強く願います。その結果、必要以上に掃除や整頓にこだわり、わずかな乱れさえも許せなくなってしまうことがあります。コントロールできることを通して心の均衡を保とうとしているのです。


さらに、きれいすぎる部屋は、「しっかりした人」「几帳面で隙のない人」という印象を与えます。ところが、その実態は「感情を見せたくない」「弱さを知られたくない」という防衛のサインであることも少なくありません。まるで整った空間そのものが仮面となり、自分の心を守ろうとしているのです。





4. 孤独な人の部屋

部屋の状態は、人間関係や孤独感とも深く結びついています。たとえば、部屋を真っ暗にしてカーテンを閉め切っているとき、それは外の世界と関わりたくない気持ちのあらわれです。


人とのつながりに疲れたり、傷ついた経験があったりすると、外に向かう気力を失い、自分だけの殻の中に閉じこもろうとします。その心の状態が、光を遮断した部屋という形で表れるのです。


また、ベッドや布団のまわりにモノが散乱しているとき、それは孤独を埋めようとする無意識の行動でもあります。人の温もりや安心感を求めているのに、それを手にできないと、モノを身の回りに置くことで心の隙間を埋めようとします。モノに囲まれて眠ることで、孤独を紛らわそうとするのです。


さらに、テレビやスマホをつけっぱなしにしてしまうのも、刺激のない孤独に耐えられないからです。静けさが訪れると、心の中に押し込めていた寂しさや不安が顔を出します。そこで映像や音で絶えず部屋を満たし、自分が一人であることを感じにくくしようとするのです。


このように、自分が孤独をどう受け止め、どう埋め合わせようとしているのかを部屋の状態から知ることができます。



5. 部屋を整えることは、心を整えること

部屋の乱れが心の乱れであることを説明してきましたが、逆に考えると、部屋を整えることで心を整えることも可能ということです。


とはいえ、大掛かりな片付けをする必要はありません。いきなり大掃除をしなくても、机の上を整理する、ゴミを捨てる、それだけでも心の中に小さな余裕が生まれます。その小さな一歩が、思っている以上に大きな変化の種になるはずです。


また、部屋のカーテンを開けて光と風を取り入れることは、気分をリセットするうえで非常に効果的です。太陽の光を浴びると脳内でセロトニンが分泌され、気持ちが前向きになります。外の風を感じながら深呼吸をすれば、自律神経が整い、心も軽くなるはずです。


さらに、香りや音も心を整える大切な要素です。アロマの香りに包まれたり、好きな音楽を流したりすると、部屋の空気そのものが変わります。心にも良い影響を与えてくれるはずです。外から働きかけて、内側の感情を調律するのです。


よく断捨離と言われますが、モノを減らすことも心を整える方法のひとつです。必要以上にモノを抱え込まないことは、不安や執着を手放す練習にもなります。


「これがなくても大丈夫」という感覚を持てるようになると、心は軽くなり、安定していきます。
部屋を整えることは、ただ生活を快適にするだけでなく、自分の心と向き合い、少しずつ整えていく行為なのです。




6. 部屋と人生のライフステージ

部屋の状態は、そのときどきの人生のライフステージとも密接に結びついています。学生時代であれば、机の上は参考書やプリントであふれ、社会人になればスーツや仕事道具に変わっていきます。家族を持つようになれば、子どものモノが自然と部屋を埋め尽くしていくでしょう。


こうした変化はすべて、「今の自分の心の状態」と「人生で果たしている役割」を反映しています。だからこそ、部屋の状態を見直すことは、自分の人生そのものを見つめ直すことでもあるのです。



以上、部屋が表す心の状態について解説しました。


片付いていないからといって、自分の部屋の状態を恥じる必要はありません。むしろ「いまの自分の心は、こんなふうに感じているのだ」と気づくことが大切です。その気づきこそが、心を整える第一歩になります。


そして、片付けや掃除は、自分の心に優しく向き合うための方法でもあります。部屋を整えることは、自分を大切にすることなのです。


自殺が多い国と少ない国

貧しい国の人に、自殺が多いわけではありません。


日本は長い間「自殺大国」と呼ばれてきました。近年は少しずつ改善しているとはいえ、依然として先進国の中では高い水準にあります。では、なぜ国によって自殺率に差があるのでしょうか?


今回は「自殺率が高い国と低い国の違い」についてお話しします。その背景を深く掘り下げることで、自殺の原因を知ることができ、予防にもつなげることができるでしょう。





1. 自殺率が高い国と低い国

まずは、世界で自殺率が高い国と低い国の違いについてお話しします。WHOの統計によると、2023年の自殺率が最も高い国はリトアニアです。次いで、韓国、3番目がスリナム、そしてロシアと続きます。


データによっては韓国が1番自殺率の高い国としているデータもあります。自殺大国と呼ばれていた日本は49位で、先進国にしてはいまだに高い水準です。


一方で、自殺率が低い国としては、サウジアラビアやクウェートなどの中東諸国、ブラジルやコロンビアなどの南米諸国が挙げられます。
それでは、なぜ国によって自殺率に差がでてしまうのかを説明しましょう。



2. 自殺と経済の関係

一般的には「貧しい国ほど自殺率が高い」と考えられがちですが、実際はそれほど単純ではありません。


たとえばアフリカの最貧国の多くは、生活は厳しいにもかかわらず、自殺率は低めです。一方で、比較的豊かで経済的に安定している韓国や日本、そしていくつかの東欧諸国では、自殺率が高いという現象が見られます。


なぜ豊かな国であっても自殺が多いのでしょうか。その背景には格差や社会のプレッシャーが大きく関わっています。


豊かであることは物質的な満足を意味しますが、経済的に豊かであっても、人々が置かれる社会環境や精神的負荷によって、自殺リスクは十分に高まるのです。


特に韓国や日本では、教育や仕事の競争が非常に激しく、社会からの期待が常に個人にのしかかります。学校ではトップの成績を求められ、就職では良い会社や安定した職を目指すことが当然とされます。


働き始めれば、長時間労働や職場での人間関係のストレス、評価への不安などが重なり、精神的なプレッシャーは計り知れません。


また、こうした国では「失敗は許されない」という文化的背景があることも見逃せません。間違いや挫折が個人の価値や人生の失敗と直結して考えられやすく、過剰な責任感を抱える人が多くなります。その結果、経済的には恵まれていても、精神的には孤立しやすく、強いストレスを抱え込む状況が生まれるのです。



3. 宗教や文化の自殺への影響

その国の「宗教や文化」は自殺率に大きな影響を与えます。


例えば、イスラム教圏の国々は、自殺率が世界的に見て非常に低い傾向があります。これはイスラム教で自殺が厳しく禁じられていることが影響しています。「死は神から与えられたものであり、自ら命を絶つことは神への冒涜である」と考えられるため、宗教的な抑制が働きやすいのです。


一方で、日本や韓国には「恥の文化」があります。過ちや失敗をしたときに「生き恥をさらすよりは…」という考えが無意識に根付いており、これが歴史的に自殺率を高めてきた背景のひとつといわれています。


また、キリスト教カトリック文化が強い南米諸国も自殺率が低めです。宗教的な価値観と、家族や地域共同体のつながりが強いことが背景にあります。





4.  孤独は自殺率を高める

「社会的つながり」も自殺率に大きく影響します。南米や地中海沿岸の国々では、家族や親戚、友人との絆が非常に強く、困ったときに相談できる相手が多く存在します。こうした人間関係の支えがあることで、精神的な負担を軽減し、自殺リスクを下げる効果があると考えられています。


一方で、日本や韓国、東ヨーロッパの一部では、都市化や個人主義によって孤独を感じる人が増えています。「孤独は喫煙や肥満以上に健康に悪影響を与える」とする研究もあるほどで、社会的な孤立は自殺率に直結する重要な要素です。


都市化が進むと生活は便利になりますが、家族や地域とのつながりは希薄になりやすく、人々は孤独を感じやすくなります。孤独はうつ病や不安のリスクを高めるだけでなく、助けを求めにくくする要因にもなります。


物質的な豊かさや生活の便利さがあっても、心のつながりが欠けていると、自殺リスクが高まるのです。


このことからわかるのは、豊かさや経済的な安定だけで生きる力は十分ではなく、人と人との心のつながりが自殺率に大きな影響を与えるという点です。



5.  アルコール消費量が多いと自殺率が高い

もう一つ見逃せないのが、アルコールの消費量との関係です。


東ヨーロッパやロシアで自殺率が高い背景には、過度な飲酒が深く関わっています。統計的にも、アルコール消費量と自殺率には深い関係が見られます。これは、アルコールはうつ症状を悪化させ、衝動的な行動を引き起こしやすいからです。


日本でも、特に男性の自殺にはアルコール問題が絡んでいるケースが多く報告されています。飲酒文化が強い社会では、自殺率が上がりやすい傾向にあるのです。



6.  精神医療にアクセスしやすいと自殺率は下がる

国によって、心の病気を治療するハードルの高さには大きな差があります。北欧諸国では精神医療へのアクセスが比較的整っており、うつ病や不安障害といった心の不調を早期に発見し、適切にケアできる体制が整っています。


そのため、問題が深刻化する前に治療や支援が受けられ、自殺率を低く抑えやすい傾向があります。さらに、北欧諸国では精神的な健康に対する理解が広く、医療やカウンセリングを受けることに対する心理的な抵抗が少ないことも、早期対応を後押ししています。


一方で、日本や韓国では、精神科や心療内科を受診することに対する偏見が依然として根強く残っています。


「精神科に行くのは恥ずかしい」「弱い人間だと思われる」といった社会的な見られ方を気にして、心の不調を抱えたまま我慢してしまう人が少なくありません。その結果、治療の開始が遅れ、症状が深刻化してからやっと受診するケースが多く見られます。


こうした背景は、自殺率の高さにも直結しています。早期に適切なケアを受けられないことで、うつ病や不安障害は慢性化し、精神的な負荷が蓄積されやすくなるのです。


また、支援を求めにくい文化的な要素や社会的な孤立も重なることで、心理的に追い詰められた状態が長く続き、結果として自殺に至るリスクが高まります。


自殺率を下げるためには、単に医療体制を整えるだけでなく、心の病気に対する社会的偏見を減らし、相談や治療を受けやすい環境を作ることが不可欠です。教育や啓発、職場でのメンタルヘルス対策といった取り組みも、早期ケアを促す重要な要素となります。



7. 国が対策をすると自殺率は下がる

殺対策に積極的に取り組む国は、確実に成果を上げています。たとえばフィンランドは、1990年代には世界で最も自殺率が高い国の一つとして知られていました。しかし国をあげて自殺予防プログラムを実施した結果、20年以上にわたり自殺率を大幅に減少させることに成功しています。


具体的には、まず精神医療の体制を充実させ、うつ病や不安障害などの早期発見と治療を徹底しています。次にアルコール依存や過剰摂取を抑えるための規制を強化し、社会全体でリスクを減らす仕組みを整えています。


また、社会的孤立を防ぐ政策も進められ、高齢者や一人暮らしの人、孤立しやすい人たちへの支援を手厚くしています。さらに学校教育の現場では、子どもたちが自分や他者の心の健康に関心を持ち、適切に対処できる力を身につけられるよう、メンタルヘルス教育を重視しています。


このように国の政策や社会全体の取り組みが変わることで、自殺率は確実に下げられるのです。個人の努力だけでなく、社会や行政が一体となって支える体制を整えることが、最も効果的な自殺対策につながると言えるでしょう。



以上、自殺率の高い国と低い国の違いについて見てみました。


自殺率の高さには国や地域ごとの経済状況、社会的プレッシャー、格差社会、文化や宗教、社会的つながり、アルコール問題、医療アクセスのしやすさといった複数の要因が絡み合っています。そして、国の政策や社会全体の取り組み次第で、自殺率は確実に下げることができるのです。


私たち一人ひとりができることは小さなことかもしれません。しかし、家族や友人との関わりを大切にしたり、心の不調を周囲に相談したりすることが、誰かの命を守るきっかけになるかもしれません。社会全体で支え合う仕組みを作り、互いに気を配ることが、自殺を防ぐ大きな力になるのです。


苦労してきた人だけが知っていること

みなさんは、どんな人生を歩まれてきましたか?小さい頃思い描いていた人生はきっとキラキラして華やかな人生だったかも知れません。でも実際に大人になってみると辛いことが沢山あり、時に人生すら諦めたくなることもあります。


様々な苦労をしていくなかで、人は色々なことを知るのです。苦労していく中で、恨みがたまってしまったこともあるかも知れません。しかし、仮に恨みが取れなくても、今あなたが犯罪などを犯さずに生きているならば、必ず人として成長しています。


人は辛いことを経験すると人として成長していくのです。人の成長とは、お金持ちになることや社会的に知名度や権力などを持つことではありません。また、お金持ちや権力者がみんな苦労してきて人間的に素晴らしい訳でありません。


そこで、今回は苦労した人だけが知っていることを解説していきます。





1. 努力だけではどうにもならない環境要因がある

成功者になった人は、そうでない人に対して、「お前は甘い」や「努力が足りないから貧しいんだよ」と言うことがあります。しかし、世の中はそんなに簡単にはできていません。



その人が努力したという事実はあるにしても周りの環境や運、恵まれた家庭、丈夫な体、頭の良さなど様々なことが大きく影響しています。極端な話ですが、その人が北朝鮮で生まれてしまったのなら、大金持ちにはなれなかったことでしょう。


それと同じように仮に日本で生まれたとしても自分ではどうしようもない要因が人生を阻み、うまく行かないことが沢山あるはずです。苦労してきた人はそれを知っています。



2. 人と比較しても仕方ない

世の中には、とんでもないほどのお金持ちの人達がいます。しかし、その上にももっとお金を持っている人もいます。お金だけでなく、とんでもないほどの顔が良い人、スタイルが良い人、頭が良い人、など嫉妬する対象を探したらキリがありません。


でも、逆に今日食べるご飯もない人、家がない人、戦争で苦しんでいる人など、我々が日本で生まれたことが大変幸福なことであると感じさせられるくらい辛い思いをしている人もいます。


「どうして自分は身長が低いのか」「どうしてもっと美人に生まれなかったのか」「もっと稼げたら」「結婚できたら」「お金持ちの家庭に生まれていれば」など人と比較しても、意味がないのです。本当に大切な人は自分がどん底の時に分かる



3. 人生順風満帆なときもあれば、苦しいときもある

人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)」という言葉があります。人生の吉凶や運不運は予測できないため、安易に喜んだり悲しんだりするべきではないというたとえです。


人生は何をやってもうまく行かないときもあれば、何故か良いことが立て続けに起きることもあります。人生にはいろんなことがあると知っている人は苦労してきた人です。





4. 毎日楽しいと人生が辛くなる

辛いことがあるから、楽しいことを楽しいと感じる。美味しいものを毎日食べていても美味しいと感じられなくなるし、太っていきます。


刺激的な生活を送っていると刺激をどんどんと強くしようとして、性的な強い快楽を求めようとしたり、危険なドラッグにハマっていったりします。人生が狂っていくのです。



5. 当たり前は当たり前ではない

私たちは日々の生活を「当たり前」のものとして過ごしています。しかし、実際にはその「当たり前」は決して当たり前ではなく、さまざまな要因が重なり合って成り立っているものです。


例えば、朝目覚めてご飯を食べ、仕事や学校へ行き、帰宅して家でくつろぐという日常。この一連の流れが普通に続くことは、多くの幸運が積み重なって実現しているのです。


健康であること、住む家があること、食事ができること、仕事があること、これらは決して「当然のこと」ではありません。災害や事故、病気など、突然の出来事によって、私たちの当たり前の生活は一瞬で崩れ去る可能性があるのです。


大地震が起これば住む場所を失うこともあるし、大病を患えば今までのような自由な生活ができなくなることもあるでしょう。仕事を失うことによって経済的な安定が崩れ、生活そのものが苦しくなることもあります。戦争や紛争が起こっている地域では、私たちが日々享受している「平和」という概念すら、簡単に崩れてしまうのです。


また、日常を支えてくれている人々の存在も忘れてはいけません。家族や友人、職場の同僚、さらには物流や医療など、社会を支える人々がいるからこそ、私たちは「当たり前」の生活を送ることができているのです。


電車が時間通りに動くこと、スーパーに行けば食品が並んでいること、道路が崩れないように整備されていること、これらもすべて誰かの働きによって成り立っているのです。



6. 本当に大切な人は、あなたがつらいときにいなくならなかった人

楽しいときや順調なときには、多くの人が周りに集まります。しかし、あなたが本当に苦しいとき、つらいときに、そばにいてくれる人はどれくらいいるでしょうか。


成功しているときや明るい未来が見えているときには、あなたに寄ってくる人が増えてきます。褒めてくれる人も多く、応援してくれる人もいるでしょう。しかし、それは「あなたがうまくいっているから」かもしれません。もし、何かのきっかけで失敗したり、病気になったり、経済的に困窮したりしたら、その人たちはどうするでしょうか。


つらい状況になると、思っていた以上に人が離れていくことがあります。「応援しているよ」と言っていた人が急に連絡を取らなくなったり、いつも一緒にいたはずの人が距離を置いたりすることもあるのです。これは悲しいことですが、同時に、本当に自分にとって大切な人が誰なのかを知る機会にもなります。


本当に大切な人とは、あなたがどんな状況でもそばにいてくれる人のことです。


もし、あなたが過去につらい経験をしたときに、変わらずにそばにいてくれた人がいたなら、その人は何よりも大切にすべき存在です。その人は、あなたの人生において特別な人であり、本当に信頼できる人なのです。



以上、苦労した人が知っていることを解説しました。


苦労を乗り越えた人は、「あのときに比べれば、今の困難は大したことない」と思えるようになります。どんなに辛くても、時間が経てば状況は変わるし、自分の力で立ち直れることを知っているのです。


苦労はできれば避けたいものですが、それを経験したからこそ見える景色があります。そして、その経験が人を強くし、深みのある人間にしていくのです。


だからこそ、今つらい状況にいる人も、無駄ではないと信じてほしいです。いつかきっと、その経験が自分の糧になる日が来るときまで。


うつがつらいときの正しい過ごし方

うつ病は回復期であっても、日々病状の波があります。「治った!」と感じるくらい具合が良い日もあれば、翌日には「もうダメだ」と具合が悪くなることもあるのです。


「三百六十五歩のマーチ」という昭和のヒット曲に、「3歩進んで2歩下がる」という有名なフレーズがありますが、うつ病の治り方もまさに「3歩進んで2歩下がる」です。


これを理解できていないと、「昨日は元気だったのに、今日は具合が悪くて何もできない」と、毎日の病状の変化を比べて落ち込む人がいます。ついには「うつ病は一生治らない」と結論を出してしまい、投げやりになることもあるでしょう。


では、調子が悪いときにはどうしたら良いのでしょうか?うつ病は「3歩進んで2歩下がる」病気と言いましたが、2歩下がった時の対処が大切なのです。今回はうつ症状がつらい時の過ごし方について解説したいと思います。





1. 薬はちゃんと飲めていますか?

 まずは薬をきちんと飲めているかチェックしましょう。調子が良くなってくると忘れてしまうのが薬の大切さです。回復期に調子が悪くなる原因の第1位は、指示通りに薬をきちんと飲めていないことと言われています。


抗うつ薬は数日飲み忘れていても変化はありませんが、しばらくしてから効果が切れてしまい、飲み忘れに気づいた時にはかなり具合が悪くなっているのです。



2. とりあえずゴロゴロしましょう。

具合が悪い時に無理をしても、結局何もできないで終わってしまうのがうつ病です。脳の機能が低下しているため、作業ができないのです。充電切れのスマホが作動しないのと同じです。


そんな時はとにかくゴロゴロしていましょう。むしろ、このゴロゴロが回復につながります。「世の中の人は外で働いているのに」と、元気な人と比べて自分を責める必要はありません。



3.毎日の病状の変化を気にしない

うつ病は、雨の日に調子が悪いといったように、天候に左右される病気です。1日頑張ると数日寝込んでしまうということも起こります。


さまざまな要素が日々の状態に影響を与えるので、毎日のように「今日はどうだった」と病状を気にするのはやめましょう。


「先月より良くなっている」「去年の今頃より元気になった」という感じで、数か月単位、年単位で病状を比べるようにしましょう。




4. 無理して出かけない・特別な予定は入れない

うつ病の人がよく葛藤することは、予定通りに動けなくなりドタキャンをしてしまうことです。よく聞くのが、美容室や病院の予約です。前日まで元気でも、当日になると体調が悪くなって、行けなくなることが多いのです。


ドタキャンは避けたいのですが、無理は良くありません。行くか、行かないかで迷っている時は、キャンセルした方が良いでしょう。


とは言っても、ドタキャンを繰り返していると人からの信頼を失ってしまいます。そもそもうつ病の時はできるだけ特別な予定を入れない方が良いのです。



5. グルグル思考にハマらないようにする

ゴロゴロは回復につながると説明しましたが、横になっていると、過去を後悔したり、将来を悩んだり、頭の中にはいろいろなネガティブなことが浮かんで来ることもあります。


答えが出ないまま、同じことをグルグル考えることを反芻思考(はんすうしこう)と呼びます。考えないようにしようとするほど、よけいに考えてしまうのが反芻思考です。そんな時は意識を別のことに向けましょう。


一番良いのは家族や友人と話すことですが、相手の事情もありますので、動画を見てみる、音楽を聴くなど、意識を映像や音に向けることも良いと思います。



6. 体に意識を向けてみる

 グルグル思考から意識をそらすためには、体に意識を向けることも良い方法です。その場でストレッチをしてみる、シャワーを浴びてみる、思い切って散歩に出てみるのも良いかも知れません。何か美味しい物を口にするのも手です。


ストレッチだけでなく、ピラティス、ヨガ、ダンスなど、体調が良い時に体を動かす習慣を少しずつ身に着けておくと、いざという時に役に立ちます。



7. たくさん眠ること

 たくさん眠ることはうつ病の最高の治療法です。調子の悪い時はともかく眠りましょう。昼夜逆転にならないようにすれば昼寝もお勧めです。「みんな睡眠時間を削って働いているのに、きのうは12時間寝た」といって自分を責める必要はありません。


これとは逆に、不安などで眠れないことはうつ病を悪化させてしまいます。眠れない場合は薬の調整が必要かも知れませんので、主治医とよく相談してみてください。



以上、回復期にうつ症状がつらい時の過ごし方について解説しました。


何もできない日には「情けない」と自分を責めてしまうのがうつ病の特徴です。


しかし、こういう日にこそ「病気だから仕方ない」と開き直って、ゆっくり過ごすのです。「今日は調子が悪くて何もできない最悪な1日」と思うのではなく、「今日は療養に専念する1日」と発想を転換してみてはどうでしょうか。


自殺の原因

死神の正体を知っていますか?


死神はファンタジーの世界の存在ですが、自殺未遂をした患者さんの話を聞いていると、実際に存在するような気持ちになります。


例えば、ホームから電車に飛び込もうとした患者さんは、突然後ろから「飛び込め!」という声とともに、突き飛ばされたような感じがしたのが原因だと言います。


また、窓から飛び降りて奇跡的に助かった人の話では、パートナーからきつい言葉を言われた途端に頭が真っ白になり、やはり「飛び降りなくてはならない!」という強い衝動にかられて飛び降りてしまったそうです。


精神医学では、死にたい気持ちのことを希死念慮と呼び、主にうつ病などの精神疾患の症状として現れます。希死念慮に取り憑かれると、普段からぼんやり消えていなくなりたい気持ちがついて回り、何かの拍子に衝動的に大きくなることを繰り返します。


そして、理性が衝動に負けてしまった時に実行に移されてしまいます。まるで人生のどこかの時点で死神に取り憑かれ、心が弱ったタイミングで死神が暴れ出す感じです。


実は、希死念慮を自分の心の内側の存在ではなく、死神のような心の外の存在として考えることは、治療的にも効果があります。これを精神医学では「外在化(がいざいか)」と呼びます。抱えている葛藤を外に表現することで、葛藤が軽くなる現象です。


漫画「デスノート」にリュークという死神が主人公の横にいますが、希死念慮をそんなイメージで捉えることは治療的に意味があります。希死念慮を感じたら、「死神がやってきた」と客観的に考えることで、衝動を抑えることができるのです。


今回の記事では、どんな人が希死念慮を感じやすいのかを説明しましょう。なぜ死神に取り憑かれてしまうのか、その理由を解明したいと思います。これをもとに、外在化を使った希死念慮の扱い方も解説します。





1 自分が迷惑な存在と感じている

自殺の原因というと、貧困、健康の悩み、いじめ被害などを思い浮かべる人が多いと思います。ところが自殺の70%以上には遺書がなく、具体的な原因はほとんど分かりません。


そうした中、自殺未遂をした人にインタビューをした世界的な調査があり、それによると自殺を試みる人に共通する心理状態が分かりました。それは、「自分の存在が周りに迷惑をかけている」と感じていることです。


自分に生きている価値を見つけられないどころか、家族や社会にとって邪魔な存在と感じることが自殺に最も近づきやすい心の状態なのです。


これを「無価値感」と呼びます。挫折、失敗、いじめなどのさまざまな理由を通して、「どうせ私は必要のない存在だ」、「生きている価値はない」と感じることが大変危険な状態なのです。


特に無価値感を感じやすいのは、うつ病などの精神疾患がある場合です。調査でも自殺者の90%以上に精神疾患があったことが知られています。特に統合失調症・双極症・うつ病の症状として多く見られます。


無価値感は、子供の頃に親から大切にされなかった体験や、学校でのいじめの体験なども影響します。


家庭や学校で酷い仕打ちを受けた体験は、「お前なんか生きる必要がない」と子供の頃から言われ続けたようなものです。そうなれば、無価値感が心に刷り込まれてしまうのは当然と理解できるでしょう。


このように、自分の存在を否定するようになると、希死念慮を感じるようになります。「自分はいらない存在」と感じることから、死神が近寄って来るということです。



2 人とのつながりがない

さらに調査によると、「家族や友達など、信頼していた人から裏切られる」、「大切な人や存在がいなくなる」といったような、人との絆がなくなった状況も自殺のリスクが高くなることが分かりました。


人のつながりもなくなって、家庭・学校・職場などで孤独な立場になると希死念慮が湧いてくることがあるのです。死神は孤独を感じている人のもとに訪ねてきます。


また、無価値感のある人は自分から人を避けてしまいがちです。普通ならば人に助けを求めるべき辛い場面でも、「迷惑をかけてしまう」といって助けを求めません。無価値感のある人は死神に好かれてしまうのです。




3 トラウマを抱えている

過去の心の傷を通して死神がやってくることもあります。例えば、虐待やいじめの体験が大人になってフラッシュバックすることで希死念慮が湧いてきます。


過去のトラウマを思い起こさせるような場面に出くわす、映像を見るといった些細なことが引き金になる場合もあるでしょう。


なかには、数年、数十年経ってから何かの拍子にフラッシュバックに襲われ、希死念慮を感じるようになる人もいます。このように、過去の心の傷を通して死神がやってくることもあるのです。



4 アルコールや違法な薬物の摂取

自殺の衝動を抑えるのは理性の力です。理性が弱っていると、死神の説得に負けてしまいます。


アルコールや違法な薬物は理性を弱らせてしまうので、希死念慮がある時に摂取することは避けるべきです。理性を失い死神の思いのままになってしまいます。


死神は、理性が弱って思い通りになる人が好きです。特に酒飲みが大好きです。



私たちは、出会いを「縁」という言葉で表現しますが、縁とは仏教の「因縁生起(いんねんしょうき)」という言葉から来ています。これは、あらゆるものには原因があり、つながりがあるという考え方です。


どんな人でも、自然の摂理の中で、必要だから産まれて来て、すべての存在がつながっています。世の中に生きる価値のない人はいません。

自分のことを「必要のない存在」、「迷惑な存在」と感じるのは、子供の頃に人から大切にされなかった体験の影響が大きいのです。いまは感じていなくても、将来必ず誰かの必要な存在になることでしょう。


最初にも説明した通り、希死念慮があるならば、外在化してリュークのような死神と考えてください。死神が来て、「生きる価値がないよ」、「いなくなった方がいいよ」と囁かれても、聞き流すのが良いでしょう。


そこで深く考えると、死神はよけいに親しく近づいてきます。「また来ているな」と見て見ぬふりをして慌てないことが一番賢い選択です。こちらが慌てなければ、死神は何も手出しはできないはずです。見えないストーカーとでも考えれば良いのです。


そして、自分で対処できない時は誰かに助けを求めましょう。ストーカーされたら警察に相談するように、死神が来たら公的な電話相談や精神科を訪ねてみてください。


実際のところ死神の正体は分かりません。しかし、もし私たちが自分の存在を否定し、人とのつながりを失った時にどこからかやってきて、命を奪おうとする詐欺師のような存在です。


世の中に必要のない人はいませんから、死神が言う「お前は必要ない」という言葉は嘘です。死神の言葉に騙されないようにしましょう。


うつ病の良くない習慣

うつ病は、健康な時の元気がない状態の延長ではありません。健康な時とは明らかに違う状態です。


自分で考えている以上に脳の働きは低下し、心の抵抗力も落ちています。このことを認識できていないと、健康な時にやっていた行動を習慣的に続けてしまい、うつ症状を悪化させてしまうことがあります。


今回は、うつ病の人がやりがちだけれども、良くない習慣を紹介しましょう。普段やっていた習慣が、うつ病になるとマイナスに働くことがあることを知っていただきたいと思います。





1 他人と比べる

私たちは、自分を向上させるために、他人と比べることをやってきました。学校では成績を比べ、受験の時は偏差値で競争してきました。気がつくと、容姿、収入、地位、持ち物など、何でもかんでも人より上か下かで考える習慣がついています。


元気な時は、自分より上にいる人を見て、「私もそうなりたい」と奮起してきたはずです。ところが、うつ病になると、自分を奮い立たせるためでなく、自分の欠点を責めるために他人と比べてしまいます。これは自己肯定感が低くなったためです。


SNSで輝いている人を見ては「今まで自分は何をやってきたんだ」、同級生が出世した知らせを聞いて「自分はダメ人間だ」と考えるようになります。何でも比べて、「ダメだ」、「情けない」となっているのがうつ病です。


そのうち生きている意味がないという結論を導き出してしまいます。これは症状なのです。


うつ病の時は他人と比べないようにしましょう。といっても比べるのが習慣になっているので仕方がありません。比べる前に、他人の情報が入って来ないように自分を守ることが大切です。


療養中は人のSNSは見ないことです。万が一、他人のうらやましい情報が入って来たら、無視してスルーするようにしましょう。


そもそも他人の成功で自分の幸福が決められるのもおかしな話です。人が成功しようが、幸せになろうが、「私には関係ない」で行きましょう。



2 過去の栄光と比べる

後悔はうつ病の症状の1つです。昔の良かったことを思い出して、「何でこんなダメになったのだろう」と自分を責めてしまうのが特徴です。ここでも比べる習慣が出てきているのです。


例えば、以前パートナーと楽しかった時を思い出して、今一人でいる自分を「情けない」と感じます。そして、「私の人生はどんどん悪くなっている」とネガティブな結論を導き出してしまうのです。


人生は波があるものです。過去の栄光と今を比べることは良くありません。ただし、「昨年の今頃は寝たきりだったのに、今は働けているじゃないか」と言った感じに、症状の改善を確認することは良い事です。



3 元気な頃と比べる

働けないことに「ダメ人間だ」、風呂に入れない自分に「情けない」と自分を責めてしまうのは、病気であることを十分に認識できていないのかも知れません。


普段できていた当たり前のことができなくなるのがうつ病です。
これはうつ病がどのようなものか把握できてなく、元気な頃と比べて自分を責めているのです。できない時は、「病気なんだから仕方ない」と考えましょう。





4 目標に向かって努力する

目標をつくってそれに向かって努力することは大切なことです。


ところが、職場から「いつまでに戻れますか?」と尋ねられることや、休職期間に制限がある場合、「いつまでに治さなくてはならない」と追い詰められることがあります。そして、「来月までに働けるようになろう」と無茶な目標を立てる人もいます。


しかしながら、うつ病は風邪などと違って、いつまでに治ると明確な予定を立てることができません。数カ月で復職できる人もいれば、復職までに数年かかる人もいます。


いつまでに治すと言う目標がプレッシャーになって、ゆっくり療養できなくなる場合もあるでしょう。


うつ病は無理をしないで自然に治って来るものです。焦りが病状を悪くさせることもあるので、「いつまでに治す」と言う目標を立てられません。「来月までに治ったらいいな」という大まかな感じで過ごすのが良いと思います。


職場や主治医とよく相談しながら、治っていないならば休職期間を延長するようにして、無茶な復職はしないようにしましょう。例え職場を辞める結果になっても、何よりも健康を優先するべきであると思います。



5 困難に向かって行く

困難に向かって行くことは、自分を成長させるために必要なことかも知れません。しかし、うつ病は生きるエネルギーが枯れてしまった状態です。困難に立ち向かって、枯れたエネルギーをさらに使い果たすことはするべきではありません。


自分の成長よりも、休養して心の充電をすることを考えるのが優先です。ですから、うつ病の時は「逃げるが勝ち」をモットーにしましょう。余計な責任を負うようなことはせず、心を充電することに時間を使いましょう。



うつ病は普段の自分とは違う状態です。元気な時にやってきた習慣である「比べる」、「目標に向かって努力する」、「困難に立ち向かう」といったことはとりあえずお休みです。もしかすると、これらのことをやり過ぎてうつ病になったのかも知れません。


とりあえず、元気になるまでは、「人は人、自分は自分」、「病気を治すことを優先」、「必要のない責任は負わない」、「逃げるが勝ち」といったことを座右の銘にして過ごしてみてください。


後悔

過去に縛られて動けなくなっていませんか?

なんであんなことをしたのだろう」、「あの時こうしておけばよかった」と、希望がもてないまま毎日を過ごすことがあります。このように、後悔で先に進めないでいる時にはどうしたら良いのでしょうか?


そもそも、人はなぜ後悔するかというと、失敗を繰り返さないために生まれつき備わっている脳の働きであるからです。


例えば、「暴飲暴食で病気になって辛い思いをしたので、その後悔から食生活を正す」、「ギャンブルで大金を失って悔やんでいるので、二度と無駄遣いをしない」といったように、後悔の感情が2度目の過ちを犯さないためのブレーキになってくれるのです。


現在と未来を安心して生きるための、心に備わっている安全装置のような存在なのです。ですから、後悔で苦しみ続けるというのは、人のあるべき姿ではありません。


ところが、後悔のようなネガティブな気持ちをずっと抱えている人がいます。そうなると心の病気になります。もしかすると、すでに心の病気になっているかも知れません。この場合は、一人で抱え込まないで、専門的な治療が必要です。


今回は後悔について説明しましょう。



1 後悔の理由

「大きな失敗をやらかした」、「せっかくのチャンスを逃した」、「人からまんまと騙された」と自分の失敗に悔やむ人がいれば、過去の人生すべてを悔やんでいる人もいます。いつまでも後悔が止まらない理由は、現在がうまく行っていないからです。


現在がうまく行っていないと、失敗する前の記憶が輝いて見えます。辛い時ほど過去の良かった出来事だけが浮かんでくるという現象が起こるので、「過去は良かった」という錯覚を起こすのです。実際はそんなに良くなかったのに、「あのことがなければ、今は幸せなのに」と考えてしまうのです。


例えば、今の仕事がうまく行かないと、以前の仕事をしていた頃の方が満足していたように感じます。前の仕事が嫌で変えたのに、やはり良い思い出だけが浮かんで来るので錯覚を起こすのです。


過去は変えられません。私たちが変えられるのは現在と未来だけです。過去の失敗はより大きな失敗をしないための勉強だったと思えば良いのです。



2 自分を責めている

後悔して辛くなるのは、失敗した自分を許せないでいるためです。自分の過去の選択を受け入れないで、自分で自分を責め続けている現象です。


例えば、現在付き合っているパートナーとうまくいかないでいると、以前付き合った人のことが輝いて見えます。


前の人とうまくいかなくて別れたはずなのに、良かった出来事だけが思い出されて、「前の人の方が良かった」と後悔します。そして、別れることを選択した自分を責め続けているのです。


自分で自分をいじめるのはやめにしましょう。





3 うつ病の症状の可能性

何カ月もたっても後悔で前に進めない場合は、うつ病の可能性があります。


後悔がいつも頭の中をグルグル回っている、それが辛くて消えていなくなりたい、食事がのどを通らない、夜も眠れないという状態です。特に過去の人生すべてを後悔していると感じるならば精神科を受診しましょう。


脳の前頭葉には後悔をする部分があって、セロトニンという脳内物質でコントロールされています。うつ病でセロトニンの分泌が少なくなると、前頭葉の後悔する部分がコントロール不能になり、常に後悔する考えが浮かんで来るようになるのです。


しかし、抗うつ薬の治療で脳のセロトニンの分泌が改善されると、後悔することが減って来るでしょう。



4 何度も同じ失敗を繰り返すADHD

注意欠如多動症・ADHDは、不注意や衝動性を特徴とした発達障害の一つです。何度も注意され、その場では反省しても、同じ失敗を繰り返す人は、ADHDである場合があります。


例えば、「同じような車の事故を何度も繰り返す」、「うまい投資話に何度もひっかかる」、「女性問題で失敗したのに、また女性で間違いを起こす」といったことは、ADHDの人の不注意や感情のコントロールが苦手なために起こることです。


ADHDの不注意や衝動性は薬の治療で改善できる場合もあります。これも精神科に相談してみましょう。



過去のあなたの選択は間違っていなかったと思います。その選択を通して多くを学んだはずなので、これ以上自分を責めることはやめましょう。


中には自分を責めるだけで気持ちが治まらず、家族やパートナーのことを責めてしまう人もいます。他人を責めても解決にはなりません。よけいに辛くなるだけです。


昔の嫌なことが浮かんで来たら、記憶に向かって、「うるさい、私は間違っていなかった」と叫んでみましょう。時間は必要ですが、そのうち浮かんでこなくなるはずです。


我慢のし過ぎ

まだまだ頑張れると思っていても、それは限界が来ているサインです。


みなさんは、「感情労働」という言葉をご存じでしょうか?肉体労働や頭脳労働は聞いたことがあると思いますが、感情労働と聞いてもピンと来ないかも知れません。


感情労働とは、お客さんや職場の相手に気持ちを合わせ、常に自分の感情を抑えなくてはならない仕事のことです。例えば、「嫌なお客さんでも笑顔をつくる」、「怖い上司の顔色を伺って働く」といった感じです。


また、いっしょに住んでいる家族に気を遣かって生活をしているために、家庭の中でありながら、まるで感情労働をしているような人もいます。すると我慢の限界が来て心が壊れてしまうでしょう。


このように、毎日のように自分の感情を押し殺して生活をしていると、心は疲れ果てて何もかも嫌になっていきます。そこでやめられたら良いのですが、責任感のつよさから、「まだまだ頑張れる」と思い、気持ちを抑え続けようとする人もいます。


心が壊れてしまう前に、必ず体からSOSのサインが出ます。「もう無理だ」という本音を押し殺している時に出てくるサインです。今回は、我慢の限界が来ているサインを7つ紹介しましょう。





1 歯の痛み

人でも動物でも、最も多い病気は風邪ではなく、歯の病気です。口は飲食物の入口ですので、さまざまな問題が起こるのです。また、口はストレスの影響も大変多く受けます。


ストレスから免疫力が低下したり、唾液の分泌が減ったりすることから、口の中に細菌が増えやすく、虫歯や歯周病になりやすくなります。


さらに、ストレスから食いしばりや寝ている間に歯ぎしりが起こることもあります。歯がすり減り、歯周病の原因になることがあるでしょう。


きちんと歯磨きをしているのに、歯医者通いというのは、ストレスの影響も大きいのです。歯のトラブルには、我慢のし過ぎが関わっている可能性があります。



2 食欲のコントロールがつかない

ストレスでストレスホルモンが増えることにより、「感情食い」(かんじょうぐい)という現象が起こります。十分な栄養をとっているのに、イライラの解消のために大量に食べてしまうのです。


特にジャンクフードなどの味が濃く、カロリーの高い物を食べてしまいがちです。そのためにどんどん体重も増えて行きます。


さらに我慢の生活を続けていると、こんどは徐々に食欲が減り、体重も減るようになります。これはすでに心が壊れてしまい、うつ病になっているサインです。


3 腹痛や下痢

胃腸はストレスに敏感な臓器です。我慢が限界を越えると、慢性的な腹痛や下痢、便秘を起こすようになります。特に大切な集まりや乗り物に乗っている時に起こる腹痛と便意は、「過敏性腸症候群」と呼ばれています。





4 肌荒れ、髪の毛が抜ける

肌や髪の毛もストレスに敏感に反応します。原因不明のかゆみ、肌荒れ、ニキビ、皮膚炎、脱毛など、我慢が限界を越えてくると、肌や髪の毛のトラブルが起こりやすくなります。


急激に髪の毛がうすくなる、白髪が増えるというのは周りの人もすぐ気づくことです。周囲にそのような人がいる場合は心配をしてあげましょう。



5 血圧が上がる

生活習慣病で知られている高血圧もストレスの影響を受けます。特に薬を飲んでも乱高下(らんこうげ)をする高血圧は心理的な要素が関わっている可能性があります。


心臓病や脳梗塞につながり、命に関わる問題に発展することがあるため要注意なサインです。



6 息苦しい

我慢が限界を越えると、原因不明の息苦しさがつづく場合があります。喘息になったと感じるくらいに呼吸がしづらくなるのです。何かの引き金で過呼吸の発作を起こすこともあるでしょう。



7 イライラ、涙が出てくる

我慢が限界を越えると、情緒が不安定になります。心の制御ができなくなるのです。


些細なことで突然怒りを爆発させたり、パニックを起こしたりということが起こるようになります。また、理由も分からないのに、突然涙がこみ上げてくることもあります。



我慢は、生きていく上でとても大切なことです。我慢をしながらやり遂げることで人は成長することができます。ところが、我慢のし過ぎは、心が壊れてしまい慢性的な精神疾患になってしまいます。


体のことに例えれば、筋トレをやり過ぎると、筋肉がつくどころか、筋肉が断裂してしまうことと同じです。そうなっても誰も責任をとってくれません。自分の心は自分で守らなくてはならないのです。


これ以上我慢をしてはいけない時に、必ず体はSOSを出しています。


今回紹介したサインに気づいたら、まだまだ頑張れると思わないで、辛いことから逃げたり、周りの人に助けを求めたりすることを考えましょう。


人生においては、「がんばる」、「耐える」だけでなく、「逃げる」、「助けを求める」ことも心を守るために大切なことなのです。


うつ病でやった方がよいこと

うつ病で大切なことは、何事も焦らないこと、無理をしないことです。


うつ病に気づいて精神科を受診したものの、時間に限りがあるため、十分に質問もできないまま診療が終わってしまうことがあります。特に気になることは、薬を飲むこと以外に、日々をどうやって過ごすかということではないでしょうか。


今回は、うつ病の療養中にやった方がよいことを紹介しながら、日々の過ごし方について説明したいと思います。


うつ病は風邪のようにすぐ治る病気ではありません。予防も含めて数年、数十年と治療を続ける必要があります。この期間の生活の仕方として身に着けて欲しい8つのことを紹介しましょう。





1 急性期や再発期はともかくゴロゴロ

うつ病の症状が急激に出ている時期は、「急性期」と呼びます。また、回復して順調に生活していたのに、何かのきっかけで再び具合が悪くなることを「再発期」と呼びます。


ともに、まるですべてを失ったように絶望的で何もできなくなる時期です。この期間は何もせず、ともかくゴロゴロして過ごしましょう。


うつ病は生きるエネルギーが枯れ果てた状態です。そもそも何もできなくなってしまうのが症状です。建設的なことは何もせずに、生きるエネルギーを充電するために、食べることと眠ることだけを意識しましょう。「何もしないで1日が終わった」で良いのです。


休んでいれば、急性期や再発期は数カ月で必ず過ぎ去って行くはずです。薬をきちんと飲めば2週間から1カ月で改善されます。



2 安定期も無理をしない

辛い時期を過ぎたらといって、生活のペースをいつも通りに戻すのはまだ早いでしょう。何事も本来の自分の60%くらいのペースを保つようにします。


60%といっても難しいかも知れませんが、具体的に言うと、「疲れたら休む」でなく、「疲れる前に休む」、「余力を残して休む」という習慣です。


「時間があるからこれもやっておこう」、「寄ったついでにこれもやっておこう」という考え方も良くありません。「時間があるならゆっくりする」という考え方をもつべきです。


物事を効率的に考えるのでなく、効率が悪くても自分をいたわることを優先しましょう。



3 焦らないこと

「みんな先に行って、置いてかれる」と焦ってしまうのは、うつ病の症状です。療養中は、うまく行っている人と比べて、「情けない」と自分を責めてしまいがちです。焦って何かアクションを起こしても、よけいに空回りしてしまいます。


焦る気持ちに追い立てられたら、「病気なんだからできなくて当たり前」と開き直りましょう。


うつ病の経験は損ばかりではありません。苦しい期間だからこそ、回復した後は他人の苦しみも理解できるようになり、心の成長につながります。療養生活は決して無駄な時間ではありません。



4 体を動かすこと

体を動かすことはうつ症状を改善させたり、予防したりする効果があります。
とは言え無理は禁物です。まずは軽いウォーキングからチャレンジしてみましょう。


しかし、「今日の外出はきついな」と感じたら家でゆっくりするべきです。その方が回復につながります。「外出もできずに情けない」と自分を責める必要はないのです。





5 規則正しい生活

同じ時刻に起床、同じ時刻に食事、同じ時刻に床につくという規則正しい生活は、脳の活動を助け、うつ病からの回復につながります。


食事も朝昼晩と3回食べるようにしましょう。「お腹がすいたから食べる」でなく、「朝、昼、晩と時間になったから食べる」といった感じです。


当たり前のことに聞こえますが、意外とできていない人も多いようです。小学校で教わったようなことですが、規則正しいリズムはとても大切なことなのです。




6 自分を大切にすること


うつ病は心が傷つき、自分を大切にすることを忘れてしまった病気でもあります。これからは自分を大切にすることも意識しましょう。


勘違いされやすいのですが、自分を大切にするとは、自己中心的になるという意味ではありません。


「本音を無視して、むやみに自分を犠牲にしない」、「意味のない我慢はしない」、「できないことは断る」、「健康に気を遣う」、「自分を向上させるためにお金や時間を投資する」といったことが自分を大切にするということです。



7 癒し

療養期間中は、心の拠り所、心が癒されることを大切にしましょう。


推し活、スポーツ観戦、映画鑑賞、カラオケ、旅行など、人によって心が満たされることは違いますが、やって心が満足できることは無駄と考えてはいけません。


心の満足のために時間やお金を費やすことはとても大切なことです。



8 マインドフル

みなさんは、壮大な自然を目の前にした時、お寺や神社やパワースポットで清らかな雰囲気を味わっている時、神仏(しんぶつ)とか自然の摂理とでも表現できる大きな存在を感じることはないでしょうか?


その雰囲気を味わっていると、小さなことでクヨクヨしている自分が馬鹿らしくなり、吹っ切れた気持ちになることがあります。


これは自分を俯瞰(ふかん)して見つめることにより、ネガティブな考えや感情に振り回されない状態になっているのです。


心理学では「マインドフル」と呼びます。マインドフルとは、仏教の正念(しょうねん)という瞑想による悟りの境地を英語に訳したものです。
アメリカでは瞑想を精神医学に応用し、「マインドフルネス」という瞑想法が生まれました。


マインドフルといっても難しいことではなく、本来人間に備わっている心の在り方です。自然の多いところ、お寺や神社、パワースポットなどに出かけて行き、居心地のよいところに座って心を穏やかにしてみましょう。


自然を前にして「自分はちっぽけな存在だな」と感じるとともに、「生きていていいんだ」、「このままでいいんだ」、「何とかなるかな」といった感覚が湧いて来るはずです。これがマインドフルです。この感覚がうつ病の回復を後押しするという研究結果があります。



最後に忘れてはならないことは、薬を続けて飲むことです。


薬には予防効果もあり、高血圧や糖尿病の薬のように長い期間飲んでも問題はありません。「もう元気になったから」と勝手にやめることがないように、主治医から「もう大丈夫ですよ」と言われるまでは続けましょう。