苦労し過ぎて無力感を感じている人 6つの特徴
人生、どんなに頑張っても失敗ばかりです。受験、就職では良い思いをしたことがないし、どこへ行っても認められた記憶もありません。産まれてから一度もうまく行ったことがない気もします。働けてはいますが、何か新しいことをしようとしても、「またどうせダメだろうな」と、諦めが先立ちます。夢や希望はありません。
思い切って精神科に行ってみましたが、「働けているから大丈夫だよ」と、医師に軽くあしらわれてしまいました。こんな生きづらさを感じている人はいないでしょうか?
これは、いくら努力をしても実らないので、生きることすべてに自信を失った状態です。うつ病とまでは言えませんが、「うつ病グレーゾーン」とか、「うつ病予備軍」と言ったらよいかも知れません。心理学的には、「学習性無力感」と呼び、どうにもできない問題を長く抱えこんでいると、どんどんネガティブになり、ついには何とかしようとする意欲すらなくなります。
終身刑で牢獄にいる人、強制労働所に入れられている人などが代表的な例です。実際には、ふつうに社会で生きている人にも見られる現象なのです。
今回は、苦労し過ぎて無力感を感じている人の特徴を6つ紹介しましょう。
1 微笑みうつ病
アメリカの心理学者・ハイジ・マッケンジーは、表面的には笑顔で仕事をこなしていても、日常のほとんどは気分が落ち込んでおり、プライベートは無気力に生活している人を「微笑みうつ病」と呼びました。正式な病気ではありませんが、このような状態の人が世界的に大変多くいます。微笑みうつ病は、苦労し過ぎて無力感を感じている人にピッタリ当てはまる呼び方です。
ただし、いまは病気ではなくても、生活に支障が出るようになったら、うつ病と診断されるでしょう。何かのきっかけでうつ病になるリスクがある状態です。
2 心にポッカリ穴があいている
いくら努力しても結果が出ないと、だんだん自分自身が嫌になって行きます。自分は価値のない存在と感じるようになり、自己肯定感が下がって行くのです。自己肯定感は、心の中心にあるものですから、心の真ん中にポッカリ穴があいているようで、いつも虚しさを感じています。仕事でも趣味でも、「こんなことをしていて良いのだろうか?」と心から楽しめません。
虚しさは、自分のことを嫌いになってしまったサインです。自分を好きになれないことが、無力感の本質とも言えるでしょう。
3 ネガティブ
基本的に気分は落ち込んでいて、考え方もネガティブです。将来に対しても希望を持てません。不安が多く、心配ばかりしています。過去の失敗を思い出して、今更どうにもできないのに、「ああしていれば良かった」と後悔ばかりです。
4 自分の気持ちを外にださない
主張することで嫌な思いをしてきたので、自分の意見を言わない習慣がついています。いつも自分の気持ちに蓋をしているのです。気持ちを溜め込んでしまい、それがさらにストレスになり、よけいに心を病んでしまいます。
5 常に最悪のことを考える
挫折をたくさん経験してきたので、新しいことに用心深くなっています。何かにチャレンジしようとしても、「また失敗するかも?」とブレーキがかかるのです。
ただし、これにはメリットもあります。安全な選択をするので、大成功はないかも知れませんが、大失敗はしないで済むでしょう。
6 人に優しい
挫折した人の気持ちを理解できるので、弱い人の味方です。基本的に優しい人ですが、要領よく成功している人や、親に対しては、辛辣な場合もあります。中には、「うまく行かないのは、親のせい」という考えから抜け出せない人もいます。
突然ですが、海や川で溺れそうになった時、どうしたら良いかご存じですか?慌てて、陸に向かって力の限り泳ぐのが一番良くありません。流れに逆らえず、力尽きて溺れてしまうからです。むしろ、力を抜いてプカプカ浮いて、助けを待つのが一番良いと言われています。人生もこれに似ています。
うまく行かないことがある時、焦って無理をしていると、力尽きて、生きるエネルギーを使い果たしてしまいます。無力感から抜け出せなくなり、ついにはうつ病になることもあります。一番良くないのは、うまく行っている人と比べてしまい、焦ったり、できない自分を責めてしまうことです。自分が嫌いになってしまったら、生きる意味すら感じなくなります。
うまく行かない時は、比べず、焦らず、無理をせず、そのうち運が回ってくるのを待つのが良いのです。克服しようとするのでなく、力を抜きましょう。できない自分を責めてはいけません。むしろ、休みをとったり、楽しみを増やしたりして、自分を大切にするようにします。また、話を聞いてくれる人、助けてくれる人との出会いを大切にしましょう。そのうち運が回ってくる時が必ず来るはずです。これが、苦労をしても、生きづらさを感じないコツです。
心がつらい時に陥りやすい考え方 6つの特徴
いつまでも解決できない問題を抱えたり、つらいことが重なると、元気でいられる人はいません。いつも気分は落ち込み、何かをしようとする気力もなくなってしまいます。こんな時は、物事の考え方もネガティブになります。いつも悪いことばかりを考え、考えれば考えるほど、おかしな方向に結論を出してしまうのです。
気分が落ち込んだ時の考え方は、人によって違うのでなく、いくつかの共通の特徴があります。これが、よけいに問題をこじらせてしまう原因です。あらかじめこの考え方の特徴を知っていれば、誤った判断をしないための予防になるかも知れません。
今回は、心がつらい時に陥りやすい考え方の特徴を6つ紹介しましょう。
1 思い込み
心がつらいと、情緒が不安定になり、思い込みで判断しやすくなります。また、暗示にかかりやすい状態です。
「地面師たち」というドラマをご存知ですか?実話をもとにした、土地がらみの詐欺の話です。詐欺師に騙される人は、仕事に失敗して精神的に追い詰められた立場でした。思い込みがつよい状態であったため、冷静に考えれば、詐欺師の嘘を見抜けたはずなのに、まんまと罠にハマってしまったのです。
また、世の中には、2度も3度も続けて詐欺にあってしまう人がいます。「何でそんなに騙されてしまうのだろう?」と不思議に思うかも知れませんが、1度目の詐欺の被害で気持ちが不安定になり、思い込みがつよくなっているタイミングで、次の詐欺にあってしまうのです。
2 全体の意味を読み取れない
視野が狭くなり、全体を見ることができません。例えば、つらいのでお酒を飲んでいると、「飲み過ぎは体によくないよ」と、家族から言われたとします。家族は、心配の気持ちで言ったのですが、「こんなにつらいのに酒をやめさせるのか!」と怒ってしまいました。心配の気持ちは理解できず、「酒をやめた方がいい」という言葉しか頭に入らなかったのです。
このように、会話の内容も一部分しか頭に入らないので、相手の気持ちを誤解することが起きます。
3 全か無か思考
物事を、「あるか」、「ないか」で判断し、中間がなくなります。これを「全か無か思考」と呼びます。
例えば、これまで生きてきて、良かったことも、悪かったことも両方あったはずですが、つらい気分の時は、「良かったことは一つもなくて、すべてが悪いことだけだった」という極端な考え方になります。まるで記憶が書き換えられたような状態です。よけいに悲観的になって、自己肯定感を失います。
4 自分と関連付ける
特に因果関係がなくても、悪いことは自分のせいであると考えます。自己肯定感が下がるために、周りで起きる出来事を、「自分はダメな人間だ」という考えに結び付けてしまうのです。
例えば、「家族が病気になったのは自分のせいだ」、「会社のプロジェクトが失敗したのは自分のせいだ」と、自分を責めるようになります。
5 グルグル思考
過去の失敗が浮かんできて、頭の中をグルグルと回っています。心理学では、「反芻(はんすう)思考」と呼びます。「反芻」とは、牛などの草食動物が、胃で消化した草を再び口に戻して咀嚼し、これを何度も繰り返すことです。食べ物が、口と胃を行ったり来たりするように、ひとつの考えがいつまでも頭の中を行ったり来たりして、結論が出ません。
反芻する内容の代表は、後悔です。「こうしておけば良かった」、「なんでああしなかったのだろう」と、後悔が止まりません。特に、風呂に入っている時、眠る前など、周りが静かでゆっくりしている時に限って浮かんできます。
「将来うまく行かない」という考えも反芻されます。新しい出来事は、過去の失敗と重なり、失敗の可能性ばかりを考えてしまうのです。
6 生きる意味を考える
生きる意味や目的を考え始めるのも、反芻思考の一つです。いくら考えても答えは出ません。そこで修行をしたり、深い思考にふけり、新たな生き方を見出せるのは、歴史に名を残すような宗教家や哲学者だけです。ふつうの人には答えは出ません。それどころか、「自分には生きる価値がない」という悪い結論を出してしまいます。
今回紹介したように、心がつらい時は、ネガティブな考え方になります。誤った判断につながり、自分を窮地に追い詰めてしまいます。思い込みで人を誤解するだけでなく、暗示や誘惑に引きずられるため、良くない人と交流をもったり、大きな買い物で失敗したり、仕事で間違った判断をすることがあるのです。先ほども紹介しましたが、詐欺師に騙されることもあるでしょう。
心がつらい時は、大きな決断をしてはいけません。生きる意味や目的も、考えない方が良いのです。何よりも、心と体を休めることを優先しましょう。脳を休めることで、ネガティブな考え方を止めることができます。特に睡眠と食事をきちんと確保することに意識を向けましょう。
今回紹介した考え方の特徴は、うつ病の人にも大変多く見られるものです。このような考え方に陥っているだけでなく、眠れない、食べられないが続いて、脳を休めることができないならば、自分の力で悪いループから抜け出せません。これは、うつ病の可能性もあります。放置しないで、精神科を受診するのが良いでしょう。
治療が必要な大人のADHD 4つのサイン
メディアなどを通して、大人の発達障害の知識が広がり、特に注意欠如多動症・ADHDのことは、よく知られるようになりました。メディアに登場する実業家や芸能人にも症状が見られるため、「あの人はADHDだ」と、素人判断する声をよく耳にします。最近では、毒舌ツイートで非難を浴びた女性タレントがそうでした。
「遅刻や物忘れの常習犯」、「思ったことはすぐに口に出し、先輩にもタメ口」、「本番中も落ち着きなくスマホをいじっている」、といったところで判断されたのでしょう。
ADHDとは、不注意、多動、衝動といった、生まれつきの性格や行動の偏りです。成長に伴い、多動と衝動はほぼ改善されるため、大人の場合は、遅刻や忘れ物などの不注意の症状が特徴になります。仕事や日常生活に大きな支障がない場合は、個性として考え、特に治療は必要ありません。むしろ、人付き合いの良さからうまく世渡りできている人もたくさんいます。
最近、「ADHDかも知れない」ということで、パートナーや職場の上司に連れられて、精神科を受診する人も増えています。「人の話を聞いていない」、「遅刻や物忘れが多く、仕事のミスが多い」、「不注意で車の事故が多い」など、不注意によるトラブルが多いようです。それだけでなく、躁状態、うつ状態、依存症などによる深刻な問題で受診するケースもあります。
ADHDには治療薬があり、注意を維持する時間を延ばしたり、衝動を減らしたり、気分を改善させる力があります。生活に支障が出る場合は、薬の治療を受けた方が良いでしょう。それでは、どのような症状があると治療を受けた方が良いのでしょうか?今回は、治療が必要な大人のADHDのサインを4つ紹介しましょう。
1 躁状態
「一人でしゃべり続けて、会議の進行を止めてしまった」、「自分の正当性を訴えて怒り、周りに食ってかかる」、といったトラブルで受診する人もいますが、これはADHDというよりも、躁状態の可能性があります。
躁状態とは双極症で見られるもので、気分が高揚して自尊心が高くなり、頭もフル回転して、話題が次から次へと変わります。「自分は何でもできるすごい人間だ」という誇大妄想もあるのが特徴です。同時に、不注意、落ち着きのなさ、衝動性があるので、専門家でもADHDとの区別は難しくなります。そもそも、ADHDと双極症が合併するケースは多く、遺伝的な共通点も見つかっています
躁状態がずっと続くということはありませんが、周りとのトラブルが増えるので、早めに薬の治療を受ける必要があります。
2 うつ病や不安症
職場でのADHDの人は、「作業やスケジュールの整理ができない」、「作業に集中できない」、「結果を考えず、その場の気分で大事な決断をする」、といったことが起こります。それで仕事の失敗が続き、一つの職場に長居できません。これが重なると自尊心を失い、ついにはうつ病や不安症になる人もいます。大人のADHDの人は、健常な人の2~3倍もうつ病や不安症になりやすいのです。
こうなると、仕事や日常生活ができなくなるため、精神科の受診が必要です。うつ病や不安症で受診して、それがきっかけでADHDが見つかる人もたくさんいます。
一番心配なのは、自殺に至る人が多いことです。「気分が沈む」、「不安がつよい」という場合は、早めに精神科を受診しましょう。
3 事故や事件が多い
ADHDの人は、よく交通事故に巻き込まれます。車をこすったり、前の車にぶつけたりと、不注意で周りをよく見ていなかったことが原因です。慌てたことで操作を間違えることもあります。大事故につながらないように、車や自転車の事故が続くような場合は、精神科を受診するべきでしょう。
また、衝動のつよさが残る人は、暴力などの事件を起こすリスクがあります。「職場や家庭で認めてもらえない」、「うまく行かないことがある」、といったストレスの積み重ねが引き金になって、暴力や物を壊すなどの行動につながってしまうのです。
4 アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存
アルコールなどの精神を刺激する物質が、脳のドーパミンという物質を増やすことにより、ADHDの症状を抑えてくれることがあります。そのために、アルコールなどを手放せなくなる人もいます。
また、ADHDは脳の報酬系という部分に問題があると考えられており、報酬系は依存症とも関係の深い部分です。「それをやると人生が終わってしまう」という結果を考えられず、よりつよい刺激を求めて、依存の沼にハマりやすい傾向があります。
依存症になる人は、ADHDをもっていることが大変多いのです。
30年くらい前までは、ADHDは子供の病気で、成長とともに自然に治ると考えられていました。1990年代後半に、サリ・ソルデンの「片付けられない女たち」という本の出版がきっかけとなり、大人になってもADHDの症状が残ることが、広く世の中に知られるようになりました。
ところが、学校でも職場でも、遅刻や物忘れ、片付けができないというのは、「だらしない人」、「ダメな人」というレッテルを貼られます。ADHDが原因であるのに、人格の問題として扱われてしまうのです。そのために、安定した仕事に就けないことも起きるでしょう。
現在では、いくつかの治療薬も開発されていますので、ADHDの症状を軽くさせることができます。ずっと飲み続ける必要がありますが、生活は改善されます。今回紹介したような症状に気づいた場合は、精神科に相談してみましょう。ただし、一部のADHDの薬の処方には資格制度があるので、処方できる精神科かどうかを確認してください。
うつが長引くのはなぜ?
病気には、大きく分けて「急性疾患」と「慢性疾患」の2つの種類があります。急性疾患とは、風邪などのように比較的短期間で治るもので、慢性疾患とは、糖尿病や高血圧のように徐々に発症し、経過が長期に及ぶものです。それではうつ病はどちらに分類されるでしょうか?
うつ病は、基本的に慢性疾患に分類されます。薬を飲めば、1カ月くらいで症状は落ち着きますが、多くの人は再発を繰り返すために、数年から数十年と治療や予防を続けることが必要です。糖尿病や高血圧になった人が、生涯にわたって治療や予防するのと似ています。
薬品メーカーのキャンペーンで、「うつ病は心の風邪」と言われていたことが、30年ほど前にありました。ところが、うつ病が良くなった患者さんのその後の経過を調査したところ、4人に1人は半年以内に再発し、2人に1人は1年以内に再発しています。5年間を見てみると、なんと3人に2人が再発していました。また、再発を繰り返すほど、症状は重くなり、さらに再発する頻度も上がるという悪い循環に入ります。うつ病は心の風邪どころか、深刻な慢性疾患です。
調査によると、うつ病が慢性化する人にはいくつかの特徴があることが分かっています。今回は、うつ病が長引く人の7つの特徴を紹介しましょう。当てはまる人は、数年から数十年と長く薬を飲んで再発を予防する必要があります。
1 症状が重かった人・再発が多い人
当然かも知れませんが、症状が重かった人は、薬を長く飲む必要があります。例えば、長い期間入院した人、被害妄想などの精神病的な症状があった人、寝込んでしまって日常生活が何もできなくなった人などです。
再発を繰り返す人も同じで、長い治療が必要になります。仕事柄、休むことができないなど、ストレスを避けられない人が当てはまるかも知れません。再発を繰り返すたびに症状は重くなるので、薬を続けて予防に心がけましょう。
2 不安症状・パニック発作がある人
不安の症状がつよい人は、うつ病が慢性化する傾向があります。これは不安症も合併しているからです。ただし、うつ病も不安症も治療の薬は同じですので、飲む薬は変わりません。
特に多いのが、パニック発作という発作性の不安がある場合です。これは不安症の中でもパニック症と呼ばれるものです。逆にパニック症からうつ病になる人もいて、ともに長い治療が必要になります。
3 10代から20代前半に発病した人
若い頃に発病した人は、うつ病が長引くことが知られています。10代から20代前半の時期は、世の中の色々なことを学ぶ大切な時期です。若い頃のうつ病のために、世の中との接点がなくなり、社会に出ることの妨げになる場合もあります。こうならないように、薬で再発を抑えることが大切です。
子供が発病した場合、親としては、薬を長く飲ませることが心配です。大きな副作用はないので、親の判断ですぐに薬を止めないようにしましょう。
4 孤立している人
病気を抱えているだけで大変なのに、周りの人が理解してくれないことほど、辛いことはありません。特に、家族が病気に理解がなく、「うつ病は気の持ちようだ」、「いつまで薬を飲むの?」と追い詰めるようでは、良くなるものも良くなりません。このように、支えてくれる人がいない場合は、うつ病は長引きます。
5 発達障害やパーソナリティ症がある人
発達障害やパーソナリティ症のある人は、そうでない人よりも3~4倍の確率でうつ病になりやすく、さらに長引きやすいことが知られています。脳の感情をコントロールする部分に生まれつきの障害があることが、うつ病や双極症になりやすいと考えられています。また、対人関係の問題から、職場や学校でストレスを感じやすいことも大きな原因の一つです。
6 産後のうつ病
女性にとって、赤ちゃんを産むことは嬉しいはずなのに、出産後になぜか悲しく、涙が出ることがあります。これはマタニティーブルーと呼ばれ、ふつう3日くらいで改善しますが、出産後2週間を過ぎても気分の落ち込みやイライラがとれない場合は、産後うつ病です。
妊娠する前にうつ病を経験していた人の場合は再発と考えられます。また、子育てに自信がなかったり、妊娠中に夫の浮気が見つかったりと、夫婦間の心理的な問題も絡んでいることもあり、原因は複雑です。子育てが負担になるために、産後うつ病は慢性化することがあります。
7 飲酒の習慣がある人
アルコールは、一時的にうつ気分を良くするので、飲酒の習慣があるうつ病の人は多くいます。ところが、長い目で見ると、アルコールは脳の神経細胞に悪い影響を与えますので、うつ病を悪くさせたり、長引かせることになります。酷い例えですが、うつ病の治療を受けながら、飲酒を続けることは、毒を飲んでいることと同じかも知れません。
うつ病の再発を下げるために最も大切なことは、規則正しい生活を心がけ、ストレスを少なくすることです。ところが、生きて行くためには、無理をすることは避けられません。突然のトラブルに巻き込まれることもあります。計画通りに行かないのが人生です。そうなると、確実に再発を予防するためには、医師の指導のもとで薬の治療を続けることです。
「薬を飲むのは弱い人間だ」と考えて、引け目を感じながら薬を飲んでいる人もいますが、大きな誤解です。考え方を変えて、「薬を何粒か飲むだけで、予防ができるならば得なことだ」と考えるべきでしょう。
今回紹介した内容に当てはまる人は、10年20年と薬を飲む可能性があるかも知れません。薬は長く飲んでも大きな問題はありません。薬の力でそれなりに毎日を生活できているならば、うつ病を克服している証拠です。
こころが疲れているときに現れる10個のサイン
心配事が絶えず、やらなくてはならない事が多いと、休んでいるつもりなのに、頭の中を色々な思いがグルグル回っています。眠ろうとしても、なかなか寝つけません。朝早くから目が覚めてしまうこともあります。これは、「心の疲れ」とか、「精神疲労」と呼ばれるものです。
脳の使い過ぎにより、脳が常に目覚めた状態になっているのが原因です。脳は本来、活動と休息を切り替えることが大切なのですが、頭を使うことが多すぎると、常に活動している状態になってしまいます。これを「覚醒状態」と呼びます。
覚醒と言っても、集中力が上がって効率よくできる状態ではなく、目覚めているのに疲れているというアンバランスな状態です。例えれば、充電が切れかけたスマホを、無理やり使っているような感じです。
心の疲れは少しずつ蓄積していきます。やらなくてはならないことがあり、まだまだ頑張れると思っていても、すでに限界になっていることもあります。そんな時、心はいろいろな形でSOSのサインを出しています。仕事への義務感から心の悲鳴を聞き逃すことがないようにしましょう。放っておくと、うつ病などの病気になる危険性があります。
今回は、心のSOSのサインを見逃さないように、あなたの心が疲れている10個のサインをご紹介します。
1 悪夢
心の疲れをとるためには、何よりも十分な睡眠が必要です。ところが、脳が覚醒状態のために睡眠の質が悪くなります。眠っていても、夢ばかりで疲れがとれません。特に悪夢が多くなります。夢の内容は、現実の嫌な場面がそのまま出てきたり、過去の辛かった思い出です。疲れが、象徴的な内容で現れることもあります。例えば、「戦争や犯罪者に追われる」、「家や車が壊れる」、「高いところから落ちる」、「洪水にのまれる」、「たくさんの虫に襲われる」、などの夢は、心が不安定である証拠です。変わったところでは、「歯が抜ける」という夢も、国や人種に関係なく、心が疲れた時に見る夢です。
2 ネガティブ
覚醒状態とは、脳が常に危険に注意を払っている状態です。いつ獣(けだもの)に襲われるかドキドキしながら、1日中ジャングルの中をさまよっているようなものです。ちょっとしたことでも心配になり、不安感に襲われます。良いことがあっても、「どうせダメになるに違いない」と、悪い側面しか目に入りません。
3 イライラ・怒りっぽい
情緒が不安定になるため、些細なことでイライラします。すぐに人を叱ったり、怒ってしまい、職場や家庭の雰囲気を悪くしてしまいます。
突然涙がこみあげてくることもあります。ちょっとした言葉がスイッチになり、悲しい感情が襲ってきて、涙が出てくるのです。
4 大事なことを先延ばしにする
脳は覚醒していても、脳の活動自体は弱っているので、気力が出ません。大事な仕事をやらなくてはならないのに、気持ちが乗らずに先延ばしにします。「すぐにやって欲しい」と頼まれても、何度もトイレに立ったり、スマホをいじってみたりで、なかなか取り掛かることができません。
家庭でも同じで、部屋の片付けも後回しになります。流しに汚れた皿が山積みになっていたり、脱いだ服がそのままであったり、いつかやろうと思っていても、気がつくと部屋に足の踏み場がなくなっています。
5 集中できない・うっかりミス
集中力が落ちるため、入力の間違い、誤字や脱字、計算の間違い、など、ちょっとしたミスが増えます。
書類や本などの文字に集中しようとしても、頭に入ってきません。周りの音に敏感になり、ドアの開け閉めの音、人の足音、子供の声など、それまで気にしなかった音でも不快に感じ、集中が妨げられるようになります。
6 物忘れ
脳の働きが弱るため、物忘れが増えます。歯医者や美容院の予約を間違えたり、仕事の約束を勘違いして、大失敗してしまうかも知れません。スマホや財布を電車の中に置き忘れたり、人の名前や暗証番号を思い出せなくなることもあります。認知症になったのかと慌てる人も多いのですが、その前に心が疲れていることを疑いましょう。
7 体調不良
心の疲れは体にも現れます。代表的なものが自律神経の失調です。動悸や息苦しさを感じるようになり、心臓の病気かと不安になる人もいるでしょう。
免疫力も落ちるので、風邪をひきやすかったり、長引いたりもします。また、アレルギーによる喘息や皮膚のトラブルも増えるでしょう。
8 コリや痛み
心の疲れから、肩こり・腰痛・頭痛などの痛みが出ることがあります。神経の緊張から血の巡りが悪くなり、それがコリや痛みになるのです。検査をしても異常がないため、痛み止めで我慢するしかありません。マッサージを受けて良くなっても、一晩寝ると痛みが戻ってきます。
9 食べられない・食べ過ぎる
自律神経の失調から、食欲がなくなり、人によっては吐き気を感じます。病院で検査をしても大きな異常がない場合は、心の疲れが原因かも知れません。
これとは逆に、過食になることもあります。特に、味の濃いスナックやスイーツをたくさん食べたくなるのは、アルコールやタバコと同じような効果があるためです。
10 嗜好品が増える
アルコールやタバコには、心の疲れを一時的におさめてくれる効果があります。しかし、切れてくると、よけいに疲れを感じるので、量がどんどん増えて行くでしょう。これは、無意識のうちに、心の疲れを嗜好品で誤魔化しているサインです。
心が疲れている10のサインを紹介しました。これらは、あなたの脳が覚醒状態である証拠です。こうした症状は、サプリを飲むとか、2~3日休んだら改善するというものではありません。1つでも思い当たるものがあれば、2週間以上の休みをとった方がよいでしょう。
長い休みがとれない場合は、できるだけ仕事を減らします。通常の6割くらいが目安です。これを「6割主義」と呼びます。
また、睡眠を大切に考え、寝床につく1時間前からは、スマホをいじらず、のんびりと過ごすようにしましょう。暴飲暴食やお酒の飲み過ぎに注意します。このような生活を続けることで、少しずつ脳の覚醒状態が改善されるはずです。
2週間以上も改善されず、仕事や日常生活に支障が出ている場合は、うつ病の可能性がありますので、精神科に相談してみましょう。
愛着障害がある人の6つの特徴
皆さんご存じの人気マンガ「鬼滅の刃」。今から100年前の大正時代を舞台にした剣士たちの物語です。その中に、親が子供を売るというショッキングなシーンが何度か出てきます。「身売り」と呼ばれるこのような行為は、80年前の昭和初期まで続いていました。今では子供の人権が認められていますが、つい最近まで「子供は親の所有物」という考えがあったのです。
遊郭や工場などに売られた子供たちは、雇い主のいいなりに生きるしかありませんでした。自分を主張すればとんでもないことが起きるので、自分を消して、自分がない生き方をしました。大人になっても、言われたことに黙って従う人のままです。身売りは過去の話になりましたが、このような自分を主張しない生き方をしている人は、現在でもたくさんいます。
なぜ、自分を主張しない生き方をするのでしょうか?大きな原因は親子関係にあります。幼い頃、親子の情的な絆がつくれないままでいると、親に守られているという信頼が育ちません。すると、親から見捨てられる不安感がいつまでも抜けなくなります。
自分を主張することは、見捨てられることにつながるので、つよいものに従って生きるしかありません。それで、主張しない生き方をするようになるのです。親子の情的な絆を愛着と言いますが、親子関係が悪かったために起きてしまう、このような性格の偏りを愛着障害と呼びます。
愛着障害は、虐待やネグレクトだけで起きるのではありません。衣食住は満たされても、良好な愛着関係が築けない場合、例えば、母親自身に愛着の問題があったり、何らかの精神疾患がある場合などでも起きます。
それでは、親子関係を築けず、愛着の問題がある人は、大人になってから具体的にどのようになるのでしょうか?今回は、愛着障害がある人の6つの特徴を紹介しましょう。
1 見捨てられ不安
赤ちゃんは、親に守られて生活をする中で安心感をおぼえます。「親は裏切らない、必ず守ってくれる」という安心感は、生涯にわたって心の中心になる大切なものです。ところが、親子の情的な絆がつくれないと、安心感が身につきません。そうなると、何をしていても見捨てられるような不安につきまとわれるようになります。これを「見捨てられ不安」と呼びます。人によって漠然とした不安として感じていたり、孤独やさびしさ、人に嫌われているという被害妄想として感じることもあるでしょう。
中には、不安を解消するために、常に人から好かれるように頑張ってしまう人もいます。人に喜ばれるように行動しているのですが、実際は相手を思っているというよりも、見捨てられ不安に追い立てられているのです。
2 自分の考えをはっきりと持てない
子供は、親から安心感をもらいますが、それができた土台で親離れが始まります。自分という意識ができてくると、自然に一人で行動するようになります。ところが、安心感がなければ、見捨てられ不安に邪魔をされて、親から離れることはできません。安心して自立ができないのです。いつまでも自分を主張することができず、反抗期もないまま、大人になってしまいます。愛着障害のある人は、自分の考えをはっきりと持てません。
3 他人の目を気にする
「ありのままの自分は認めてもらえない」という思いがあるので、人前では良い人を装っています。ですから、他人からどう見られているかを常に気にしています。SNSでは、自分へのコメントをいつもチェックして、人から何か悪いことを指摘されると、そのことが頭から離れません。何事も「人は人、私は私」と開き直ることができないのです。
4 嫌と言えない
つよく言われると断れず、渋々受け入れてしまいます。結局損をすることは分かっていても、「NO」と言えません。自分を主張できないのです。
後から悪い結果が出たら、「無理やりやらされた」と、押し付けた人のせいにします。自分がやったことに責任を持とうとしません。
5 自分で決められない
物を買う時、仕事を選ぶ時など、何かを選択する場面では、優柔不断なために自分で決められません。「失敗したらどうしよう」と、選んだことに責任を持ちたくないので、人に決めてもらおうとします。そもそも、自分の好きなことをハッキリ言いません。
6 自分で切り開こうとしない
困った時、自分で自分の道を切り開けません。自分の力で解決しようとせずに、必ず誰かに頼ろうとします。中には、いろいろな人に助けをもらい過ぎて、頭の中がよけい混乱する人もいるでしょう。周りからは、無責任で、辛いことから逃げ回っていると思われます。
愛着障害は、一生背負わなくてはならないのでしょうか?そんなことはありません。原因は、心の中に十分な信頼と安心がないことです。本来ならば、子供の頃に身につくべきものが、まだ身についていません。大人になってからでも、信頼できる人との交流を通して、心の中に信頼と安心を築くことができれば良いのです。もう親は必要ありません。いくつになっても、信頼できる人との交流を積み重ねて行けば、少しずつ愛着障害は改善して行きます。
地位や立場があるから信頼できるのではありません。緊張せずに、心から何でも話せる人が本当に信頼できる人です。人に限らず、犬や猫であっても、あなたのことを大切に思い、肯定してくれる存在であるならば、そこに良い愛着関係をつくることができます。
愛着障害の人は、不安があるために、いつも緊張感を抱えて生活をしています。そのために、体がガチガチで硬く、リラックスができていません。こうした緊張がとれるように時間やお金を使いましょう。心から楽しめる遊びや趣味をもつこと、マッサージやヨガで体の緊張をとることがお薦めです。
音楽や映画など、エンタメを通しての感動体験も大切にしましょう。疑似的な体験であったとしても、愛着を育てる栄養となります。
将来のために貯金をすることも大切かも知れませんが、それ以上に、心の癒しのためにお金を使うことは、何よりも価値のあることです。
劣等感に悩む人の4つの特徴
私たちは、子供の時に成績の順位をつけられ、大人になってからも、学歴、地位名誉、さらには収入、容姿などでも比較されます。人より上なら安心しますが、劣っている場合は、不安や焦りに襲われることもあるでしょう。これを劣等感と呼びます。
職場や学校で周りの人が輝いて見えて、自分が情けなく感じるのは、劣等感が原因です。「みんなができているのに自分だけできない」ということがあれば、こんな苦しいことはありません。
また、SNSで輝いている同世代の人を見て、自信を失うだけでなく、憎たらしくもなります。人を憎んでしまう自分が情けなく感じることもあるでしょう。「できれば、比べられることのない世界に行きたい」と、思うことはないでしょうか?
そこで今回は、劣等感で悩む人の特徴を4つ紹介しながら、その対処法についてご説明します。
1 自分の価値に気づくことができていない
ドイツの精神分析医であるエリクソンによると、劣等感のルーツは小学生の頃にあります。この時期は、集団の中でさまざまな知識を学び、能力を獲得するため、互いに能力の差があることに気づくのです。
次の中学生からは、何のために生きるのか、社会のどのようなことに役立つのか、いわゆるアイデンティティというものを確立するための期間です。自分の価値を模索する時期ですので、人からの評価が非常に気になります。人の評価で自分の価値を決めやすいので、劣等感をつよく感じる時期です。
自分の価値や使命を悟るようになれば、劣等感をそれほど感じなくなります。人の評価が気にならなくなるからです。逆に言えば、自分の価値や使命を発見できていない人は、いつまでも他人の評価が気になってしまいます。
劣等感で苦しむ人は、自分の評判を上げることよりも、自分の生きる目的を探し出すようにしましょう。生きる目的といっても、大げさな内容ではありません。「家族を愛するため」「友人を大切にするため」「仕事で人に喜んでもらうため」など、ふだんから自分が大切にしていることが生きる目的です。自分で納得できる生き方をするようになると、周りからの評価は気にならなくなります。
2 「比べること」と「自分を責めること」がいっしょになっている
人には向上心があるので、劣等感が引き金になって、「負けないぞ!」と努力をします。劣等感とは、人がより快適な生活を手に入れるために必要な感情です。人よりも劣っていると感じるのは、心が健全である証拠なのです。
オーストリアの精神科医アドラーは、「劣等感とは、理想と現実のギャップである」と言いました。そして、「負けないぞ!」となれないのは、このギャップを乗り越えられないことから、自分の無力さを責めたり、うまく行っている人を憎んでしまうからだと説明しました。
アドラーによれば、劣等感は健全な感情であるけれど、それをネタに、自分や人を責めてしまうことが良くないと言うのです。比べることと自分を責めることは別にして考えるべきなのです。
自分よりも優れた人を見たら、「良く頑張っているな」、「才能があるのだな」と客観的に観察するだけにして、「できない自分はダメだ」、「あの人はずるい」につながらないようにしましょう。
3 負けず嫌いな性格
何事でも勝ち負けへのこだわりがつよく、ゲームでも勝つまでやらないと気が済まないような人は、劣等感を敗北感として感じます。いつまでも素直に負けを認められず、悔しさから自分を責めてしまうことがあるのです。
SNSには自慢がたくさん載っています。負けず嫌いの人は、輝いている同年代の人のSNSを見て、悔しい思いをしているかも知れません。「家族の幸せ自慢」「出世や名誉の自慢」「金儲けの自慢」「買い物自慢」「美しさの自慢」など、こんな自慢話で勝負をしても何の価値もありません。
そもそも、内容を盛っている可能性もありますから、その情報を信じる必要もないのです。自慢話のSNSは見ないようにしましょう。
4 職場や友人関係が合っていない
「有名な会社に就職できた」、「難関校に合格した」と、レベルの高いところに就職や入学できて喜んでいる人がいます。入ったのは良いものの、みんな優秀なために、どんなに努力をしても最低の評価しかもらえません。
背伸びをして良い職場や学校に入っても、周りのレベルが高すぎて嫌な思いをすることもあります。毎日を気持ちよく過ごすためには、職場や学校のレベルを下げた方が良いのです。
友達関係も同じです。背伸びをしなくては付き合えないような人間関係は必要ありません。いっしょにいて居心地の良い思いをする人間関係を優先するべきです。
劣等感は、より快適な生活を手に入れるために必要な感情です。ただし、理想に到達できない時に、自分や人を責めてしまうことは良くありません。できない自分を責めるのならば、比べない方が良いのです。「人は人、私は私」と割り切って考えましょう。
みなさんは、イソップ寓話の「ウサギとカメ」をご存じだと思います。ウサギとカメが徒競走をした話です。ウサギは、カメがあまりにも遅いので、手を抜いていいかげんに走りました。カメは、ウサギが何をしようと関係なく、自分のやることだけを考えて真面目に歩きました。最後に勝ったのはカメです。
これは単なる子供のおとぎ話ではありません。人生を象徴する話だからこそ、2500年以上も昔から伝えられて来ました。最後にうまく行くのは、カメのように周りと比べることなく、自分のやるべきことをコツコツやる人なのです。
どうして自分を傷つけるのか―自傷行為―
自分で自分を傷つけることを自傷行為と呼びます。例えば、リストカット、タトゥーやピアスを何度も入れたり、タバコの火を自分に当てる根性焼き、などが代表的なものです。リストカットにいたっては、女子中高生の10%に経験があるというデータもあり、決して珍しいことではありません。
最近、新宿歌舞伎町に集まる「トー横キッズ」と呼ばれる子供たちが、気分を高揚させるために、市販薬を過量摂取していたことが話題になりました。直接体を傷つけているわけではありませんが、命の危険をかえりみずに大量の薬を飲むことは、「自己破壊的行動」と呼ばれています。
自傷行為も自己破壊的行動も、実際に死にたいわけではありません。自殺の試みとは異なるものです。第三者には、わがままな人が、周りの関心を引くためにやっているとしか見えません。
死にたいわけでないのに、どうして自分を傷つけるのでしょうか?今回は、その理由について説明しましょう。
1 我慢の限界で起きること
人は、辛いことを我慢し続けると、ネガティブな感情が心の中に溜まってきます。ため込める容量があるので、我慢は無限にできません。溜まり過ぎたネガティブな感情は、ついに火山の噴火のように爆発します。
突然、逆らえないような強烈な思いが襲ってきて、何か行動に移さないと気が済まなくなるのです。これを「衝動」と言います。例えば、怒りの爆発、衝動買い、やけ食い、など、誰でも思い当たることがあるかも知れません。
衝動とは、我慢の限界を超えて、心が病気になったり、壊れてしまうのを防ぐために起こります。衝動的な行動の後は、たまっていた緊張がとれ、気持ちは楽になるでしょう。自分が壊れないようにリセットするためには必要なことなのです。
ところが、人によっては、衝動から自分を傷つけてしまうこともあります。たまった怒りの対象が、漠然としたものであったり、親や学校などの逆らえない存在であると、自分を攻撃するしかありません。これが自分を傷つける行為の正体です。
自分を傷つける人は、死にたいわけではありません。耐えきれないくらいの苦しい立場から逃れ、心の平安を取り戻したいだけなのです。
2 自分を傷つける人の特徴
自分を傷つける人にはいくつかの特徴があります。自尊心が低く、自分を大切にできません。感情表現が苦手なため、つらい気持ちを相手に伝えたり、助けを求めることも苦手です。
こうなってしまう原因には、親子関係や学校でのいじめられた体験などが関係しています。虐待や放任、それとは逆に厳格過ぎる家庭で育ち、親から十分な愛情を注いでもらえませんでした。産まれて来てから、人生で肯定された経験がないのです。
また、発達障害を持っている人は、ストレスの処理が苦手なため、自分を責めやすい傾向があります。自閉スペクトラム症では、自分の気持ちを表現するのが苦手であり、注意欠如多動症・ADHDでは、衝動のコントロールが苦手です。ストレスが溜まると、自傷行為や自己破壊的行動に結びつきやすいと考えられます。
3 自分を傷つけることで気分が改善される
皮膚を切ったり、体に苦痛を与えると、脳の中ではエンドルフィンという物質が放出されたり、ドパミンという物質の濃度も増えます。エンドルフィンやドパミンは脳内の快楽物質とも呼ばれ、一時的に落ち込んだ気分を吹き飛ばしてくれます。不思議なことですが、痛みによる刺激が、麻薬のような効果で苦しさをとってくれるのです。
麻薬と似た効果ですから、習慣になりやすいという落とし穴があります。自傷行為で辛い気持が和らぐ経験をすると、依存的に繰り返すことがあります。
4 生きるために自分を傷つける
リストカットなどの自傷行為は、知られないように隠れて行うのがほとんどです。決して人の関心を引こうとしているのではありません。自分を傷つける行為は、自分の心を守るために起きている現象です。死にたいどころか、むしろ生きるために必死に悶えている姿なのです。
5 あなたが自分を傷つけたいと思った時に
自分を傷つけたいと感じることは、いまあなたが辛い状況にいて、それを乗り越える手段が見つからないということです。誰かにいまの苦しい気持ちを理解してもらえるだけでもスッキリすることもあります。
話すことはとても大切なことです。身近な人に相談しても、「甘えていると説教されるだけ」、「相手にされず、否定されるだけ」と感じている人、また、話すことが苦手な人もいますので、その場合は、国や都道府県の公的な相談窓口、カウンセラーや精神科などの専門家に相談するのが良いでしょう。これらの連絡先は、ネットで検索することができます。最近ではラインでの相談を行っている施設もあります。
人の心に一番大切なのは安らぎです。安らぎがない生活が続いていると心が壊れてしまいます。自分を傷つけてしまうのは、生活に安らぎがなくなっている心の叫びなのです。
人から言われた嫌な言葉が頭から離れない
人から言われた嫌な一言が、頭の中をグルグル回り、辛い思いをしたことはありませんか?こちらに非があるとは思えないので、素直に受け止めきれません。その言葉が浮かんで来て、日中はイライラするし、寝ようとしても頭が冴えてしまいます。「何であんなに酷いことを言われたのだろう?」と考えてしまい、自分を責めたり、相手を責めたりの繰り返しです。
このように、嫌な言葉が頭から離れないで苦しい時、どのように対処したら良いのでしょうか?SNSで調べてみると、体を動かしたり、美味しいものを食べたり、と、意識を他に向けると良いと書いてあります。また、友人や家族に話して、話題を共有することも勧められています。
意外に思われるかも知れませんが、心の専門家のカウンセラーや精神科医であっても、クライアントの一言に傷ついてしまうことがあります。クライアントが感情的になって、聞き手を言葉で攻撃することもあるからです。もちろん、それでけんかをしては良くないので、その場をうまく収めますが、当然、心にはダメージが残ります。心の専門家は、自分で自分の心を癒さなくてはいけません。そこで使われるのが、「メンタライゼーション」というテクニックです。
メンタライゼーションとは、精神分析の言葉で、心の動きを推測することです。相手がなぜそのような言葉を発したのか、その理由や気持ちが理解できると、心のモヤモヤがとれて、スッキリしてきます。モヤモヤの正体が明らかになるからです。メンタライゼーションは、誰でも日常に利用することができ、辛い気持ちから解放されるテクニックの一つです。
大きな理由もなく、相手が嫌な言葉を発する原因は、ほとんどの場合、自分でなく、相手にあります。そして、次の5つのパターンに分けられるでしょう。今回は、その5つのパターンを紹介します。人から言われた嫌な言葉が、頭から離れないで辛い時は、必ずどれかのパターンに当てはまっているはずですので、どれに当てはまるかを分析してみてください。
1 相手が別のことでイライラしている
腰痛で整形外科クリニックに通院中のAさん。ある日の診察の時に、体調が悪いことを相談したところ、「それは内科で相談してください!」とつよい口調で怒鳴られました。びっくりしたAさんは、その場は謝罪しましたが、特に変なことを言ったつもりはないので、怒られたことに納得がいきません。医師の言葉が頭から離れず、何日たっても、「言い方がまずかったのだろうか?」「私は嫌われているのだろうか?」と悩みました。
気になったので、手元のスマホを使って、このクリニックの評判を調べてみました。なんと、自分と同じように、この医師に突然怒鳴られたという体験を書いている人がいたのです。中には、経営が大変だから、医師がいつもイライラしているのではないか?というコメントまでありました。これを読んだAさんは、心のモヤモヤが消えて、スッキリしました。医師が怒鳴ったのは、自分に問題があったのでなく、医師のプライベートに問題があると分かったからです。そして、別のクリニックに通院することにしました。
イライラで情緒が不安定になっている人は、冷静を装っていても、何かのきっかけで棘のある言葉を吐く場合があります。こうした人と接していると、傷つけられることがあるでしょう。無理して付き合わず、距離を置くことが賢い選択です。
2 相手が不安になっている
うつ病で療養中のBさん。復職のことで悩んでいます。そんな時に、父親から「いつから働くんだ?」と言われました。一番悩んでいるのは、Bさん自身ですから、まるで「早く働け!」と怒られたようで、その言葉に大変傷つけられました。
いつまでも父親の言葉が頭から離れないので、母親を通して、傷ついた気持ちを父親に伝えてもらいました。後日、父親から謝罪の言葉を受けましたが、Bさんが働かないことを怒ったのでなく、病気がいつまでも治らないことが不安だったのだと説明してくれました。それを聞いて、Bさんの怒りもおさまりました。
Aさんのところでも紹介しましたが、相手が不安になって、逆に傷つけるような言葉を発してしまうこともあるのです。
3 相手が、別の誰かと重ねて見ている
母親から、きつい言葉ばかりかけられていたCさん。大人になっても、その言葉の一つ一つが心の中に残っています。年をとってから、母親の言葉に傷ついてきたことを思い切って伝えました。
母親からは、Cさんのことは愛していたつもりだけれど、Cさんの顔や言動が父親に似ていたから、父親を思い出して怒っていた、という理由を聞かされました。実は、Cさんの父親は、アルコール依存があり、いつも夫婦喧嘩が絶えない家庭だったのです。母親のきつい言葉は、嫌な夫の姿を娘に重ねてしまったのが原因だったというのです。これを聞いたCさんは、母親の苦労を知っていたので、少し許す気持ちが出て来ました。
心の中の嫌な気持ちを、他の人に押し付けてしまうことを投影と呼びます。Cさんには問題がなかったのに、両親の仲が悪かったことの犠牲になっていたのです。
4 相手がマウントをとろうとしている
生徒思いで、教育に熱心な先生であるDさん。生徒や父兄からの評判もとても良く、人気者です。ところが、校長から「余計なことをするな!」と怒鳴られました。校長の目からは、職員の秩序を乱す人として映っていたようなのです。
Dさんは、ショックを受けましたが、後日、理事長が来た時に、ペコペコする校長の姿を見て、校長が怒鳴った理由を納得しました。校長は、目上の人には媚びへつらい、目下の人には権威を振るうという、典型的な権威主義の人なのです。自分を怒鳴りつけた校長が、器の小さい人物であることが分かったので、Dさんはスッキリしました。そして、この学校はやめることに決めました。
5 相手に発達障害やパーソナリティの問題がある
会社員のEさん。後輩のデリカシーのない言葉に悩んでいます。今回は、「今日はメイクが濃いですね」と言われて腹が立ちました。いつもは受け流していたのですが、「そういう言葉は失礼だよ!」と、我慢できずに叱りつけました。ところが驚いたことに、後輩はキョトンとしています。自分の言葉がEさんを傷つけていると感じていなかったようなのです。
相手が発達障害やパーソナリティの問題をもっている場合、思っていることがそのまま口に出たり、場の雰囲気を考えずに発言することがあります。本人は、自分が人を傷つけていることには気づきません。このような場合は、我慢していないで、こちらから説明してあげることも必要かも知れません。
言われた言葉に傷つき、それが頭から離れないような場合は、今回紹介したパターンのどれかが当てはまると思います。どれをとっても、あなたに問題があるのではなく、相手に問題があることの方が多いのです。自分を責める必要はありません。
また、相手のちょっとした言葉でも悪くとらえてしまい、それが頭の中をグルグル回って、生活に支障が出るような場合は、心の抵抗力が弱っているサインです。うつ病などの精神疾患の可能性もあるので、注意が必要です。
孤独の危険なサイン
新型コロナウイルスのパンデミックでは、人と人とのつながりが切れ、感染の問題以上に、孤独の問題が深刻になりました。それが原因で、うつ病などの精神疾患が増え、自殺者も増えるということが世界的に起きています。コロナ禍を越えて、ようやく社会もつながりを取り戻しつつありますが、みなさんは孤独から解放されたでしょうか?
不思議なことに、一人でいても孤独を感じない人もいれば、たくさんの人に囲まれているのに感じる人がいます。人によって感じ方が異なるのです。また、アルコールやタバコなどの嗜好品には、一時的に孤独感を解消する作用があるので、これらで孤独感を麻痺させている人もいます。過食や浪費、自分を傷つけるような行為で解消している場合もあるでしょう。ホストクラブで散財した人もいるかも知れません。
孤独は、うつ病などの精神疾患を発症する引き金にもなります。特に、うつ病の大きな原因であり、同時にうつ病の症状でも孤独を感じるので、孤独の深みにはまり、死を選択しようとする場合があるので、注意が必要です。
このように、長い期間、先の見えない孤独を感じ続けることは、メンタルヘルスに良くありません。今回は、孤独の危険なサインを5つ紹介しましょう。
1 話し相手がいない
コロナ禍では、家にこもることを強いられ、丸一日誰とも話さないという人もたくさんいました。このために、うつ病になる人の数が2倍になったという報告もあります。会話を通して人とつながることは、とても大切なことです。話し相手が一人でもいることは、孤独の解消に大きな力となります。
世の中には、孤独な人の力になりたいと感じている誠実な人もたくさんいます。もし話し相手がいないと感じているならば、こうした人との出会いがあるように、趣味のサークルに所属してみたり、カウンセリングや相談窓口を利用してみましょう。
2 自分を理解してくれる人がいない
例え話し相手がいても、自分のことを理解してもらえない場合は、つよい孤独を感じます。いっしょに住んでいる家族がいて、いっしょに働く仲間がいても、本当の気持ちを分かってもらえない生活は、心が満たされません。しかし、苦しんでいることの一部分でも理解してくれる人がいれば、孤独感は解消されます。残念ながら、そのような人とは、なかなか出会えないのが現実です。
むしろ、どんな時もなついてくれる犬や猫などのペットの方が、自分の本音を分かってくれていると感じることがあります。
また、自分と似たような人の話を、映像や本を通して見たり聞いたりすると、孤独が解消されます。エンタメにも孤独を癒してくれる力があるのです。信仰を通して、神や先祖に自分を分かってもらえていると感じ、孤独を乗り越えている人もいます。宗教で孤独が解消される人もいるのです。
3 仲間外れにされている
いじめやハラスメント、転校や転職して仲間に入れない、こうしたことも孤独の大きな原因になります。
いじめやハラスメントがあっても、「仕事の収入がなくなるから我慢する」、「よけいに孤独になるから我慢する」という人もいますが、嫌な思いをしながらその場にいる必要はありません。新しい出会いが必ずあるので、居心地の悪い場所には長居しないようにしましょう。
4 社会から孤立している
年をとること、家族の死、病気、貧困、災害など、さまざまな理由から、人は孤立してしまいます。また、発達障害でコミュニケーションの能力に問題があることから、周りから孤立する場合もあります。
何とか辛い状況から抜け出そうとしても、頼れる人がいない場合が多く、そもそも、どこの誰に助けを求めたら良いのかも分かりません。2023年には、孤独・孤立対策推進法が成立しました。現在は、国をあげて、孤独や孤立への対策が進められています。最寄りの役所だけでなく、電話やネットにも公的な窓口があります。気軽に相談してみるも良いと思います。
5 孤独で死にたい
常につよい孤独を感じる場合は、すでにうつ病になっている可能性があります。うつ病は気分の落ち込みの病気ですが、症状で孤独を感じる場合もあります。それだけでなく、「不安感」、「人と会いたくない」、「何もしたくない」、「昼夜逆転」、「食欲の低下」、「体調不良」などの症状がある場合は、うつ病の可能性があります。特に、自分に生きる価値がないと感じて死にたいと思うことは、大変危険なサインですので、早めに精神科を受診しましょう。
また、孤独感から妄想を抱えてしまうことがあります。「誰かに見られている」、「誰かに嫌がらせをされている」と感じて、カーテンを閉め切った生活をするのは、精神疾患の症状です。
調査によれば、日本人の14人に1人は、深刻な孤独を抱えています。人生ではたくさんの人と出会いますが、自分のことを理解してくれる人はほんの僅かです。100%分かってくれる人となると、一生出会えないかも知れません。ですから、少しでも気持ちを分かってくれる人が、世の中に一人でもいるならば、それは宝のような存在です。
カウンセリングや精神科で、心の専門家に相談しても、話のピントが合わず、理解されている感じを持てないこともあります。人には相性の良し悪しがあるからです。しかし、趣味で出会った人に何気なく話したことを通して、自分の一部分でも分かってもらえると、孤独感がスーと消えることがあります。良い出会いがあるように、諦めずに行動してみることが大切なのかも知れません。